比較と対比:複数段落・入試で統合する
このレッスンの役割
ここは「比較と対比」の出口です。見分け方、四段階の手順、誤りの四つの型を、複数段落の論説文と入試形式の問題で通して使います。
中心技能は、対比の相手と観点を指摘し、違いを「Aは〜が、Bは〜」で記述し、筆者の立場を判定することです。目安時間は10分です。
入試でどう出るか
比較・対比は、三つの形で出ます。
- 相手と観点の指摘:「──線部は何と何を、どの点で比べているか」
- 違いの記述:「AとBの違いを〜字以内で説明せよ」
- 立場の判定:「筆者はAとBのどちらを重く見ているか。その理由とともに答えよ」
総合問題
次の文章を読んで、あとの問いに答えなさい。
昔の町には、肉屋、魚屋、八百屋が別々にあった。買い物には時間がかかり、店ごとに会話が生まれた。店主は客の好みを覚えていて、「今日はいいのが入ったよ」と声をかけた。
今の町には、何でもそろうスーパーがある。買い物は一か所で済み、短時間で終わる。レジでは言葉を交わさなくても買い物ができる。
確かに、スーパーの便利さは手放せない。しかし、買い物が「物を手に入れる」だけの行為になったとき、町から失われたものがある。それは、人と人とが顔を合わせる機会だ。
問1
第一段落と第二段落は、何と何を比べているか。
問2
二つの段落が比べている観点を二つ答えなさい。
問3
昔の町と今の町の買い物の違いを、「会話」の観点から「昔は〜が、今は〜」の形で四十字以内で説明しなさい。
問4
筆者はどちらの買い物を重く見ているか。理由とともに答えなさい。
答えと判断
問1
昔の町の買い物(別々の店)と、今の町の買い物(スーパー)。段落ごとに「昔の町には」「今の町には」と同じ形で始まっている。
問2
時間(買い物にかかる時間)と、会話(店の人との言葉のやりとり)。「時間がかかり」⇔「短時間で終わる」、「会話が生まれた」⇔「言葉を交わさなくても」。
問3
「昔は店ごとに店主との会話が生まれたが、今は言葉を交わさずに買い物ができる。」(三十八字)。同じ観点(会話)で横一行に組む。
問4
昔の買い物。「確かに、スーパーの便利さは手放せない」は譲歩で、「しかし」の後に「失われたものがある」「人と人とが顔を合わせる機会」と、昔の買い物にあったものを惜しんでいるから。
誤答を診断する
| 誤答 | 型 | 戻るレッスン |
|---|---|---|
| 問1で「肉屋と魚屋」 | 相手の取り違え | 関係の取り違えを直す(型①) |
| 問3で「昔は時間がかかったが、今は言葉を交わさない」 | 観点のずれ | 関係の取り違えを直す(型②) |
| 問3で「昔は会話が生まれた」だけ | 片側だけの説明 | 関係の取り違えを直す(型③) |
| 問4で「今の買い物(便利だから)」 | 「確かに」を立場と読んだ | 関係の取り違えを直す(型④) |
対比の表
| 観点 | 昔の町 | 今の町 |
|---|---|---|
| 店 | 別々の店 | 一か所のスーパー |
| 時間 | かかる | 短い |
| 会話 | 店主と生まれる | 交わさなくてよい |
| 筆者の評価 | 人と顔を合わせる機会(失われたもの) | 便利(譲歩) |
答案で落とさないための確認
| 確認 | 見るもの |
|---|---|
| 相手は同じ形の段落・文の主語か | 昔の町⇔今の町 |
| 観点は表の行になっているか | 時間、会話 |
| 違いは「Aは〜が、Bは〜」で同じ行か | 会話⇔会話 |
| 立場は「しかし」の後か | 失われたもの |
| 「確かに」を立場にしていないか | 便利さは譲歩 |
よくある間違い
段落の中の小さな対比を大きな対比と取り違える
「肉屋と魚屋」は列挙です。段落同士の「昔⇔今」が本題の対比。
指定された観点を無視する
「会話の観点から」と言われたら、時間の話は入れません。
譲歩の便利さを筆者の立場にする
「確かに〜手放せない」は相手に譲った部分です。「しかし」の後を立場にします。
自分で説明しよう
確認1:対比を整理する四段階
相手を二つ決める、観点を見つける、表に入れる、筆者の立場を確かめる。
確認2:「確かに〜。しかし〜」の構造で立場はどこですか
「しかし」の後。「確かに」の中身は譲歩。
確認3:違いの記述で、観点をそろえるとはどういうことですか
表の同じ行のAとBを組む(会話⇔会話、時間⇔時間)。
セクションの出口
複数段落の論説文で、対比の相手と観点を指摘し、同じ観点で違いを記述し、「しかし」の後から筆者の立場を判定できたら完了です。
次のセクション「並列・添加・選択」では、情報を横に並べる関係を扱います。
クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。