事実と意見:二つの情報を正しく分ける
このレッスンの役割
文章の情報には、「確かめられること」と「書き手がそう考えていること」が混ざっています。前者が事実、後者が意見です。この区別ができないと、筆者の主張と、その根拠となる事実を取り違えます。ここでは、事実と意見を見分ける核をつかみます。
今回の中心技能は、一文が事実か意見かを、文末の形と評価語の有無で判定できることです。目安時間は8分です。
今日の問い
次の二文は、どちらが事実で、どちらが意見でしょうか。
この町の人口は五年で一割減った。 この町は住みにくくなった。
一文目は、統計で確かめられるので事実。二文目は、「住みにくい」は人によって感じ方が違い、確かめられないので意見。同じ町について述べていても、情報の種類が違います。
事実と意見の定義
| 用語 | 内容 | テスト |
|---|---|---|
| 事実 | 誰が見ても同じように確かめられること | 「本当かどうか調べられるか」 |
| 意見 | 書き手の判断・評価・考え・予想 | 「人によって違いうるか」 |
見分ける手掛かり
| 手掛かり | 事実 | 意見 |
|---|---|---|
| 文末 | 〜た、〜である、〜ている(出来事・状態) | 〜と思う、〜べきだ、〜だろう、〜に違いない、〜ではないか |
| 評価語 | なし | 良い、悪い、美しい、大切だ、すばらしい、ひどい |
| 数値・固有名詞 | あり | 少ない |
| 根拠 | それ自体が根拠になる | 根拠を必要とする |
例題:分ける
| 文 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| 昨日の最高気温は三十五度だった | 事実 | 数値で確かめられる |
| 昨日は耐えられないほど暑かった | 意見 | 「耐えられない」は人による |
| 富士山の標高は三七七六メートルだ | 事実 | 確かめられる |
| 富士山は日本で最も美しい山だ | 意見 | 「美しい」は評価 |
| 彼は毎朝六時に起きる | 事実 | 観察できる |
| 彼は努力家だ | 意見 | 「努力家」は評価 |
| 来年は景気が良くなるだろう | 意見 | 予想は確かめられない |
意見が事実の形で書かれることがある
この町は住みにくい。
文末は「〜い」で言い切りですが、「住みにくい」は評価語なので意見です。文末だけでなく、評価語の有無も見ます。
事実と意見の役割
| 役割 | 内容 |
|---|---|
| 事実 | 意見を支える根拠になる |
| 意見 | 筆者の主張。文章の中心 |
論説文は、事実を根拠にして意見を述べる文章です。次のセクション「意見と根拠」につながります。
よくある間違い
言い切っていれば事実だと思う
「この町は住みにくい」は言い切りでも意見です。評価語を見ます。
「〜と思う」がなければ意見ではないと思う
筆者は「〜と思う」を省いて意見を言い切ることが多いです。
数値があれば全部事実だと思う
「一割も減って深刻だ」の「深刻だ」は意見です。数値の部分と評価の部分を分けます。
自分で確かめよう
確認1:事実と意見を分けるテスト
事実は「本当かどうか調べられるか」、意見は「人によって違いうるか」。
確認2:「富士山は日本で最も美しい山だ」が意見である理由
「美しい」は評価語で、人によって判断が違うから。
確認3:「人口が一割減って深刻だ」の事実の部分と意見の部分
事実:人口が一割減った。意見:深刻だ。
まとめと次の一歩
事実は確かめられること、意見は書き手の判断・評価です。文末の形と評価語の有無で見分け、一文の中に両方が混ざることもあります。
次のレッスンでは、段落の文を事実と意見に分け、意見を事実が支える関係を矢印で表す手順を一行ずつ使えるようにします。
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