意見と根拠:二つの情報を正しく分ける
このレッスンの役割
前のセクションで、事実と意見を分けました。ここでは、意見のうち筆者が主張している内容と、それを支える根拠を対応させます。論説文の設問「筆者の主張とその根拠を答えよ」は、この対応を問います。
今回の中心技能は、意見(主張)と根拠を区別し、根拠の三つの種類(理由・事例・データ)を言えることです。目安時間は8分です。
今日の問い
学校は読書の時間を増やすべきだ。読書は語彙を増やし、考える力を育てるからだ。ある調査では、毎日読書する生徒は、しない生徒より読解力の平均点が十点高かった。
主張はどれでしょうか。「読書の時間を増やすべきだ」。根拠は二つ。「語彙を増やし考える力を育てる」(理由)と、「読解力の平均点が十点高かった」(データ)。主張は一つで、根拠が複数それを支えています。
意見と根拠の定義
| 用語 | 内容 | 問い |
|---|---|---|
| 意見(主張) | 筆者が読者に認めてほしい考え | 筆者は何を言いたいか |
| 根拠 | 主張を「そのとおりだ」と思わせるもの | なぜそう言えるか |
矢印は「主張 ← 根拠」。根拠が主張を支えます。
根拠の三つの種類
| 種類 | 内容 | 例 | 合図 |
|---|---|---|---|
| 理由 | 主張が正しい理屈 | 読書は考える力を育てる | なぜなら、からだ、ため |
| 事例 | 主張に当てはまる具体的な出来事 | ある生徒は読書を始めて成績が上がった | たとえば、実際に |
| データ | 数値・調査・統計 | 平均点が十点高かった | 調査によれば、〜パーセント |
理由は意見に近く(確かめにくい)、事例とデータは事実に近い(確かめられる)です。
主張の見つけ方
| 手掛かり | 例 |
|---|---|
| 文末 | 〜べきだ、〜と考える、〜ではないだろうか、〜が必要だ |
| 位置 | 段落の最初か最後、「しかし」「つまり」の後 |
| 繰り返し | 同じ内容が言葉を変えて何度も出る |
例題:分ける
自転車に乗るときはヘルメットをかぶるべきだ。頭部のけがは命に関わるからだ。実際、ヘルメットをかぶっていた人の死亡率は、かぶっていない人の三分の一だったという統計がある。昨年、近所の中学生がヘルメットのおかげで軽いけがで済んだ例もある。
| 部分 | 種類 |
|---|---|
| ヘルメットをかぶるべきだ | 主張 |
| 頭部のけがは命に関わる | 根拠(理由) |
| 死亡率が三分の一 | 根拠(データ) |
| 中学生が軽いけがで済んだ | 根拠(事例) |
よくある間違い
根拠を主張だと思う
「読書は考える力を育てる」は根拠です。主張は「増やすべきだ」。文末の「べきだ」が目印。
根拠を一つしか探さない
根拠は複数あることが普通です。理由・事例・データの三種類を探します。
事例やデータを読み飛ばす
具体的な部分は根拠です。主張を支える材料として拾います。
自分で確かめよう
確認1:根拠の三つの種類
理由、事例、データ。
確認2:「読書の時間を増やすべきだ。読書は考える力を育てるからだ」の主張と根拠
主張:読書の時間を増やすべきだ。根拠(理由):読書は考える力を育てる。
確認3:主張の文末の目印を二つ
〜べきだ、〜と考える。(〜ではないだろうか、〜が必要だ も可)
まとめと次の一歩
主張は筆者が認めてほしい考えで、根拠はそれを支える理由・事例・データです。主張は文末と位置で見つけ、根拠は三種類を全部探します。
次のレッスンでは、段落の主張と根拠を対応させて矢印で表す手順を一行ずつ使えるようにします。
クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。