主語と述語を対応させよう:誤った分析を直す
このレッスンの役割
主語と述語の誤りは、読解では「誰が何をしたか」の取り違え、作文では「ねじれ」として現れます。ここでは、よく起きる誤りを四つの型に分け、どの段階で崩れたかを見つけて直します。
今回の中心技能は、誤答を見て「小さな組の主語を取った」「『は』の修飾語を主語にした」「省略を見落とした」「ねじれに気づかなかった」のどれかを言い、直せることです。目安時間は8分です。
今日の問い
「弟が飼っている犬は、毎朝私が散歩に連れて行く」の主語を、ある人は「弟が」と答えました。どこで誤ったのでしょうか。
「弟が」は「飼っている」の主語で、小さな組の主語です。文末の述語「連れて行く」に「誰が」と問うと「私が」。小さな組の主語を文全体の主語にした型①です。
誤りの四つの型
| 型 | 起きていること | 例 | 直し方 |
|---|---|---|---|
| ① 小さな組の主語を取る | 途中の述語の主語を文全体の主語にする | 弟が(飼っている の主語) | 文末の述語から問う |
| ② 「は」の修飾語を主語にする | 時・場所の「は」を主語にする | 今日は、部屋には | 述語に「誰が」と問う |
| ③ 省略を見落とす | 主語がない文で、別の文節を主語にする | 「公園を」を主語に | 前の文から補う |
| ④ ねじれに気づかない | 主語と述語がかみ合わない文を通す | 夢は/なりたい | 主語と述語だけ並べる |
型①を直す:組を分ける
| 文 | 小さな組 | 文全体の組 |
|---|---|---|
| 弟が飼っている犬は私が連れて行く | 弟が/飼っている | 私が/連れて行く |
| 先生が話した内容を私は忘れない | 先生が/話した | 私は/忘れない |
| 姉が選んだ服は妹に似合った | 姉が/選んだ | 服は/似合った |
設問の述語がどちらの組かを確かめます。
型②を直す:「は」の働き
| 文 | 「は」の文節 | 働き |
|---|---|---|
| 今日は雨が降る | 今日は | 時の修飾語 |
| 部屋には本がある | 部屋には | 場所の修飾語 |
| 私は学生だ | 私は | 主語 |
| この本は読んだ | この本は | 対象(「私は」が省略) |
「は」は主題を示す印で、主語とは限りません。「この本は読んだ」の主語は省略された「私は」で、「本は」は読む対象です。
型③を直す:省略を補う
兄は毎朝早く起きる。朝食を作り、弟を起こす。
二文目の主語は「兄は」(省略)。「朝食を」「弟を」は対象であって主語ではありません。前の文の主語が続いていると読みます。
型④を直す:ねじれの修正
| ねじれ | 修正 |
|---|---|
| 私の夢は医者になりたい | 私の夢は医者になることだ/私は医者になりたい |
| この本の良さは字が大きい | この本の良さは字が大きいことだ |
| 大切なのは毎日練習する | 大切なのは毎日練習することだ |
| 彼の趣味は映画を見ます | 彼の趣味は映画を見ることです |
「〜は」で始まる主語に「〜ことだ」の述語を対応させるか、主語を「私は」に変えます。
例題:どの型か
「姉が選んだ服は妹に似合った」の主語を「姉が」とした。
型①。文末の述語「似合った」に「何が」と問うと「服は」。
「この本は昨日読んだ」の主語を「この本は」とした。
型②③。「読んだのは誰?」→ 省略された「私は」。「本は」は対象。
よくある間違い
「が」が付いていれば文全体の主語だと思う
「弟が」「姉が」は小さな組の主語のことがあります。文末の述語から問います。
「は」と「が」を同じ働きだと思う
「は」は主題、「が」は主語の印です。「この本は読んだ」のように、「は」の文節が対象のこともあります。
作文で長い文を書いて、主語と述語を確かめない
長い文ほどねじれます。書いたあとに主語と述語だけ並べて読みます。
自分で確かめよう
確認1:「弟が」を文全体の主語とした誤りの型と直し方
型①。文末の述語「連れて行く」に問い、「私が」に直します。
確認2:「この本は昨日読んだ」の主語
省略された「私は」。「この本は」は読む対象。
確認3:「大切なのは毎日練習する」のねじれを直してください
「大切なのは毎日練習することだ」。
まとめと次の一歩
誤りは、小さな組の主語を取る、「は」の修飾語を主語にする、省略を見落とす、ねじれに気づかない、の四つに分けられます。文末から問う、「は」の働きを見る、前の文から補う、主語と述語だけ並べる、で直せます。
次のレッスンでは、長い文と入試形式の問題で、主語・述語の対応を通して使います。
クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。