事実と意見:複数段落・入試で統合する
このレッスンの役割
ここは「事実と意見」の出口です。見分け方、四段階の手順、誤りの四つの型を、複数段落の論説文と入試形式の問題で通して使います。
中心技能は、筆者の意見を抜き出し、事実を選び、引用された他人の意見を区別し、根拠の適切さを判定することです。目安時間は10分です。
入試でどう出るか
事実と意見は、四つの形で出ます。
- 筆者の意見の抜き出し:「筆者の考えが最もよく表れている一文を抜き出せ」
- 事実の選択:「次のうち、事実を述べている文を選べ」
- 他人の意見の区別:「筆者が反論している考え方を答えよ」
- 根拠の適切さ:「筆者の主張の根拠として示されている事実を答えよ」
総合問題
次の文章を読んで、あとの問いに答えなさい。
①近年、「子どもは外で遊ばなくなった」と言われる。②ある調査によれば、小学生が屋外で遊ぶ時間は、三十年前の半分以下になった。③公園の数自体は減っていないが、ボール遊びを禁止する公園が増えたという。④遊び場があっても遊べないのでは、意味がない。⑤私は、子どもが体を使って遊ぶ機会は、学力と同じくらい大切だと考える。⑥なぜなら、体を動かす経験が、集中力や協調性の土台になるからだ。⑦大人は、禁止ではなく、安全に遊べる工夫を考えるべきだ。
問1
①〜⑦のうち、事実を述べている文をすべて選びなさい。
問2
筆者の主張が最もはっきり表れている一文を選びなさい。
問3
①の「子どもは外で遊ばなくなった」は、誰の見方として書かれていますか。
問4
⑥は⑤の根拠として示されているが、事実か意見か。理由とともに答えなさい。
答えと判断
問1
②③。②は調査の数値、③は公園の数と禁止の増加で、どちらも確かめられる。①は「と言われる」で一般の見方の引用(事実として書かれているのは「言われている」ことだけ)。④「意味がない」、⑤「大切だ」、⑥「土台になる」、⑦「べきだ」は評価・判断。
問2
⑦。「〜べきだ」で筆者の主張を言い切っている。⑤も筆者の考えだが、⑦が結論。
問3
世間一般(「と言われる」で引用された、多くの人の見方)。筆者自身の見方ではなく、筆者は②③の事実でそれを裏づけたうえで、⑤⑦の主張に進んでいる。
問4
意見。「土台になる」は確かめにくい判断で、数値や観察の裏づけが示されていない。⑤を支える理由として置かれているが、それ自体は事実に支えられていない。
誤答を診断する
| 誤答 | 型 | 戻るレッスン |
|---|---|---|
| 問1で①を選んだ | 引用を事実と見なした | 関係の取り違えを直す(型④) |
| 問1で④を選んだ | 言い切りを事実と見なした | 関係の取り違えを直す(型①) |
| 問2で② | 事実を主張と取り違えた | 二つの情報を正しく分ける |
| 問4で「事実」 | 「なぜなら」の後を事実と決めつけた | 関係の取り違えを直す(型③) |
事実と意見の表
| 文 | 分類 | 役割 |
|---|---|---|
| ① | 引用(一般の見方) | 話題の導入 |
| ② | 事実 | ①を裏づける |
| ③ | 事実 | 原因の説明 |
| ④ | 意見 | ③への評価 |
| ⑤ | 意見 | 筆者の考え |
| ⑥ | 意見 | ⑤の理由(事実の支えなし) |
| ⑦ | 意見 | 主張(結論) |
答案で落とさないための確認
| 確認 | 見るもの |
|---|---|
| 「調べられるか」で分けたか | 数値・調査・観察 |
| 評価語を見たか | 意味がない、大切だ、べきだ |
| 引用の印を見たか | と言われる、という |
| 「なぜなら」の後も分類したか | 土台になる=判断 |
| 主張は結論の文か | べきだ、と考える |
よくある間違い
冒頭の文を筆者の主張だと思う
冒頭は話題の導入で、引用のことが多いです。主張は「しかし」の後や結論の文。
「なぜなら」の後を根拠=事実だと思う
根拠が意見のこともあります。分類してから「事実に支えられているか」を見ます。
筆者の考えを一つだけ探す
⑤と⑦のように複数あります。設問の「最もはっきり」なら結論を選びます。
自分で説明しよう
確認1:事実と意見を分ける二つのテスト
「調べられるか」(事実)と「人によって違いうるか」(意見)。
確認2:「と言われる」の中身は誰の見方ですか
引用された一般の見方。筆者自身の主張ではない。
確認3:根拠が意見であるとき、何に注意しますか
その意見が事実に支えられているか。支えがなければ「根拠として弱い」と判定できる。
セクションの出口
複数段落の論説文で、事実と意見を分け、引用を区別し、筆者の主張と根拠の種類を答えられたら完了です。
次のセクション「意見と根拠」では、主張とそれを支える理由・事例・データの対応を扱います。
クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。