指示語が指す内容:二つの情報を正しく分ける
このレッスンの役割
「これ」「それ」「この〜」は、前に出た内容を繰り返さずに指す言葉です。指す内容を取り違えると、文の意味が変わります。「──線部『これ』は何を指すか」は、入試で最も頻出の設問の一つです。
今回の中心技能は、指示語と指される内容の関係をつかみ、「直前を見て、置き換えて確かめる」という原則を使えることです。目安時間は8分です。
今日の問い
森は雨水をたくわえる。これが、洪水を防ぐ働きになる。
「これ」は何を指すでしょうか。直前の「森が雨水をたくわえること」。置き換えると「森が雨水をたくわえることが、洪水を防ぐ働きになる」で通ります。
指示語の種類
| 種類 | 指示語 | 指すもの |
|---|---|---|
| 物・事 | これ、それ、あれ | 前に出た物や内容 |
| 連体 | この、その、あの+名詞 | 前に出た物や内容(名詞で限定) |
| 場所 | ここ、そこ | 場所、または話の段階 |
| 様子 | こう、そう、このように、そのような | 前に述べた様子・やり方 |
| 方向 | こちら、そちら | 方向、または選択肢の一方 |
論説文で問われるのは、「これ」「それ」「この〜」「そのような」「このように」が中心です。
二つの原則
| 原則 | 内容 |
|---|---|
| 直前を見る | 指す内容は、指示語の直前(同じ文の前半か、一つ前の文)にあることが多い |
| 置き換えて確かめる | 候補を指示語の位置に入れて、文が通るかを見る |
置き換えて通らなければ、候補が違います。さらに前を探します。
指す内容の形
| 指示語 | 指す内容の形 | 答え方 |
|---|---|---|
| これ、それ(主語) | 名詞、または「〜こと」 | 〜こと。 |
| この+名詞 | 名詞を修飾する内容 | 〜という(名詞)。 |
| そのような、このように | 様子・やり方 | 〜という様子。〜すること。 |
「これ」が指すのが文全体なら、「〜こと」の形に整えます。
例題:指す内容を答える
子どもは失敗から学ぶ。しかし、大人はそれを恐れて、子どもの失敗を先回りして防いでしまう。
| 問い | 答え |
|---|---|
| 「それ」は何か | 子どもが失敗すること(失敗) |
| 置き換え | 大人は子どもの失敗を恐れて → 通る |
「学ぶこと」を入れると「学ぶことを恐れて」で意味が通りません。候補を変えます。
指示語が後を指す場合
まれに、指示語が後の内容を指します。
問題はこうだ。練習時間が足りないのである。
「こう」は後の「練習時間が足りない」を指す。「次のような」「こういうことだ」「それは〜である」の形で、後に説明が来るときです。
よくある間違い
直前の名詞をそのまま答える
「森は雨水をたくわえる。これが〜」の「これ」は「雨水」ではなく「森が雨水をたくわえること」。置き換えて確かめます。
置き換えを省く
候補を入れて文が通るかを見ないと、取り違えに気づけません。
指示語は必ず前を指すと思う
「こうだ」「次のような」は後を指します。
自分で確かめよう
確認1:指示語の内容を決める二つの原則
直前を見る、置き換えて確かめる。
確認2:「森は雨水をたくわえる。これが洪水を防ぐ」の「これ」
森が雨水をたくわえること。
確認3:「これ」が文全体を指すとき、答えの形は
「〜こと。」
まとめと次の一歩
指示語は前の内容を指し、直前を見て、置き換えて確かめます。文全体を指すなら「〜こと」に整え、「こうだ」「次のような」は後を指します。
次のレッスンでは、指示語の内容を決めて記述に整える手順を一行ずつ使えるようにします。
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