意見と根拠:複数段落・入試で統合する
このレッスンの役割
ここは「意見と根拠」の出口です。主張と根拠の見分け方、四段階の手順、誤りの四つの型を、複数段落の論説文と入試形式の問題で通して使います。
中心技能は、主張を抜き出し、根拠を種類ごとに列挙し、「主張と根拠をまとめよ」の記述に答えることです。目安時間は10分です。
入試でどう出るか
主張と根拠は、三つの形で出ます。
- 主張の抜き出し:「筆者の主張を一文で抜き出せ」
- 根拠の指摘:「筆者がそう考える根拠を二つ答えよ」
- まとめの記述:「筆者の主張とその根拠を、〜字以内でまとめよ」
記述では、「〜だから、〜べきだ」の形で根拠と主張を一文にまとめます。
総合問題
次の文章を読んで、あとの問いに答えなさい。
私は、中学生は部活動と勉強の両方に取り組むべきだと考える。
第一に、部活動は時間の使い方を学ぶ機会になる。限られた時間で練習と勉強を両立させる経験は、大人になってからも役立つ。
第二に、部活動で得た仲間との関係は、学校生活の支えになる。ある調査では、部活動に所属する生徒は、所属しない生徒に比べて「学校が楽しい」と答えた割合が二割高かった。
もちろん、部活動が負担になりすぎては意味がない。活動時間には上限が必要だろう。しかし、適切な範囲であれば、部活動は勉強の妨げではなく、むしろ支えになる。
問1
筆者の主張を一文で抜き出しなさい。
問2
筆者がそう考える根拠を二つ、それぞれ種類(理由・事例・データ)とともに答えなさい。
問3
「活動時間には上限が必要だろう」は、主張・根拠・それ以外のどれか。
問4
筆者の主張と根拠を、「〜ので、〜べきだ」の形で五十字以内でまとめなさい。
答えと判断
問1
「私は、中学生は部活動と勉強の両方に取り組むべきだと考える。」第一段落の「〜べきだと考える」。
問2
部活動は時間の使い方を学ぶ機会になる(理由)。部活動に所属する生徒は「学校が楽しい」と答えた割合が二割高かった(データ)。「第一に」「第二に」で並べられている。「仲間との関係は支えになる」を理由として、調査をそれを支えるデータとして分けてもよい。
問3
それ以外(譲歩)。「もちろん」で反対意見を認める部分で、主張でも根拠でもない。主張は「しかし」の後で再確認されている。
問4
「部活動は時間の使い方を学ぶ機会になり仲間との関係が支えになるので、中学生は部活動と勉強の両方に取り組むべきだ。」(四十九字)。根拠を圧縮して「〜ので」、主張を「〜べきだ」。
誤答を診断する
| 誤答 | 型 | 戻るレッスン |
|---|---|---|
| 問1で「部活動は時間の使い方を学ぶ機会になる」 | 根拠を主張と見なした | 関係の取り違えを直す(型①) |
| 問2で一つだけ | 根拠の取りこぼし | 関係の取り違えを直す(型②) |
| 問3で「主張」 | 譲歩を主張と見なした | 関係の取り違えを直す(型④) |
| 問4に「上限が必要」を入れた | 譲歩を根拠に入れた | 関係の取り違えを直す(型④) |
主張と根拠の表
| 段落 | 役割 | 内容 |
|---|---|---|
| 1 | 主張 | 両方に取り組むべきだ |
| 2 | 根拠①(理由) | 時間の使い方を学ぶ |
| 3 | 根拠②(理由+データ) | 仲間との関係が支え/楽しいと答えた割合が二割高い |
| 4 前半 | 譲歩 | 負担になりすぎては意味がない、上限が必要 |
| 4 後半 | 主張の再確認 | 勉強の妨げではなく支えになる |
記述の型
| 設問 | 形 |
|---|---|
| 主張と根拠をまとめよ | 根拠①と根拠②なので、主張。 |
| 根拠を答えよ | 〜こと。〜こと。 |
| 主張を答えよ | 〜べきだ。/〜と考えている。 |
答案で落とさないための確認
| 確認 | 見るもの |
|---|---|
| 主張は「べきだ」「と考える」の文か | 根拠を主張にしていないか |
| 根拠は「第一に」「第二に」「また」を全部拾ったか | 取りこぼし |
| 譲歩を除いたか | もちろん、確かに |
| 記述の形は「〜ので、〜べきだ」か | 根拠と主張の順 |
| 字数内か | 根拠を圧縮 |
よくある間違い
「第一に」の内容を主張だと思う
「第一に」「第二に」は根拠の並べ方です。主張はその前か後。
譲歩の内容を根拠に入れる
「上限が必要」は、主張を支えていません。反対意見への配慮です。
記述で根拠を全部書いて字数を超える
根拠は圧縮します。「時間の使い方を学び、仲間が支えになる」程度に。
自分で説明しよう
確認1:主張と根拠の対応を表す四段階
主張を決める、根拠の候補を集める、種類を分ける、矢印を引いて対応を確かめる。
確認2:「もちろん」「確かに」の後の内容の役割
譲歩(反対意見を認める部分)。主張でも根拠でもない。
確認3:「主張と根拠をまとめよ」の記述の形
「根拠なので、主張。」(〜ので、〜べきだ)。
セクションの出口
複数段落の論説文で、主張を抜き出し、根拠を種類ごとに列挙し、譲歩を除いて「〜ので、〜べきだ」でまとめられたら完了です。
次のセクション「具体と抽象」では、個別の例とそれらをまとめた広い考えを往復して読む方法を扱います。
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