時間・順序・変化:関係を矢印で表す
このレッスンの役割
前のレッスンで、時間・順序・変化の見分け方を知りました。ここでは、文章の出来事を起きた順に並べ直し、変化を前後の表にする手順を一つに決めます。小説の回想や、論説文の「かつて〜今」を正しく読むための手順です。
今回の中心技能は、「出来事を取り出す → 時間の合図で起きた順に並べ直す → 変化なら前と後の状態を組にする → きっかけを対応させる」の四段階を一行ずつ書けることです。目安時間は9分です。
今日の問い
父は今、毎朝走っている。きっかけは三年前の健康診断だった。その結果を見て父は食事を変え、半年後には体重が十キロ減った。走り始めたのはそれからだ。
手順で並べ直します。出来事:走っている、健康診断、食事を変えた、十キロ減、走り始めた。起きた順:健康診断(三年前)⇒ 食事を変えた ⇒ 十キロ減(半年後)⇒ 走り始めた ⇒ 今走っている。変化:前は走っていなかった(食事も変える前)⇒ 今は毎朝走っている。きっかけ:健康診断。
手順を一行ずつ
| 段階 | すること | 今日の問いの場合 |
|---|---|---|
| 1 | 出来事を取り出す | 健診、食事、減量、走り始め、今 |
| 2 | 時間の合図で起きた順に並べ直す | 三年前 ⇒ 半年後 ⇒ それから ⇒ 今 |
| 3 | 変化なら前と後の状態を組にする | 走っていない ⇒ 毎朝走る |
| 4 | きっかけを対応させる | 健康診断 |
段階2:時間の合図
| 合図 | 位置 |
|---|---|
| 三年前、かつて、当時、昔 | 過去(書かれた順より前) |
| その後、やがて、翌年、半年後、それから | 直前の出来事の後 |
| 今、現在、今では | 最も後 |
| 〜する前に、〜以前 | 直後の出来事より前 |
数字(三年前、半年後)があれば、数直線に置くと確実です。
段階3:前後の表
| 観点 | 前 | 後 |
|---|---|---|
| 運動 | していない | 毎朝走る |
| 食事 | 変える前 | 変えた |
| 体重 | 十キロ重い | 十キロ減 |
観点ごとに前後を組にすると、「どのように変わったか」に観点を指定されても答えられます。
段階4:きっかけの対応
| 変化 | きっかけ |
|---|---|
| 食事を変えた | 健康診断の結果 |
| 走り始めた | 体重が減った(それから) |
きっかけは因果の一種です。「きっかけは〜だった」「〜を機に」「〜をきっかけに」が合図。
例題:回想のある文章
駅前の店は今年閉まった。私が子どものころ、母に連れられてよく通った店だ。店主は十年前に亡くなり、その後は娘さんが継いでいた。
| 段階 | 内容 |
|---|---|
| 1 出来事 | 閉店、通った、店主が亡くなった、娘が継いだ |
| 2 起きた順 | 通った(子どものころ)⇒ 店主死去(十年前)⇒ 娘が継いだ ⇒ 閉店(今年) |
| 3 変化 | 店がある ⇒ 店がない |
| 4 きっかけ | 書かれていない |
書かれた順は「今年→子どものころ→十年前→その後」で、起きた順とは違います。
記述への応用
「どのように変化したか」は、段階3の表を文にします。「以前は走っていなかったが、今は毎朝走るようになった。」前・後・「〜ようになった」の形。きっかけを求められたら段階4を足します。
よくある間違い
段階1で「今」の状態を出来事に入れない
「今、走っている」も一つの出来事(最も後)です。入れないと変化の「後」が消えます。
段階2で書かれた順のまま並べる
「三年前」「子どものころ」は書かれた位置と関係なく過去です。合図で並べ直します。
段階3で前の状態が本文にないとき書かない
「今は走っている」なら、前は「走っていなかった」と補えます。変化は前後の組です。
自分で確かめよう
確認1:「駅前の店は今年閉まった。子どものころ通った。店主は十年前に亡くなった」の起きた順
通った ⇒ 店主が亡くなった ⇒ 閉まった。
確認2:「どのように変化したか」の記述の形
「以前は〜だったが、今は〜ようになった。」(前と後の組)
確認3:きっかけの合図を二つ
きっかけは〜、〜を機に。(〜をきっかけに も可)
まとめと次の一歩
手順は、出来事を取り出す、起きた順に並べ直す、前後を組にする、きっかけを対応させる、の四段階です。数字と時間の合図で並べ直し、変化は観点ごとの前後の表にします。
次のレッスンでは、時間・順序・変化でよく起きる誤りを集め、どの段階で崩れたかを見抜けるようにします。
クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。