事実と意見:関係を矢印で表す
このレッスンの役割
前のレッスンで、事実と意見の見分け方を知りました。ここでは、段落の文を分類し、意見を事実が支える関係を矢印で表す手順を一つに決めます。この矢印が、筆者の主張の説得力を測る道具になります。
今回の中心技能は、「各文を分類する → 一文の中の混在を分ける → 意見←事実の矢印を引く → 支えのない意見に印をつける」の四段階を一行ずつ書けることです。目安時間は9分です。
今日の問い
①この町の人口は五年で一割減った。②若い人の多くが都市へ出ていったからだ。③このままでは町は消えてしまうだろう。④町は若者を呼び戻す策を講じるべきだ。
分類:①事実(数値)、②事実(移動は確かめられる)、③意見(予想)、④意見(べきだ)。矢印:③ ←(意見←事実)← ①②。④ ←(意見←事実・意見)← ①②③。④は①②③に支えられた主張です。
手順を一行ずつ
| 段階 | すること | 今日の問いの場合 |
|---|---|---|
| 1 | 各文を事実か意見かに分類する | ①②事実、③④意見 |
| 2 | 一文の中の混在を分ける | (混在なし) |
| 3 | 意見←事実の矢印を引く | ③←①②、④←①②③ |
| 4 | 支えのない意見に印をつける | (なし) |
段階2:混在を分ける
| 文 | 事実の部分 | 意見の部分 |
|---|---|---|
| 人口が一割減って深刻だ | 人口が一割減った | 深刻だ |
| 彼は毎朝六時に起きる努力家だ | 毎朝六時に起きる | 努力家だ |
| 三十五度という異常な暑さだった | 三十五度だった | 異常な |
一文を二つの情報に分けてから、矢印を引きます。
段階3:矢印の向き
意見は事実に支えられます。矢印は「事実 → 意見」の向きに「支える」。このコースでは「意見 ← 事実」と書き、「←」は「支えられている」を示します。
| 意見 | 支える事実 |
|---|---|
| 町は消えてしまうだろう | 人口が一割減った、若者が出ていった |
| 彼は努力家だ | 毎朝六時に起きる |
段階4:支えのない意見
この町は住みにくい。だから人口が減ったのだ。
「住みにくい」は意見ですが、支える事実が書かれていません。印をつけます。入試では「筆者の主張の根拠として適切でないものを選べ」「この意見には根拠が示されていない」の形で問われます。
例題:段落全体
①日本の読書時間は減り続けている。②ある調査では、一か月に本を一冊も読まない人が半数を超えた。③これは憂うべき事態だ。④なぜなら、読書は思考力を育てる最も確実な方法だからだ。⑤学校は読書の時間をもっと増やすべきだ。
| 文 | 分類 | 支え |
|---|---|---|
| ① | 事実 | ― |
| ② | 事実 | ①の具体 |
| ③ | 意見(評価) | ←①② |
| ④ | 意見(理由。「最も確実」は評価) | ③を支えるが、④自体は事実に支えられていない |
| ⑤ | 意見(主張) | ←③④ |
④は「なぜなら」で③の理由ですが、それ自体が意見です。支えのない意見として印をつけます。
よくある間違い
段階1で「なぜなら」の後を全部事実だと思う
「なぜなら」の後が意見のこともあります(読書は最も確実な方法だ)。分類は文末と評価語で。
段階2を飛ばして一文をまるごと分類する
「一割減って深刻だ」は事実と意見の混在です。分けます。
段階4を省く
支えのない意見を見つけることが、「根拠として適切か」の設問の答えです。
自分で確かめよう
確認1:「彼は毎朝六時に起きる努力家だ」を事実と意見に分けて、矢印を
事実:毎朝六時に起きる。意見:努力家だ。努力家だ ← 毎朝六時に起きる。
確認2:「なぜなら」の後は必ず事実ですか
いいえ。意見のこともある。文末と評価語で判定する。
確認3:段階4で印をつける意見とは
支える事実が書かれていない意見。
まとめと次の一歩
手順は、分類する、混在を分ける、意見←事実の矢印、支えのない意見に印、の四段階です。「なぜなら」の後も意見のことがあり、支えのない意見が設問の鍵になります。
次のレッスンでは、事実と意見の見分けでよく起きる誤りを集め、どの段階で崩れたかを見抜けるようにします。
クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。