LESSON 01

因果関係を根拠にするとき

因果関係を根拠にするとき:根拠のずれを直す

前後を因果と見なす、相関を因果と見なす、逆の向き、第三の原因の見落としという四つの型で、因果の根拠のずれを見抜いて直します。

因果関係を根拠にするとき:根拠のずれを直す

このレッスンの役割

因果の根拠のずれは、前後を因果と見なす、相関を因果と見なす、向きが逆、第三の原因の見落とし、の四つに分けられます。ここでは、それぞれを型に分け、直します。入試の「因果関係の説明として適切でないもの」「筆者の推論の問題点」は、この型で答えます。

今回の中心技能は、因果の主張を見て四つの型のどれかを言い、どう直せば因果と言えるかを言えることです。目安時間は8分です。

今日の問い

新しい校長が来てから、学校の雰囲気がよくなった。校長の方針が学校を変えたのだ。

「校長が来た」のあとに「雰囲気がよくなった」のは前後です。同じ時期に、学年が変わった、校舎が改修された、など他の変化もあり得ます。一回の前後を因果と見なす型①です。「校長の方針で変わった点(例:朝の挨拶運動)と雰囲気の変化を結びつける事実」が要ります。

誤りの四つの型

型 起きていること 例 直し方
① 前後を因果に 一回の時間の順を原因と見なす 校長が来てから雰囲気がよくなった 繰り返しの相関、仕組みの説明を求める
② 相関を因果に 一緒に起きることを原因と見なす 読書量が多いほど成績がよい→読書が成績を上げる 第三の原因・逆の向きを排除する事実を求める
③ 逆の向き 結果を原因と取り違える 成績がよい生徒は読書量が多い→読書が成績を上げる(成績→読書かも) Aを変えたときBが変わるかを確かめる
④ 第三の原因 AとBの両方を生むCを見落とす アイスの売上と水難事故→アイスが原因 Cを固定して比べる(同じ気温の日同士)

型①を直す:前後から因果へ

前後 足りないもの 直し
校長が来てから雰囲気がよくなった 繰り返し、仕組み 校長が始めた挨拶運動の後、生徒同士の会話が増えたという観察、複数年の比較

一回の前後は偶然と区別できません。

型②を直す:相関から因果へ

相関 足りないもの 直し
読書量が多いほど成績がよい 向き、第三の原因の排除 読書を始めた生徒の成績の変化(向き)、家庭環境が同じ生徒同士の比較(第三の原因)

型③を直す:向きの確認

主張 逆の可能性 確かめ方
読書→成績 成績→読書(余裕がある) 読書を増やしたときの成績の変化
スマホ→睡眠減 睡眠減→スマホ(眠れないから見る) スマホを制限したときの睡眠の変化
運動→健康 健康→運動(健康だから運動できる) 運動を始めた人の健康の変化

「Aを変えるとBが変わる」が確かめられれば、向きが決まります。

型④を直す:第三の原因の固定

主張 第三の原因 確かめ方
アイス→水難事故 気温 同じ気温の日同士で比べる
読書→成績 家庭の学習環境 環境が同じ生徒同士で比べる
朝食→集中力 生活習慣全体 睡眠時間が同じ生徒同士で比べる

「Cを同じにして比べる」が排除の方法です。

例題:どの型か

「携帯電話の普及と同じ時期に、交通事故が減った。携帯電話が事故を減らしたのだ。」

型①④。同時期の前後で、第三の原因(車の安全装置の普及、交通取締りの強化)を見落としている。

「体力のある生徒ほど、朝食をとっている。朝食が体力を作るのだ。」

型②③。相関であり、体力があるから朝食をとれる(逆)、生活習慣全体(第三)の可能性。

よくある間違い

「〜してから〜になった」を因果の証拠だと思う

前後です。繰り返しと仕組みが要ります。

相関が強ければ因果だと思う

強い相関でも、向きと第三の原因は分かりません。

第三の原因を「ない」と決めつける

論説文は第三の原因を省きがちです。自分で一つ挙げて確かめます。

自分で確かめよう

確認1:「校長が来てから雰囲気がよくなった」の誤りの型と直し方

型①(前後を因果に)。繰り返しの相関や仕組み(校長の方針と変化を結ぶ事実)を求める。

確認2:「読書量が多いほど成績がよい」から因果を言うために必要なもの

向きの確認(読書を増やしたときの成績の変化)と第三の原因の排除(環境が同じ生徒の比較)。

確認3:第三の原因を排除する方法

第三の原因を同じにして(固定して)比べる。

まとめと次の一歩

因果のずれは、前後を因果に、相関を因果に、逆の向き、第三の原因、の四つに分けられます。繰り返しと仕組み、向きの確認、第三の原因の固定、で直します。

次のレッスンでは、入試形式の「因果の説明の問題点」「因果を確かめるために必要な事実」で、因果の点検を通して使います。

クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。

UNDERSTANDING CHECK

理解チェック:因果のずれの型

70% 合格ライン
  1. 設問 0
    「新しい校長が来てから雰囲気がよくなった→校長が変えた」の誤りの型はどれですか。
  2. 設問 1
    「読書量が多いほど成績がよい→読書が成績を上げる」の誤りの型はどれですか。
  3. 設問 2
    「体力のある生徒ほど朝食をとっている→朝食が体力を作る」で疑うべき逆の向きはどれですか。
  4. 設問 3
    第三の原因を排除する方法はどれですか。
  5. 設問 4
    「携帯電話の普及と同じ時期に交通事故が減った→携帯が事故を減らした」で見落とされているものはどれですか。

まずは自分で選んでみましょう。採点・学習履歴への記録は、回答APIとの連携時に追加します。