抽象的な表現とは:要約・入試で統合する
このレッスンの役割
ここは「抽象的な表現とは」の出口です。四種と役割、下りる四段階、ずれの四つの型を、論説文と入試形式の問題で通して使います。
中心技能は、キーワードの定義を抜き出し、抽象表現を言い換え、広すぎる根拠を指摘し、抽象語で要約することです。目安時間は10分です。
入試でどう出るか
抽象的な表現は、四つの形で出ます。
- 定義の抜き出し:「『〇〇』とはどのようなことか。本文から〜字で抜き出せ」
- 言い換え記述:「──線部とはどういうことか。具体例をふまえて説明せよ」
- 根拠の評価:「筆者の根拠として弱いものを選べ」
- 要約:「本文を〜字以内で要約せよ」
総合問題
次の文章を読んで、あとの問いに答えなさい。
①私たちは、知らないことに出会うと、知っていることに当てはめて理解しようとする。②初めて見た外国の料理を「日本の〜に似ている」と言い、聞き慣れない音楽を「〇〇風だ」と言う。③この、知っている枠に押し込める働きを、私は「既知の枠」と呼ぶ。④既知の枠は、素早く理解するためには役立つ。⑤しかし、枠に合わない部分、つまりその物が持つ独自の意味は、枠に入れた瞬間に見えなくなる。⑥知らないものを本当に知るとは、既知の枠を一度外し、「似ているが違う」という感覚を保つことなのである。
問1
③「既知の枠」とはどのようなことか。本文から二十字以内で抜き出しなさい。
問2
⑤「独自の意味は、枠に入れた瞬間に見えなくなる」とはどういうことか。②の具体例をふまえて「〜ということ」の形で説明しなさい。
問3
次のうち、⑥の主張の根拠として最も弱いものを選びなさい。 ア 枠に合わない部分は枠に入れた瞬間に見えなくなる イ 知ることは人間にとって大切な営みである ウ 既知の枠は素早く理解するためには役立つ エ 外国の料理を日本の料理に似ていると言うと、その料理の独自の意味が見えなくなる
問4
本文を、具体例を使わずに五十字以内で要約しなさい。
答えと判断
問1
「知っている枠に押し込める働き」(十四字)。「〜を、私は『既知の枠』と呼ぶ」の直前が定義。
問2
「外国の料理を日本の料理に似ていると言った瞬間に、その料理だけが持つ味や食べ方の特徴を考えなくなるということ。」②の具体(料理)で、「独自の意味」「見えなくなる」を言い換える。
問3
イ。「知ることは大切だ」は判断で、何にでも当てはまり、⑥の具体的な主張(枠を外す)を支えない(型①③)。ア・エは本文の根拠と例。ウは譲歩だが、「役立つが見えなくなる」の対比の一部として主張を支えている。
問4
「人は知らないものを既知の枠で理解するが、それでは独自の意味が見えなくなるので、枠を外して違いを保つことが本当に知ることだ。」(五十字)。①③⑤⑥の抽象をつなぐ。②の料理・音楽は入れない。
誤答を診断する
| 誤答 | 型 | 戻るレッスン |
|---|---|---|
| 問1で「既知の枠」を含めた | 定義とキーワード自身を混同 | 抽象度と役割をつかむ(キーワード) |
| 問2で「独自の意味が見えなくなる」をそのまま書いた | 言い換えていない | 具体と抽象を往復する(段階4) |
| 問3でウ | 譲歩を「主張に反するから弱い」と見た | 根拠のずれを直す |
| 問4に「料理」「音楽」を入れた | 具体を要約に入れた | 前提チェック |
文章の表
| 文 | 種類 | 役割 |
|---|---|---|
| ① | 性質・傾向 | 前提 |
| ② | 具体(行動) | ①の例 |
| ③ | 概念 | 定義 |
| ④ | 判断 | 譲歩(役立つ) |
| ⑤ | 性質・傾向 | 根拠(問題点) |
| ⑥ | 判断・一般化 | 主張 |
答案で落とさないための確認
| 確認 | 見るもの |
|---|---|
| 定義は「〜と呼ぶ」の直前か | 押し込める働き |
| 言い換えは抽象語を具体に置き換えたか | 独自の意味→味や食べ方の特徴 |
| 弱い根拠は「広すぎ」「判断」か | 大切だ |
| 要約に具体を入れていないか | 料理、音楽 |
| 主張は「〜のである」の文か | ⑥ |
よくある間違い
「どういうことか」に本文の抽象語をそのまま書く
言い換えになっていません。具体例の要素で置き換えます。
譲歩の文を「根拠として弱い」と選ぶ
譲歩は対比の一部で、主張を支える構造に入っています。弱いのは「広すぎる判断」です。
要約でキーワードの定義を落とす
「既知の枠」を使うなら、定義(知っている枠で理解する)を含めます。
自分で説明しよう
確認1:抽象の四種と主な役割
性質・傾向:主張・根拠。概念:定義。判断・評価:主張。一般化:まとめ。
確認2:キーワードの定義を抜き出す位置
「〜と呼ぶ」「〜と言える」の直前。
確認3:「どういうことか」の答えの形
抽象語を具体例の要素で言い換え、「〜ということ。」で結ぶ。
セクションの出口
論説文で、キーワードの定義を抜き出し、抽象を具体で言い換え、広すぎる根拠を型で説明し、抽象の側で要約できたら完了です。
次のセクション「具体例から共通点をまとめよう」では、複数の具体から抽象へ上る作業を、記述の形で仕上げる方法を扱います。
クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。