比較と対比:二つの情報を正しく分ける
このレッスンの役割
論説文は、二つのものを並べて違いや共通点を示します。「何と何を」「どの観点で」比べているかが分からないと、筆者がどちらを重く見ているかを読み違えます。ここでは、比較と対比を見分ける核をつかみます。
今回の中心技能は、二つの情報が「比較・対比」の関係にあると見抜き、比べる相手と観点を取り出せることです。目安時間は8分です。
今日の問い
紙の本は手に取った重さで読んだ量が分かるが、電子書籍は何冊持っても重さが変わらない。
何と何を、どの観点で比べているでしょうか。「紙の本」と「電子書籍」を、「重さで量が分かるか」という観点で比べています。「〜が、〜」で違いを際立たせているので対比です。
比較と対比の定義
| 用語 | 内容 | 例 |
|---|---|---|
| 比較 | 二つ以上を同じ観点で並べ、共通点や程度の差を見る | 紙も電子も、読み手に情報を届ける点では同じだ |
| 対比 | 二つを並べ、違いを際立たせる | 紙は重さで分かるが、電子は分からない |
矢印は「A ⇔ B」。どちらも「観点」が軸になります。
必ず取り出す三つ
| 取り出すもの | 問い | 今日の問い |
|---|---|---|
| 相手A | 何と | 紙の本 |
| 相手B | 何を | 電子書籍 |
| 観点 | どの点で | 重さで読んだ量が分かるか |
観点が言われていないこともあります。そのときは自分で名づけます。
合図の語
| 種類 | 合図 |
|---|---|
| 対比 | 〜が、〜に対して、一方、それに対し、〜とは異なり、逆に |
| 比較 | 〜より、〜ほど、〜と同じように、〜に比べて、最も |
| 両方 | AはX、BはY(同じ形の文を並べる) |
合図がなくても、同じ形の文が二つ並べば比較・対比です。
例題:取り出す
昔の子どもは外で体を使って遊んだ。今の子どもは室内で画面を見て遊ぶ。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 相手A | 昔の子ども |
| 相手B | 今の子ども |
| 観点 | 遊ぶ場所と遊び方 |
| 種類 | 対比(外・体 ⇔ 室内・画面) |
合図はありませんが、同じ形の文が並んでいます。
筆者がどちらを重く見るか
対比には、筆者の立場が隠れていることが多いです。
| 手掛かり | 例 |
|---|---|
| 「しかし」の後 | 確かに紙は重い。しかし、重さが読書の記憶を支える |
| 評価語 | 電子は便利だが、紙は豊かだ |
| 後に置かれた側 | 強調したい側は後 |
ただし、「どちらも大切」という中立の対比もあります。評価語で決めます。
よくある間違い
相手の片方しか見ない
対比は二つで一組です。「紙の本」だけを見て「電子書籍」を落とすと、観点も取れません。
観点を取り出さない
「紙と電子を比べている」で止まると、設問「どの点で違うか」に答えられません。
対比=筆者はどちらかを否定していると思う
中立の対比もあります。評価語がなければ中立です。
自分で確かめよう
確認1:比較・対比で必ず取り出す三つ
相手A、相手B、観点。
確認2:「昔の子どもは外で遊んだ。今の子どもは室内で遊ぶ」の観点
遊ぶ場所(外か室内か)。
確認3:筆者がどちらを重く見るかの手掛かりを二つ
「しかし」の後、評価語。(後に置かれた側 も可)
まとめと次の一歩
比較は同じ観点で並べて共通点や程度を見るもの、対比は違いを際立たせるものです。相手Aと相手Bと観点を必ず取り出し、評価語で筆者の立場を見ます。
次のレッスンでは、文章の中の対比を表に整理する手順を一行ずつ使えるようにします。
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