条件と仮定:二つの情報を正しく分ける
このレッスンの役割
「もし雨が降れば、試合は中止だ」は、雨が降ったとも中止になったとも言っていません。条件と帰結の関係は、因果に似ていますが「まだ起きていない」点が違います。取り違えると、仮定の話を事実として答えてしまいます。
今回の中心技能は、二つの情報が条件と帰結の関係にあると見抜き、「実際に起きたこと」と区別できることです。目安時間は8分です。
今日の問い
もし、すべての人が車をやめて自転車に乗れば、町の空気はきれいになるだろう。しかし、現実には、荷物の運搬や遠距離の移動を自転車だけでまかなうことはできない。
「空気がきれいになる」は起きたことでしょうか。いいえ。「すべての人が自転車に乗れば」という条件のもとで言える帰結で、筆者は直後に「現実にはできない」と、条件が成り立たないことを述べています。
条件と帰結の定義
| 用語 | 内容 | 例 |
|---|---|---|
| 条件(仮定) | 「もし〜なら」の部分。成り立つかどうかはまだ決まっていない | すべての人が自転車に乗れば |
| 帰結 | 条件が成り立ったときに言えること | 空気はきれいになる |
記号は「条件 ⊃ 帰結」(条件が成り立つ範囲で帰結)。
合図の語
| 位置 | 合図 |
|---|---|
| 条件の側 | もし、仮に、〜すれば、〜なら、〜たら、〜と、〜の場合、〜限り |
| 帰結の側 | 〜だろう、〜はずだ、〜になる、〜できる、〜にちがいない |
「〜だろう」「〜はずだ」は、帰結がまだ起きていないことを示します。
条件と因果の違い
| 関係 | 例 | 起きたか |
|---|---|---|
| 因果 | 雨が降ったので、試合は中止になった | 両方起きた |
| 条件 | 雨が降れば、試合は中止になる | どちらも未定 |
同じ「雨 → 中止」でも、因果は事実の報告、条件は規則や予想です。文末(なった/なる)と合図(ので/ば)で見分けます。
条件の三つの型
| 型 | 例 | 内容 |
|---|---|---|
| 一般の規則 | 水は百度になれば沸騰する | いつでも成り立つ |
| 予想 | 明日雨が降れば、遠足は延期だ | これから決まる |
| 反事実 | もし私が鳥なら、空を飛べるのに | 成り立たないと分かっている仮定 |
反事実は「のに」「だろうに」「はずだった」が合図で、筆者の願望や批判が隠れていることが多いです。
例題:分ける
練習を毎日続ければ、必ず上達する。彼は毎日続けた。だから上達した。
| 文 | 関係 |
|---|---|
| 続ければ、上達する | 条件(一般の規則) |
| 続けた。だから上達した | 因果(事実) |
規則を述べてから、それを事実に当てはめています。
条件の「裏」は言えない
「雨が降れば中止」から、「雨が降らなければ中止ではない」は言えません。他の理由(台風、事故)で中止になることもあります。設問「本文から言えること」で、裏を選ばないように。
よくある間違い
帰結を事実だと思う
「空気はきれいになるだろう」は、起きたことではありません。条件つきです。
条件を因果と同じに扱う
「ば」「なら」は未定、「ので」「から」は事実。文末で確かめます。
条件の裏まで言えると思う
「AならB」から「AでなければBでない」は出ません。
自分で確かめよう
確認1:「雨が降れば中止になる」と「雨が降ったので中止になった」の違い
前者は条件(未定)、後者は因果(事実)。
確認2:「もし私が鳥なら、空を飛べるのに」の条件の型
反事実(成り立たないと分かっている仮定)。
確認3:「雨が降れば中止」から「雨が降らなければ中止ではない」は言えますか
言えない(条件の裏は成り立つとは限らない)。
まとめと次の一歩
条件は「もし〜なら」の未定の部分、帰結は条件が成り立ったときに言えることです。因果とは文末と合図で区別し、反事実は願望や批判の印、条件の裏は言えません。
次のレッスンでは、文章の条件と帰結を取り出し、成り立つかどうかを確かめる手順を一行ずつ使えるようにします。
クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。