時間・順序・変化:関係の取り違えを直す
このレッスンの役割
時間の関係の取り違えは、回想を現在と読む、変化を後の状態だけで答える、前後を因果と読む、という形で現れます。ここでは、よく起きる誤りを四つの型に分け、直します。
今回の中心技能は、誤答を見て「書かれた順を起きた順と見なした」「変化の前を落とした」「前後を因果と見なした」「きっかけと経過を混同した」のどれかを言い、直せることです。目安時間は8分です。
今日の問い
「駅前の店は今年閉まった。私が子どものころ、よく通った店だ」で、「店に通ったのはいつか」に「今年」と答えた人がいます。どこで誤ったのでしょうか。
「子どものころ」が時間の合図で、書かれた位置とは関係なく過去です。書かれた順を起きた順と見なす、型①です。
誤りの四つの型
| 型 | 起きていること | 例 | 直し方 |
|---|---|---|---|
| ① 書かれた順を起きた順と見なす | 回想や「〜する前に」を読み飛ばす | 通ったのは今年 | 時間の合図で並べ直す |
| ② 変化の前を落とす | 後の状態だけ答える | 「走るようになった」のみ | 前を本文か推測で補い、組にする |
| ③ 前後を因果と見なす | 「その後」を「だから」と読む | 雨が降ったから試合が始まった | 因果テストで確かめる |
| ④ きっかけと経過を混同する | 変化の途中を原因と答える | きっかけ=体重が減った | 「きっかけは」「を機に」の直後 |
型①を直す:並べ直しの合図
| 合図 | 直し |
|---|---|
| 子どものころ、かつて、当時 | 過去に置く |
| 〜する前に | 直後の出来事より前に置く |
| 〜年前、〜年後 | 数直線に置く |
書かれた順に番号を振り、起きた順に振り直すと、ずれが見えます。
型②を直す:前後の組
| 誤り | 直し |
|---|---|
| 毎朝走るようになった | 以前は走っていなかったが、毎朝走るようになった |
| 店が閉まった | 子どものころから通った店が、今年閉まった |
前が本文にないときは、後から逆算して補います(走っている → 前は走っていない)。
型③を直す:因果テスト
| 文 | テスト | 判定 |
|---|---|---|
| 雨が降った。その後、試合が始まった | 雨がなくても試合は始まる | 時間だけ |
| 健診を受けた。その結果を見て食事を変えた | 結果がなければ変えなかった | 因果(きっかけ) |
「その後」「やがて」「それから」は前後の合図で、因果を保証しません。
型④を直す:きっかけの位置
| 本文 | きっかけ | 経過 |
|---|---|---|
| きっかけは健康診断だった。食事を変え、体重が減り、走り始めた | 健康診断 | 食事、体重、走り始め |
「きっかけ」は変化の最初の一点。経過は途中の出来事。設問「きっかけは何か」には最初の一点を答えます。
例題:どの型か
「父が走り始めたきっかけは何か」に「体重が十キロ減ったこと」と答えた。
本文の構造によります。「きっかけは三年前の健康診断だった」とあれば、型④(経過を答えた)で、答えは健康診断。ただし「走り始めたのはそれからだ」の直前が体重減なら、「走り始めた直接のきっかけ」としては体重減も成り立ちます。設問の語(変化全体のきっかけか、走り始めたきっかけか)で決めます。
「昔はこの川で泳げた。今は禁止されている」で、変化を「禁止されている」と答えた。
型②。「泳げたが、禁止されるようになった」と前後を組にする。
よくある間違い
冒頭に書かれたことが最初に起きたと思う
冒頭は「今」から始まることが多いです。合図で並べ直します。
「〜ようになった」だけで変化を答えた気になる
前の状態が入っていません。「以前は〜」を足します。
「その後」の後を結果だと思う
前後だけです。「AがなければBは起きない」で確かめます。
自分で確かめよう
確認1:「子どものころ通った」を「今年」と答えた誤りの型と直し方
型①。時間の合図「子どものころ」で過去に置き直す。
確認2:「その後」が因果を保証しない理由
前後を言うだけで、「AがなければBは起きない」が成り立つとは限らないから。
確認3:きっかけと経過の違い
きっかけは変化の最初の一点、経過は途中の出来事。
まとめと次の一歩
誤りは、書かれた順を起きた順と見なす、変化の前を落とす、前後を因果と見なす、きっかけと経過の混同、の四つに分けられます。合図で並べ直す、前後の組、因果テスト、「きっかけは」の直後、で直せます。
次のレッスンでは、複数段落の文章と入試形式の問題で、時間・順序・変化の読み取りを通して使います。
クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。