LESSON 01

具体と抽象

具体と抽象:二つの情報を正しく分ける

個別の出来事や物を述べる具体の情報と、それらに共通する性質をまとめた抽象の情報を、合図の語と「〜など」テストで見分ける核をつかみます。

具体と抽象:二つの情報を正しく分ける

このレッスンの役割

論説文は、具体例を挙げながら抽象的な考えを述べます。どの情報が具体でどの情報が抽象かが分からないと、筆者の言いたいこと(抽象)と材料(具体)を取り違えます。ここでは、具体と抽象を見分ける核をつかみます。

今回の中心技能は、二つの情報のどちらが具体でどちらが抽象かを、合図の語と「〜など」テストで決められることです。目安時間は8分です。

今日の問い

人は困っている人を見ると手を差し伸べる。たとえば、重い荷物を持つ高齢者に声をかけたり、電車で席をゆずったりする。

どちらが具体で、どちらが抽象でしょうか。「声をかける」「席をゆずる」は目に見える個別の行動なので具体。「手を差し伸べる」は、それらに共通する性質をまとめた言い方なので抽象。「たとえば」が合図です。

具体と抽象の定義

用語 内容 特徴
具体 個別の出来事・物・人・数値 目に見える、一つを指す、固有名詞や数字がある
抽象 複数の具体に共通する性質をまとめたもの 目に見えにくい、多くに当てはまる、「〜ということ」の形になりやすい

矢印は「抽象 ← 具体」。具体が抽象を支える(説明する)向きです。

見分ける手掛かり

手掛かり 具体 抽象
合図の語(前) たとえば、具体的には、実際に つまり、要するに、このように、一般に
合図の語(後) 〜など、〜といった 〜ということ、〜という性質
言葉の種類 固有名詞、数字、動作 性質、傾向、概念
「〜など」テスト 後ろに「など」を付けて自然 「など」を付けると不自然

「席をゆずるなど」は自然(具体)。「手を差し伸べるなど」はやや不自然(抽象)。

具体と抽象は相対的

抽象 ← 具体
生き物 ← 動物 ← 犬 ← 柴犬
親切 ← 手を差し伸べる ← 席をゆずる

「手を差し伸べる」は、「席をゆずる」より抽象で、「親切」より具体です。「何と比べて」で決まります。

例題:分ける

日本の伝統文化には、余白を大切にするものが多い。水墨画では描かない部分が景色を作り、能では動きを止めた瞬間が感情を伝える。

情報 判定
余白を大切にするものが多い 抽象
水墨画では描かない部分が景色を作る 具体
能では動きを止めた瞬間が感情を伝える 具体

合図はありませんが、「水墨画」「能」は固有の芸術で個別、「余白を大切にする」は共通の性質です。

よくある間違い

難しい語=抽象だと思う

「水墨画」は難しい語でも具体(個別の芸術)です。個別か共通かで決めます。

具体と抽象を固定して考える

「手を差し伸べる」は相手によって具体にも抽象にもなります。

合図がないと見分けられないと思う

固有名詞・数字・動作は具体、性質・傾向は抽象。言葉の種類で決まります。

自分で確かめよう

確認1:具体と抽象を見分ける「など」テスト

後ろに「など」を付けて自然なら具体、不自然なら抽象。

確認2:「たとえば」と「つまり」の後に来るのはそれぞれどちらですか

「たとえば」の後は具体、「つまり」の後は抽象。

確認3:「水墨画では描かない部分が景色を作る」は具体と抽象のどちらですか

具体(個別の芸術の個別の様子)。

まとめと次の一歩

具体は個別の出来事・物、抽象はそれらに共通する性質のまとめです。合図の語、言葉の種類、「など」テストで見分け、関係は相対的です。

次のレッスンでは、文章の中で具体と抽象を対応させ、矢印で表す手順を一行ずつ使えるようにします。

クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。

UNDERSTANDING CHECK

理解チェック:具体と抽象の見分け

70% 合格ライン
  1. 設問 0
    「たとえば」の後に来るのは具体と抽象のどちらですか。
  2. 設問 1
    「水墨画では描かない部分が景色を作る」は具体と抽象のどちらですか。
  3. 設問 2
    具体と抽象を見分ける「など」テストの内容はどれですか。
  4. 設問 3
    「生き物 ← 動物 ← 犬 ← 柴犬」で、「犬」について正しいものはどれですか。
  5. 設問 4
    「つまり」「このように」の後に来るのはどちらですか。

まずは自分で選んでみましょう。採点・学習履歴への記録は、回答APIとの連携時に追加します。