情報を一つずつ取り出そう:複数段落・入試で統合する
このレッスンの役割
ここは「情報を一つずつ取り出そう」の出口です。情報の単位、四段階の手順、誤りの四つの型を、複数段落の文章と入試形式の問題で通して使います。
中心技能は、複数段落の文章から登場人物ごとの行動を表に整理し、「誰が何をしたか」「それは何を指すか」を答えることです。目安時間は10分です。
入試でどう出るか
情報の取り出しは、三つの形で出ます。
- 主語の指摘:「──線部の動作をしたのは誰か」
- 対象の指摘:「──線部『それ』は何を指すか」
- 行動の整理:「〜が〜したのはなぜか」(原因の文を探す前提として、行動を正確に取り出す)
物語文では、登場人物が複数いて主語が頻繁に省略されるので、表にする力が効きます。
総合問題
次の文章を読んで、あとの問いに答えなさい。
放課後、健太は忘れ物に気づいて教室に戻った。机の上に、見覚えのないノートが置いてあった。開くと、美咲の名前が書いてあった。翌朝、それを彼女に渡した。美咲は少し驚いた顔をして、小さく礼を言った。健太は、なぜか少しうれしくなった。
問1
「開くと」の動作をしたのは誰か。
問2
「それを彼女に渡した」の「それ」と「彼女」はそれぞれ何・誰を指すか。
問3
美咲の行動を、「誰が・何を・どうした」で全部書き出しなさい。
問4
健太の行動を、順番に四つ書き出しなさい。
答えと判断
問1
健太。前の文の主語「健太は」が省略されて続いている。「ノートが置いてあった」の主語は「ノートが」だが、「開く」のはノートではなく人なので健太。
問2
「それ」はノート(美咲の名前が書いてあったノート)。「彼女」は美咲。
問3
美咲は 驚いた顔を した/美咲は(健太に)礼を 言った。二つ。
問4
健太は 忘れ物に 気づいた/健太は 教室に 戻った/健太は ノートを 開いた/健太は ノートを 美咲に 渡した。(「うれしくなった」を含めて五つでも可。設問の「行動」としては四つ。)
誤答を診断する
| 誤答 | 型 | 戻るレッスン |
|---|---|---|
| 問1で「ノート」 | 主語の取り違え(直前の名詞を主語にした) | 関係の取り違えを直す(型①) |
| 問2で「それ=名前」 | 指示語の指す範囲を誤った | 関係の取り違えを直す(型③) |
| 問3で「礼を言った」のみ | 「驚いた顔をして」の述語を見落とした | 関係の取り違えを直す(型④) |
| 問4で「渡した」の対象なし | 対象の落とし | 関係の取り違えを直す(型②) |
登場人物ごとの表
| 番号 | 誰が | 何を | どうした |
|---|---|---|---|
| 1 | 健太は | 忘れ物に | 気づいた |
| 2 | 健太は | 教室に | 戻った |
| 3 | ノートが | 机の上に | 置いてあった |
| 4 | 健太は | ノートを | 開いた |
| 5 | 名前が | ノートに | 書いてあった |
| 6 | 健太は | ノートを美咲に | 渡した |
| 7 | 美咲は | 驚いた顔を | した |
| 8 | 美咲は | 礼を | 言った |
| 9 | 健太は | ― | うれしくなった |
この表があれば、四問全部に答えられます。
答案で落とさないための確認
| 確認 | 見るもの |
|---|---|
| 主語は明示を優先したか | 「美咲は」が出たら切り替え |
| 省略は前の文から補ったか | 「開くと」「渡した」は健太 |
| 指示語を置き換えたか | それ=ノート、彼女=美咲 |
| 途中の述語を拾ったか | 驚いた顔をして/礼を言った |
| 対象を書いたか | ノートを、美咲に |
よくある間違い
直前の名詞を主語にする
「ノートが置いてあった。開くと」で、開いたのはノートではありません。意味で判断します。
物語の心情(うれしくなった)を行動と混同する
設問が「行動」を問うなら、心情は別です。設問の語を確かめます。
表を作らずに設問ごとに本文を読み直す
一度表を作れば、全設問に使えます。
自分で説明しよう
確認1:情報を取り出す四段階
述語に印、主語と対象を補う、表にする、矢印で結ぶ。
確認2:省略された主語を補うときの優先順位
明示されていればそれ、なければ前の文の主語、会話なら話し手、それでも決まらなければ段落の話題の人物。
確認3:登場人物ごとの表を作る利点
誰が何をしたか、指示語が何を指すかが一目で分かり、全設問に使える。
セクションの出口
複数段落の文章から登場人物ごとの行動を表に整理し、主語・対象・指示語の設問に答えられたら完了です。
次のセクション「原因と結果」では、取り出した情報の間の因果関係を、接続語がなくても捉える方法を扱います。
クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。