比較と対比:関係を矢印で表す
このレッスンの役割
前のレッスンで、比較と対比の見分け方を知りました。ここでは、文章の中の対比を表に整理する手順を一つに決めます。観点が複数あるとき、表にすると取りこぼしが消えます。
今回の中心技能は、「相手を二つ決める → 観点を見つける → 各観点でAとBの内容を入れる → 筆者の立場を確かめる」の四段階を一行ずつ書けることです。目安時間は9分です。
今日の問い
手紙は、書くのに時間がかかり、届くまでにも日数がかかる。しかし、その時間が、相手を思う気持ちを形にする。メールは、すぐに書けてすぐに届く。ただ、手軽さの分だけ、言葉が軽くなりやすい。
表に整理します。相手:手紙とメール。観点:速さ、気持ちの重さ。手紙は遅いが気持ちが形になる、メールは速いが言葉が軽い。筆者の立場:「しかし」の後と「ただ」の後が評価で、手紙を重く見ています。
手順を一行ずつ
| 段階 | すること | 今日の問いの場合 |
|---|---|---|
| 1 | 相手を二つ決める | 手紙 ⇔ メール |
| 2 | 観点を見つける | 速さ、気持ちの重さ |
| 3 | 各観点でAとBの内容を表に入れる | 下の表 |
| 4 | 筆者の立場を確かめる | 手紙を重く見る(しかし、ただ) |
段階3:対比の表
| 観点 | 手紙 | メール |
|---|---|---|
| 速さ | 遅い | 速い |
| 気持ちの重さ | 形になる | 軽くなりやすい |
表が埋まらない欄があれば、本文から探すか、「書かれていない」と記録します。
段階2:観点の見つけ方
| 手掛かり | 例 |
|---|---|
| 同じ形の文の、違う部分 | 「時間がかかる」⇔「すぐに」→ 速さ |
| 「〜の点で」「〜において」 | 速さの点では |
| 評価語の対 | 重い⇔軽い、豊か⇔便利 |
観点は本文の言葉をそのまま使えないことが多く、自分で名づけます。「速さ」「気持ちの重さ」のように短い名詞にします。
段階4:立場の確かめ
| 手掛かり | 今日の問い |
|---|---|
| 「しかし」「ただ」の後 | 手紙の良さ、メールの弱さ |
| 評価語 | 形にする(+)、軽くなりやすい(−) |
| 配置 | 手紙の良さが「しかし」の後に強調 |
立場が読めたら、「筆者は手紙を重く見ている」と一行で書きます。
例題:観点が三つ
都会は仕事の選択肢が多く、交通も便利だ。しかし、家賃が高く、自然が少ない。地方は仕事が限られ、車がないと動けない。だが、家賃が安く、自然が近い。
| 観点 | 都会 | 地方 |
|---|---|---|
| 仕事 | 選択肢が多い | 限られる |
| 交通 | 便利 | 車が必要 |
| 家賃 | 高い | 安い |
| 自然 | 少ない | 近い |
四つの観点。立場は、「しかし」「だが」の後がどちらにもあるので中立に近い。
記述への応用
「AとBの違いを説明せよ」は、表の一行を文にします。「手紙は届くまでに時間がかかるが、メールはすぐに届くという違い。」観点を入れて「〜という点で」と書くと明確です。
よくある間違い
段階1で相手を一つしか置かない
対比は二つで一組です。片方が省略されていても、文脈から補います。
段階2で観点を本文の語で探す
観点は名づけるものです。見つからないときは「違う部分」に名前をつけます。
段階4で「しかし」の後をどちらか一方にしか見ない
両側に「しかし」があれば中立に近い。配置を全部見ます。
自分で確かめよう
確認1:「紙の本は重さで量が分かるが、電子書籍は変わらない」を四段階で
紙⇔電子 → 観点:重さで量が分かるか → 紙は分かる、電子は分からない → 立場は書かれていない(中立)。
確認2:観点を本文の語で探せないとき、どうしますか
違う部分に短い名詞で名前をつける。
確認3:「違いを説明せよ」の記述の形
「Aは〜だが、Bは〜という違い。」(観点を「〜という点で」で入れる)
まとめと次の一歩
手順は、相手を二つ決める、観点を見つける、表に入れる、立場を確かめる、の四段階です。観点は自分で名づけ、立場は「しかし」の後と評価語の配置で読みます。
次のレッスンでは、比較・対比でよく起きる誤りを集め、どの段階で崩れたかを見抜けるようにします。
クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。