具体と抽象:関係を矢印で表す
このレッスンの役割
前のレッスンで、具体と抽象の見分け方を知りました。ここでは、文章の中で抽象とそれを支える具体を対応させ、矢印で表す手順を一つに決めます。抽象の意味は、具体の共通点で決まります。
今回の中心技能は、「抽象の文を決める → 支える具体を集める → 具体の共通点を言う → 共通点が抽象と一致するか確かめる」の四段階を一行ずつ書けることです。目安時間は9分です。
今日の問い
彼は誠実な人だ。約束の時間には必ず来る。借りた物は翌日に返す。間違えたときはすぐに謝る。
「誠実」とはどういうことか、手順で決めます。抽象の文:誠実な人だ。具体:必ず来る、翌日に返す、すぐに謝る。共通点:当たり前のことをきちんと守る。一致:「誠実=当たり前のことをきちんと守る」で通ります。矢印は、誠実 ←(抽象←具体)← 三つの行動。
手順を一行ずつ
| 段階 | すること | 今日の問いの場合 |
|---|---|---|
| 1 | 抽象の文を決める | 誠実な人だ |
| 2 | 支える具体を集める | 必ず来る、翌日に返す、すぐに謝る |
| 3 | 具体の共通点を言う | 当たり前のことをきちんと守る |
| 4 | 共通点が抽象と一致するか確かめる | 誠実=きちんと守る → 一致 |
段階2:具体の集め方
| 場所 | 合図 |
|---|---|
| 抽象の直後 | たとえば、具体的には |
| 抽象の直前 | 〜。このように〜(抽象) |
| 列挙 | 〜たり〜たり、〜や〜、〜も |
| 段落の中の固有名詞・数字 | 合図なし |
複数の具体を全部集めます。一つでは共通点が取れません。
段階3:共通点の取り方
| 具体 | 共通点の候補 |
|---|---|
| 必ず来る、翌日に返す、すぐに謝る | 約束を守る?(謝るは約束ではない)→ 当たり前のことをきちんとする |
| 描かない部分、止めた瞬間、言わない部分 | 何もしない部分が意味を持つ |
| 声をかける、席をゆずる | 困っている人を助ける |
全部の具体に当てはまり、かつ他と区別できる言葉を選びます。
段階4:一致の確かめ
| 抽象 | 共通点 | 判定 |
|---|---|---|
| 誠実 | 当たり前のことをきちんと守る | 一致 |
| 誠実 | 時間に正確 | 「謝る」に当てはまらない → 不一致(狭すぎ) |
| 誠実 | 良い人 | 他の性質と区別できない → 不一致(広すぎ) |
不一致なら、段階3の共通点を取り直します。
例題:逆方向(抽象→具体)
現代社会は情報過多だ。
具体が本文にないとき、自分で具体を置いて抽象の意味を確かめます。スマートフォンの通知、絶え間ないニュース、検索結果の多さ。共通点「必要以上に情報が多く処理しきれない」。これが「情報過多」の意味。
記述への応用
「〜とはどういうことか」は、抽象を具体の共通点で言い換える設問です。段階3の共通点が答えの骨組みになります。「誠実とはどういうことか」→「当たり前のことをきちんと守ること」。
よくある間違い
段階2で具体を一つしか集めない
共通点は二つ以上から取ります。
段階3で共通点を具体の一つで言う
「誠実=必ず来ること」は一つの例の写しです。全部に当てはまる言葉にします。
段階4を省く
共通点が狭すぎたり広すぎたりしても気づけません。一致を確かめます。
自分で確かめよう
確認1:「彼女は視野が広い。専門以外の本も読み、異なる世代の人とも話す」を四段階で
抽象:視野が広い → 具体:専門外の本、異世代の人 → 共通点:自分の範囲の外にも目を向ける → 一致。
確認2:共通点が「狭すぎる」とはどういう状態ですか
具体の一部にしか当てはまらない(時間に正確、など)。
確認3:本文に具体がない抽象語の意味を確かめる方法
自分で具体を置いて共通点を取る。
まとめと次の一歩
手順は、抽象の文を決める、具体を集める、共通点を言う、一致を確かめる、の四段階です。共通点は全部の具体に当てはまり他と区別できる言葉で、記述の骨組みになります。
次のレッスンでは、具体と抽象の対応でよく起きる誤りを集め、どの段階で崩れたかを見抜けるようにします。
クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。