文章と図表の情報をつなごう:関係の取り違えを直す
このレッスンの役割
本文と図表の取り違えは、図表に書かれていない原因を読み込む、「一人あたり」と「全体」を混同する、割合の増加を実数の増加と思う、という形で現れます。ここでは、よく起きる誤りを四つの型に分け、直します。
今回の中心技能は、誤答を見て「図表に原因・評価を読み込んだ」「題・単位を見落とした」「割合と実数を混同した」「本文の限定を見落とした」のどれかを言い、直せることです。目安時間は8分です。
今日の問い
米の消費量の図(1965年112kg → 2020年51kg)から読み取れることとして、「食事の洋風化で消費が減った」を選んだ人がいます。どこで誤ったのでしょうか。
図には年と数値しかありません。「洋風化」は本文の説明であり、図からは読めません。図表に原因を読み込んだ、型①です。
誤りの四つの型
| 型 | 起きていること | 例 | 直し方 |
|---|---|---|---|
| ① 原因・評価を読み込む | 図表に書かれていない説明を図から読んだとする | 洋風化で減った | 図表から読めるのは数値と傾向だけ |
| ② 題・単位の見落とし | 「一人あたり」「全体」「%」「万人」を混同 | 一人あたり減=全体も減 | 題と単位を先に読む |
| ③ 割合と実数の混同 | 割合が増えた=人数が増えた | 三時間以上の割合増=人数増 | 母数が変わっていないか確かめる |
| ④ 本文の限定の見落とし | 本文が「分からない」と限定した点を結論にする | 利用時間が学力を下げる | 「〜からは分からない」「ただし」を拾う |
型①を直す:読めるものの範囲
| 読める | 読めない |
|---|---|
| 数値、順位、差、変化の向き、割合 | 原因、理由、評価、将来、筆者の意見 |
「〜ので」「〜だから」「〜すべき」を含む選択肢は、図表だけからは選べません。
型②を直す:題と単位の確かめ
| 題 | 注意 |
|---|---|
| 一人あたり〜 | 人口が増えれば、一人あたりが減っても全体は増えうる |
| 全体の〜 | 一人あたりとは別 |
| 〜の割合(%) | 実数ではない |
| 〜の人数(万人) | 割合ではない |
図の題を読まずに数値を読むと、「何が」減ったかを取り違えます。
型③を直す:割合と実数
| 図 | 読み |
|---|---|
| 三時間以上の割合:28%→55% | 割合が増えた |
| 十代の人口が減っていれば | 人数は増えたとは限らない |
割合の増減から人数の増減を言うには、母数(全体の数)が必要です。図に母数がなければ「人数は分からない」が正しい判定。
型④を直す:本文の限定
| 本文 | 限定 |
|---|---|
| 利用時間と学力の関係は、この調査からは分からない | 学力への影響は結論にできない |
| ただし、この図は都市部のデータである | 全国の傾向とは言えない |
「〜からは分からない」「ただし」「〜に限る」の文は、設問「本文の内容と合わないもの」の答えになりやすいです。
例題:どの型か
「三時間以上利用する十代の割合が28%から55%に増えた」から、「三時間以上利用する十代の人数が約二倍になった」を選んだ。
型③。母数(十代の人口)が図にない。割合が二倍でも人数が二倍とは限らない。
「一人あたりの米消費量が減った」から「日本全体の米消費量も減った」を選んだ。
型②。「一人あたり」の図。全体は人口による(実際には人口減もあり全体も減っているが、この図だけからは言えない)。
よくある間違い
本文で読んだ原因を図の情報だと思う
本文と図の情報は分けて記録します。対応表の「本文にあって図表にない」欄。
「%」の図で人数を論じる
割合は割合。人数を言うには母数が必要です。
「分からない」と書かれた点を無視する
限定は筆者が意図的に置いたものです。設問の答えになります。
自分で確かめよう
確認1:「洋風化で減った」を図から読んだ誤りの型と直し方
型①。図から読めるのは数値と傾向だけ。原因は本文の情報。
確認2:割合の増加から人数の増加を言うために必要なもの
母数(全体の数)。
確認3:「この調査からは分からない」の文の設問での役割
「本文の内容と合わないもの」(結論にできない点)の答えになる。
まとめと次の一歩
誤りは、原因・評価の読み込み、題・単位の見落とし、割合と実数の混同、本文の限定の見落とし、の四つに分けられます。読める範囲の確認、題と単位、母数、限定の語、で直せます。
次のレッスンでは、本文と図表を組み合わせた入試形式の問題で、対応の読み取りを通して使います。
クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。