比較と対比:関係の取り違えを直す
このレッスンの役割
比較・対比の取り違えは、「違いを説明せよ」に片方しか書かない、違う観点同士を比べる、筆者の立場を逆に読む、という形で現れます。ここでは、よく起きる誤りを四つの型に分け、直します。
今回の中心技能は、誤答を見て「相手を取り違えた」「観点がずれた」「片側だけ説明した」「立場を読み違えた」のどれかを言い、直せることです。目安時間は8分です。
今日の問い
「手紙は時間がかかるが、その時間が気持ちを形にする。メールは速いが言葉が軽い」で、違いを「手紙は時間がかかるが、メールは言葉が軽い」と答えた人がいます。どこで誤ったのでしょうか。
「時間がかかる」は速さの観点、「言葉が軽い」は気持ちの観点です。違う観点を一組にしています。観点のずれ、型②です。
誤りの四つの型
| 型 | 起きていること | 例 | 直し方 |
|---|---|---|---|
| ① 相手の取り違え | 対比の相手を別のものにする | 手紙 ⇔ 時間 | 同じ形の文の主語を探す |
| ② 観点のずれ | 違う観点のAとBを一組にする | 速さ ⇔ 気持ち | 表の同じ行で組む |
| ③ 片側だけの説明 | 「違い」にAしか書かない | 手紙は時間がかかる | 「Aは〜が、Bは〜」の形 |
| ④ 立場の読み違え | 「しかし」の後を見落とし逆に読む | 筆者はメール派 | 「しかし」の後と評価語を全部見る |
型①を直す:相手の見つけ方
| 手掛かり | 例 |
|---|---|
| 同じ形の文の主語 | 手紙は〜。メールは〜。 |
| 「一方」「それに対して」の前後の主語 | 手紙は〜。一方、メールは〜。 |
| 「〜と〜」で並ぶ名詞 | 紙の本と電子書籍 |
「手紙 ⇔ 時間」のように、相手と観点を混ぜない。
型②を直す:同じ行で組む
| 観点 | 手紙 | メール |
|---|---|---|
| 速さ | 遅い | 速い |
| 気持ち | 形になる | 軽い |
違いを言うときは横一行で。「手紙は遅いが、メールは速い」「手紙は気持ちが形になるが、メールは言葉が軽い」。斜めに組まない。
型③を直す:違いの記述の形
| 誤り | 直し |
|---|---|
| 手紙は時間がかかる。 | 手紙は時間がかかるが、メールはすぐに届くという違い。 |
| メールは軽い。 | 手紙は気持ちが形になるのに対し、メールは言葉が軽くなりやすいという違い。 |
「違い」は二つで一組。片方だけでは半分です。
型④を直す:立場の読み方
| 文 | 読み |
|---|---|
| 確かにメールは便利だ。しかし、手紙には重みがある | 「確かに」は譲歩、「しかし」の後が立場 → 手紙 |
| 手紙は丁寧だ。しかし、今はメールが現実的だ | 「しかし」の後 → メール |
| 手紙にもメールにもそれぞれの良さがある | 評価語が両方に → 中立 |
「確かに〜。しかし〜」の「確かに」の中身を立場と取り違えないこと。
例題:どの型か
「都会と地方の違い」を「都会は家賃が高いが、地方は自然が近い」と答えた。
型②。家賃と自然は別の観点。「都会は家賃が高いが、地方は安い」と同じ行で。
「確かに紙の本は重い。しかし、その重さが記憶を支える」で、筆者は電子書籍を勧めていると読んだ。
型④。「確かに」は譲歩。「しかし」の後が立場で、紙の本。
よくある間違い
「違い」を一文で書けば二つ入っていると思う
「手紙は時間がかかる」には手紙しかありません。相手を数えます。
目についた特徴同士を組む
観点をそろえずに組むと比べたことになりません。表を作ってから横に読みます。
「確かに」の中身を筆者の考えだと思う
「確かに」は相手に譲る部分です。「しかし」の後に戻ります。
自分で確かめよう
確認1:「手紙は時間がかかるが、メールは言葉が軽い」の誤りの型と直し方
型②(観点のずれ)。同じ観点で組む:「手紙は時間がかかるが、メールはすぐ届く」。
確認2:「違い」の記述に必ず入れるもの
AとBの両方(「Aは〜が、Bは〜」)。
確認3:「確かに〜。しかし〜」で筆者の立場はどこですか
「しかし」の後。「確かに」は譲歩。
まとめと次の一歩
誤りは、相手の取り違え、観点のずれ、片側だけの説明、立場の読み違え、の四つに分けられます。同じ形の文の主語、表の同じ行、「Aは〜が、Bは〜」の形、「しかし」の後、で直せます。
次のレッスンでは、複数段落の論説文と入試形式の問題で、比較・対比の読み取りを通して使います。
クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。