LESSON 01

具体と抽象

具体と抽象:複数段落・入試で統合する

複数段落の論説文で、抽象語の言い換え記述、具体例の抜き出し、段落のまとめを入試形式で解き、具体と抽象の往復を本番で使える形にまとめます。

具体と抽象:複数段落・入試で統合する

このレッスンの役割

ここは「具体と抽象」の出口です。見分け方、四段階の手順、誤りの四つの型を、複数段落の論説文と入試形式の問題で通して使います。

中心技能は、抽象語を具体の共通点で言い換え、具体例を抜き出し、段落を抽象の側でまとめることです。目安時間は10分です。

入試でどう出るか

具体と抽象は、三つの形で出ます。

  1. 言い換え記述:「──線部『〜』とはどういうことか。本文の具体例をふまえて説明せよ」
  2. 具体例の抜き出し:「──線部の例として挙げられているものを二つ抜き出せ」
  3. 段落のまとめ:「この段落の内容を〜字以内でまとめよ」(抽象の側で)

総合問題

次の文章を読んで、あとの問いに答えなさい。

道具は人の能力を①拡張する。望遠鏡は目の届く範囲を広げ、自動車は足の届く範囲を広げ、計算機は頭の処理できる量を広げた。

しかし、拡張には②代償がある。望遠鏡に頼れば肉眼で星を探さなくなり、自動車に頼れば歩かなくなり、計算機に頼れば暗算をしなくなる。道具が広げた範囲の分だけ、元の能力は使われなくなるのだ。

だから、道具を使うときには、何を得て何を失っているのかを意識する必要がある。

問1

①「拡張する」とはどういうことか。本文の具体例をふまえて「〜こと」の形で説明しなさい。

問2

②「代償」の具体例として本文に挙げられているものを三つ抜き出しなさい。

問3

第二段落の内容を、具体例を使わずに三十字以内でまとめなさい。

問4

筆者の主張を抜き出しなさい。

答えと判断

問1

「道具が、目・足・頭といった人の能力の届く範囲を広げること。」三つの具体(望遠鏡・自動車・計算機)の共通点「届く範囲を広げる」。

問2

「肉眼で星を探さなくなり」「歩かなくなり」「暗算をしなくなる」。「望遠鏡に頼れば〜」の三つ。

問3

「道具が広げた範囲の分だけ、元の能力は使われなくなる。」(二十五字)。段落末の抽象の文。具体(望遠鏡など)は入れない。

問4

「道具を使うときには、何を得て何を失っているのかを意識する必要がある。」「だから」の後、「必要がある」の文。

誤答を診断する

誤答 型 戻るレッスン
問1で「望遠鏡で遠くが見えること」 共通点が狭すぎる 関係の取り違えを直す(型②)
問1で「便利になること」 共通点が広すぎる 関係の取り違えを直す(型②)
問3に「望遠鏡」を入れた 具体を抽象のまとめに入れた 関係の取り違えを直す(型①)
問4で「望遠鏡に頼れば〜」 具体を主張と見なした 関係の取り違えを直す(型①)

段落の構造

段落 抽象 具体
1 道具は能力を拡張する 望遠鏡・自動車・計算機が範囲を広げる
2 拡張には代償がある/元の能力が使われなくなる 星を探さない・歩かない・暗算しない
3 何を得て何を失うかを意識すべき(主張) ―

各段落が「抽象+具体」の組で、第三段落が主張。

記述の使い分け

設問 使うもの 使わないもの
どういうことか(具体例をふまえて) 具体の共通点 一つの具体の写し
具体例を抜き出せ 具体 抽象
段落をまとめよ、主張を答えよ 抽象 具体

答案で落とさないための確認

確認 見るもの
共通点は全部の具体に当てはまるか 目・足・頭
共通点は他と区別できるか 「便利」で済ませていない
まとめに具体を入れていないか 固有名詞・物の名前
主張は抽象の文か だから、必要がある
抜き出しは具体の部分か 「〜なくなり」の三つ

よくある間違い

「具体例をふまえて」を「具体例を書け」と読む

ふまえるとは、共通点を取り出すこと。例を並べるのではありません。

段落のまとめで字数が余ると具体を足す

字数は上限です。抽象の文で足ります。

主張を第一段落で探す

主張は「だから」の後、最終段落にあることが多いです。

自分で説明しよう

確認1:「〜とはどういうことか。具体例をふまえて」で書くもの

具体例から取り出した共通点。

確認2:段落を抽象の側でまとめる理由

具体は材料で、段落の内容は抽象の文に集約されているから。

確認3:各段落の「抽象+具体」の組を見つける利点

言い換え・抜き出し・まとめ・主張の全設問に一つの表で答えられる。

セクションの出口

複数段落の論説文で、抽象語を共通点で言い換え、具体を抜き出し、段落を抽象の側でまとめ、主張を見つけられたら完了です。

次のセクション「比較と対比」では、共通点を比べる関係と違いを際立たせる関係を、観点に注目して読む方法を扱います。

クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。

UNDERSTANDING CHECK

理解チェック:具体と抽象を入試で使う

70% 合格ライン
  1. 設問 0
    「道具は人の能力を拡張する。望遠鏡は目の、自動車は足の、計算機は頭の範囲を広げた」で、「拡張する」とはどういうことか。
  2. 設問 1
    「〜とはどういうことか。具体例をふまえて」で書くものはどれですか。
  3. 設問 2
    段落を字数以内でまとめるとき、使うのはどちらですか。
  4. 設問 3
    「望遠鏡に頼れば肉眼で星を探さなくなる」は、段落の中でどの役割ですか。
  5. 設問 4
    筆者の主張が置かれやすい位置はどれですか。

まずは自分で選んでみましょう。採点・学習履歴への記録は、回答APIとの連携時に追加します。