指示語が指す内容:関係の取り違えを直す
このレッスンの役割
指示語の取り違えは、直前の名詞を機械的に答える、指す範囲が広すぎる・狭すぎる、連鎖の途中で止める、答えの形が設問に合わない、という形で現れます。ここでは、よく起きる誤りを四つの型に分け、直します。
今回の中心技能は、誤答を見て「直前の名詞だけを取った」「範囲を誤った」「連鎖の途中で止めた」「形が合わない」のどれかを言い、直せることです。目安時間は8分です。
今日の問い
「森は雨水をたくわえる。これが、洪水を防ぐ働きになる」で、「これ」を「雨水」と答えた人がいます。どこで誤ったのでしょうか。
置き換えると「雨水が洪水を防ぐ働きになる」で、意味が逆です。直前の名詞を機械的に取った、型①です。正しくは「森が雨水をたくわえること」。
誤りの四つの型
| 型 | 起きていること | 例 | 直し方 |
|---|---|---|---|
| ① 直前の名詞だけを取る | 文全体を指すのに名詞で答える | これ=雨水 | 置き換えて確かめ、「〜こと」で取る |
| ② 範囲の誤り | 広すぎる(段落全体)/狭すぎる(一語) | この傾向=人は〜強まった(全部) | 置き換えて過不足を見る |
| ③ 連鎖の途中で止める | 指示語で定義された語で答える | この傾向=確証バイアス | 実体まで戻る |
| ④ 形が合わない | 「どのような傾向か」に「〜こと」 | 〜集めること。 | 設問の語で文末を決める |
型①を直す:置き換えテスト
| 候補 | 置き換え | 判定 |
|---|---|---|
| 雨水 | 雨水が洪水を防ぐ働きになる | ×(意味が逆) |
| 森 | 森が洪水を防ぐ働きになる | △(通るが「たくわえる」が落ちる) |
| 森が雨水をたくわえること | 森が雨水をたくわえることが洪水を防ぐ働きになる | ○ |
通るだけでなく、内容が落ちていないかも見ます。
型②を直す:過不足の確かめ
| 候補 | 判定 |
|---|---|
| 人は自分の意見に合う情報ばかりを集めがちだ。これを確証バイアスと呼ぶ。この傾向は強まった(全部) | 広すぎ(指示語自身を含む) |
| 情報 | 狭すぎ(「情報は強まった」で通らない) |
| 自分の意見に合う情報ばかりを集めがちなこと | ちょうど |
指示語を含む文自身は候補に入れません。
型③を直す:実体まで戻る
| 連鎖 | 答え |
|---|---|
| これ(=合う情報ばかり集める)→ 確証バイアス → この傾向 | 自分の意見に合う情報ばかりを集めがちな傾向 |
「確証バイアス」は本文で「これを〜と呼ぶ」と定義された語なので、内容を問われたら元に戻ります。ただし「本文中の語で答えよ(五字)」なら「確証バイアス」が正解。設問を見ます。
型④を直す:文末の対応
| 設問 | 文末 |
|---|---|
| 何を指すか | 〜こと。/名詞 |
| どのような傾向か | 〜という傾向。 |
| どのような状況か | 〜という状況。 |
| どういうことか | 〜ということ。 |
設問の名詞で文末を結びます。
例題:どの型か
「災害時に、この状況は問題になる」の「この状況」を「災害」と答えた。
型①②。「災害」は指示語の後にあり、候補ではない。前の段落の「隣に誰が住んでいるか知らない人が多い状況」。
「この傾向とはどのような傾向か」に「確証バイアス」と答えた。
型③④。実体まで戻り、「〜という傾向」の形にする。
よくある間違い
指示語の後ろの語を候補にする
指示語は原則、前を指します。後ろの語は候補から外します。
置き換えて通れば正解と思う
通るうえで、内容が落ちていないかも確かめます。
設問を見ずに「〜こと」で統一する
「どのような傾向か」なら「〜傾向」。設問の名詞に合わせます。
自分で確かめよう
確認1:「これ=雨水」の誤りの型と直し方
型①。置き換えて確かめ、「森が雨水をたくわえること」と「〜こと」で取る。
確認2:指示語を含む文自身を候補に入れてよいですか
入れない(広すぎになる)。
確認3:「本文中の語で五字」と「どのような傾向か」で、答えはどう変わりますか
前者は「確証バイアス」、後者は実体まで戻って「〜という傾向」。
まとめと次の一歩
誤りは、直前の名詞だけを取る、範囲の誤り、連鎖の途中で止める、形が合わない、の四つに分けられます。置き換えテスト、過不足の確かめ、実体まで戻る、設問の文末、で直せます。
次のレッスンでは、複数段落の論説文と入試形式の問題で、指示語の読み取りを通して使います。
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