長い文の構造を読み解こう:誤った分析を直す
このレッスンの役割
長い文の読み違いは、「誰が何をしたか」の取り違えとして、読解の内容理解を直撃します。ここでは、よく起きる誤りを四つの型に分け、どの段階で崩れたかを見つけて直します。
今回の中心技能は、誤答を見て「節の主語・述語を文全体のものと取り違えた」「連体修飾節の範囲を誤った」「引用節の内と外を混同した」「省略された主語を誤って補った」のどれかを言い、直せることです。目安時間は8分です。
今日の問い
「先生が私たちに教えてくれた方法は、問題が難しいときほど役に立つと、多くの先輩が言っていた」で、「役に立つ」の主語を、ある人は「先輩が」と答えました。どこで誤ったのでしょうか。
「役に立つ」は引用節「方法は〜役に立つと」の中の述語で、その主語は「方法は」です。「先輩が」は文全体の述語「言っていた」の主語。引用節の内と外を混同した型③です。
誤りの四つの型
| 型 | 起きていること | 例 | 直し方 |
|---|---|---|---|
| ① 節の主語・述語を文全体のものと取り違える | 途中の「が」や用言を骨組みにする | 「父が」を文全体の主語 | 文末の述語から問う |
| ② 連体修飾節の範囲を誤る | 節がどこから始まるかを誤る | 「若いころに植えた」だけを節とする | 節の主語から名詞の直前までが範囲 |
| ③ 引用節の内と外を混同する | 「と」の中の主語と外の主語を取り違える | 「役に立つ」の主語を「先輩が」 | 「と」の内側の述語には内側の主語 |
| ④ 省略された主語を誤って補う | 文脈と違う主語を補う | 「進む」の主語を「父」 | 文全体の主語か直前の節の主語 |
型①を直す:文末から
| 文 | 途中の述語(節) | 文全体の述語 | 文全体の主語 |
|---|---|---|---|
| 祖父が植えた桜は咲いている | 植えた | 咲いている | 桜は |
| 父が反対しているのを兄は知っていた | 反対している | 知っていた | 兄は |
| 母が作った料理を父はほめた | 作った | ほめた | 父は |
型②を直す:節の範囲
祖父が若いころに植えた庭の桜は
連体修飾節は「祖父が若いころに植えた」で、「祖父が」から「植えた」まで。「桜」を修飾します。「庭の」は「桜」を修飾する別の連体修飾語。節の範囲は、節の主語から始まり、修飾される名詞の直前の用言で終わります。
| 誤った範囲 | 正しい範囲 | 理由 |
|---|---|---|
| 若いころに植えた | 祖父が若いころに植えた | 節の主語「祖父が」を含む |
| 祖父が若いころに植えた庭の | 祖父が若いころに植えた | 「庭の」は節の外(桜に直接係る) |
型③を直す:引用の内と外
方法は役に立つと、先輩が言っていた
| 位置 | 主語 | 述語 |
|---|---|---|
| 引用の内(「と」の前) | 方法は | 役に立つ |
| 引用の外 | 先輩が | 言っていた |
「と」の前までが引用の中身で、その中の述語には中の主語が対応します。
型④を直す:省略の補い方
兄は、父が反対しているのを知りながら、自分が選んだ道を進むと決めた。
| 述語 | 主語 | 根拠 |
|---|---|---|
| 知りながら | 兄 | 文全体の主語と同じ動作主 |
| 進む | 兄 | 「自分が選んだ道」の「自分」=兄 |
| 反対している | 父 | 節の中に明示 |
「父」を「進む」の主語にすると、文脈が壊れます。「自分」が誰を指すかも手掛かりです。
例題:どの型か
「母が作った料理を父はほめた」の文全体の主語を「母が」とした。
型①。文末の述語「ほめた」に問うと「父は」。
「祖父が若いころに植えた庭の桜」の連体修飾節を「若いころに植えた」とした。
型②。「祖父が」から始まる。
よくある間違い
「が」を見るたびに主語を更新する
「が」の付く文節は節の主語のことが多いです。文全体の主語は文末から決めます。
引用の「と」を見落とす
「〜と言った」「〜と思う」の「と」の前は別の文です。内と外を分けます。
省略された主語を「私」と決めつける
論説文では筆者、物語では視点人物のことが多いが、文全体の主語や直前の節の主語を優先します。
自分で確かめよう
確認1:「役に立つ」の主語を「先輩が」とした誤りの型と直し方
型③。引用の内側の述語なので、内側の主語「方法は」。
確認2:連体修飾節の範囲の決め方
節の主語から、修飾される名詞の直前の用言まで。
確認3:「父が反対しているのを兄は知っていた」の文全体の主語
「兄は」。「父が」は節の主語。
まとめと次の一歩
誤りは、節と文全体の取り違え、節の範囲、引用の内と外、省略の補い方、の四つに分けられます。文末から、節の主語から名詞の直前まで、「と」の前後を分ける、文脈で補う、で直せます。
次のレッスンでは、入試の論説文の長い一文で、構造の読み解きを通して使います。
クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。