情報の関係マスターチェック:総合問題・コースの出口
このレッスンの役割
ここは「情報の関係」コースの出口です。八つの関係、五段階の図、四つの誤りの型を、資料つきの論説文と入試形式の総合問題で一度に使います。
中心技能は、一つの文章に対して、どの型の設問が来ても関係の図から答えられることです。目安時間は15分です。
総合問題
次の文章と資料を読んで、あとの問いに答えなさい。
【一】「若者は本を読まなくなった」と言われて久しい。①この言葉は、どこまで本当だろうか。
【二】確かに、一か月に一冊も本を読まない中学生の割合は、十年前より増えた。②この点だけを見れば、読書離れは事実のように思える。
【三】しかし、読む生徒に目を向けると、別の姿が見える。読む生徒の平均冊数は、むしろ増えているのだ。つまり、読書は「みんなが少しずつ」から「読む人がたくさん」へと、形を変えたのである。
【四】③この変化の背景には、本の選び方の変化がある。かつては学校や家庭が勧める本を読んだが、今は自分で情報を集めて選ぶ。選べる人は深く読み、選べない人は入り口に立てないままになる。
【五】だとすれば、読書推進に必要なのは、全員に一律に本を配ることではない。読まない生徒が最初の一冊を自分で選べるように、選び方を教えることではないだろうか。
【資料】中学生の読書(2015年→2025年) 一か月に一冊も読まない生徒の割合:15% → 28% 読む生徒の一か月の平均冊数:3.2冊 → 4.5冊
問1
①「この言葉」の内容を本文から抜き出しなさい。
問2
第二段落の役割として適切なものを選びなさい。ア 筆者の主張を述べる イ 一般の見方を一部認める譲歩 ウ 具体例を挙げる エ 話題を転換する
問3
②「この点だけを見れば、読書離れは事実のように思える」は、事実か意見か。理由とともに答えなさい。
問4
③「この変化」の内容を、資料の数値を使って五十字以内で説明しなさい。
問5
第四段落の「かつては〜今は〜」は、何と何をどの観点で比べているか。
問6
筆者の提案を本文から抜き出し、その根拠として筆者が挙げている事実を一つ答えなさい。
問7
本文と資料の両方から読み取れることを選びなさい。ア 中学生全体の平均冊数は減った イ 読まない生徒の割合は約二倍になった ウ 本の選び方が変わった原因はインターネットである エ 読む生徒の平均冊数は横ばいである
問8
「読まない生徒が最初の一冊を自分で選べるようになれば、読書離れは解消する」は、本文から言えるか。
答えと判断
問1
「若者は本を読まなくなった」。直前の引用。置き換えて「『若者は本を読まなくなった』という言葉は本当だろうか」で通る。
問2
イ。「確かに」で始まり、第三段落の「しかし」で反論される。
問3
意見。「事実のように思える」は筆者の判断で、しかも「この点だけを見れば」と限定している(直後の「しかし」で覆される前置き)。割合が増えたこと自体は事実だが、「読書離れ」という解釈は意見。
問4
「読まない生徒の割合が15%から28%に増える一方、読む生徒の平均冊数は3.2冊から4.5冊に増え、読む人と読まない人に分かれた変化。」(五十字)。二つの数値を対で挙げる。
問5
かつての本の選び方(学校や家庭が勧める本を読む)と、今の本の選び方(自分で情報を集めて選ぶ)を、「誰が本を選ぶか」という観点で比べている。
問6
提案:「読まない生徒が最初の一冊を自分で選べるように、選び方を教えることではないだろうか。」根拠の事実:読む生徒の平均冊数は増えている(資料3.2→4.5冊)、または、一冊も読まない生徒の割合が増えた(15→28%)。「選べない人は入り口に立てない」は筆者の解釈(意見)なので、事実としては資料の数値を挙げる。
問7
イ。15→28%で約二倍、本文「十年前より増えた」と対応。アは全体の平均が資料にない。ウは原因で、本文にも資料にもない。エは資料と逆。
問8
言えない。本文は「選び方を教えること」を提案しているが、「解消する」とまでは言っていない(「〜ではないだろうか」の提案で、結果は述べていない)。条件の帰結を本文にない事実にしている。
誤答を診断する
| 誤答 | 大きな型 | 戻り先 |
|---|---|---|
| 問2でア | Ⅳ(譲歩を主張に) | 事実と意見、接続語 |
| 問3で「事実」 | Ⅳ(判断を事実に) | 事実と意見 |
| 問4で片方の数値だけ | Ⅰ(読み飛ばし)/Ⅲ(片側だけ) | 文章と図表、比較と対比 |
| 問5で「本と情報」 | Ⅱ(相手の取り違え) | 比較と対比 |
| 問6の根拠に「選べない人は入り口に立てない」 | Ⅳ(意見を事実に) | 意見と根拠 |
| 問7でウ | Ⅳ(図表に原因を読む) | 文章と図表 |
| 問8で「言える」 | Ⅳ(帰結を事実に) | 条件と仮定 |
文章の図
| 段落 | 役割 | 関係 |
|---|---|---|
| 一 | 引用+問い | 問 |
| 二 | 譲歩(事実+限定つきの解釈) | 譲 |
| 三 | 反論+まとめ(資料が裏づけ) | ⇔、=、←資料 |
| 四 | 背景の説明(かつて⇔今、選べる⇔選べない) | →、⇔ |
| 五 | 提案(主張) | 答 |
問い(一)⇒ 答え(五)。主張の根拠:三の資料(データ)、四の選び方の変化(理由)。
コースで身についた技能の確認
| 技能 | 設問 | できたか |
|---|---|---|
| 指示語の置き換え | 問1、問4 | |
| 段落の役割(譲歩・反論) | 問2 | |
| 事実と意見 | 問3、問6 | |
| 図表との対応 | 問4、問7 | |
| 対比の相手と観点 | 問5 | |
| 主張と根拠 | 問6 | |
| 条件の帰結の判定 | 問8 |
空欄が多い行の技能は、「誤りの型を横断して直す」の戻り先で練習します。
よくある間違い
八問を一問ずつ本文に戻って解く
先に図を描けば、八問とも図の一か所を指しています。
資料の数値を本文の意見の裏づけに使う
数値は事実の裏づけです。「入り口に立てない」のような解釈は裏づけられません。
提案を「解決策が示された」と読む
「〜ではないだろうか」は提案で、結果は未定です。
自分で説明しよう
確認1:この文章の問いと答えの段落
問い:一(本当だろうか)。答え:五(選び方を教えること)。
確認2:資料が裏づけている本文の内容
読まない生徒の割合が増えた(二)、読む生徒の平均冊数が増えた(三)。
確認3:問8が「言えない」理由を一言で
本文は提案までで、「解消する」という結果を述べていないから。
コースの出口
資料つきの論説文で、関係の図を描き、指示語・段落の役割・事実と意見・図表の対応・対比・主張と根拠・条件の帰結の八問に、図から答えられたら、このコースは完了です。
次のコース「敬語と言葉遣い」では、場面と相手に応じた言葉の選び方を扱います。
クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。