前提チェック(情報の関係):抽象度と役割をつかむ
このレッスンの役割
このコースは、「情報の関係」で学んだ関係のうち、意見と根拠、原因と結果、比較と対比、そして具体と抽象を、論説文の読み書きで本格的に使うコースです。最初のセクションでは、土台の関係を確認したうえで、このコースで使う二つの軸「抽象度」と「役割」を導入します。
今回の中心技能は、一文を見て「抽象度(高い・低い)」と「役割(主張・根拠・例・補足)」の二つを言えることです。目安時間は8分です。
今日の問い
①本を読むことは、人を育てる。②たとえば、ある生徒は一年で五十冊読み、作文の表現が格段に豊かになった。③だから、学校は読書の時間を確保すべきだ。
①は抽象度が高く、役割は根拠(③を支える理由)。②は抽象度が低く(具体的な一人の数値)、役割は例(①を裏づける)。③は抽象度が高く、役割は主張。三文を「抽象度」と「役割」の二つで並べると、文章の骨組みが見えます。
土台の三つの関係(確認)
| 関係 | 記号 | テスト |
|---|---|---|
| 意見←根拠 | ← | これがあれば主張を認めやすくなるか |
| 原因→結果 | → | AがなければBは起きないか |
| 対比 | ⇔ | 相手と観点がそろうか |
この三つが即答できなければ、「情報の関係」コースの該当セクションに戻ってから進みます。
二つの軸
| 軸 | 内容 | 見分け |
|---|---|---|
| 抽象度 | どれだけ多くの場合に当てはまるか | 高い:性質・傾向・考え(「人を育てる」)/低い:固有の出来事・数値(「五十冊」) |
| 役割 | 文章の中で何をしているか | 主張・根拠・例・補足・問い |
抽象度は「高い/低い」の程度、役割は「何をしているか」の種類です。別の軸なので、「抽象度が高くて役割は根拠」のような組み合わせが起きます。
抽象度の階段
| 段 | 例 |
|---|---|
| 最も高い | 人は学ぶ生き物だ |
| 高い | 本を読むことは人を育てる |
| 中 | 読書は語彙と表現を豊かにする |
| 低い | ある生徒は一年で五十冊読んだ |
| 最も低い | 田中さんは四月十日に『〇〇』を読み終えた |
同じ話題でも、段を上がるほど多くの場合に当てはまり、下がるほど一つの出来事に近づきます。
役割の表
| 役割 | 内容 | 合図 |
|---|---|---|
| 主張 | 筆者が認めてほしい考え | べきだ、と考える、ではないか |
| 根拠 | 主張を支える理由・事実 | なぜなら、からだ、調査では |
| 例 | 根拠や主張を具体的に示す | たとえば、実際に |
| 補足 | 条件や例外を添える | ただし、もっとも |
| 問い | 文章の出発点 | だろうか、なぜ〜か |
二つの軸を組み合わせる
| 文 | 抽象度 | 役割 |
|---|---|---|
| 本を読むことは人を育てる | 高 | 根拠 |
| ある生徒は一年で五十冊読んだ | 低 | 例 |
| 学校は読書の時間を確保すべきだ | 高 | 主張 |
| ただし、強制すると逆効果になることもある | 中 | 補足 |
主張と根拠は抽象度が高く、例は低いことが多いです。この組み合わせの傾向が、このコースの出発点です。
よくある間違い
抽象度と役割を同じものだと思う
「抽象度が高い=主張」ではありません。根拠も抽象度が高いことがあります。
例を根拠と呼ぶ
例は根拠を具体的に示す材料です。「根拠の種類」のセクションで、例が根拠として働く場合を扱いますが、まず区別します。
「情報の関係」の三つのテストを忘れている
因果テスト、根拠テスト、対比の観点は、このコースでも毎回使います。
自分で確かめよう
確認1:このコースで使う二つの軸
抽象度(高い/低い)と役割(主張・根拠・例・補足・問い)。
確認2:「ある生徒は一年で五十冊読んだ」の抽象度と役割
抽象度:低い。役割:例。
確認3:意見と根拠のテスト
これがあれば主張を認めやすくなるか。
まとめと次の一歩
このコースでは、文を「抽象度」と「役割」の二つの軸で見ます。主張と根拠は抽象度が高く、例は低いことが多いです。土台の三つの関係とテストは、毎回使います。
次のレッスンでは、抽象度の階段を上り下りする「往復」の手順を一行ずつ使えるようにします。
クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。