不足している情報を考えよう:出典・根拠を手順で調べる
このレッスンの役割
前のレッスンで、四つの種類と書く形を知りました。ここでは、主張と資料から足りない情報を洗い出し、優先順位をつけて書くまでを一つの手順にします。足りない情報は多く挙がるので、「それがあれば判断が変わるか」で絞るのが要点です。
今回の中心技能は、「要素と支えの表を作る → 四つの種類で足りない情報を挙げる → 優先順位をつける → 上位を具体的に書く」の四段階を一行ずつ書けることです。目安時間は9分です。
今日の問い
主張:「本校は朝読書を導入すべきだ。」 資料:「朝読書を行っている隣のC中学校では、国語の平均点が市内で最も高い。」
手順で洗い出します。要素:朝読書/導入すべき(効果がある)/本校で。支え:C中の平均点(効果の一例)。足りない:条件(C中の朝読書の内容・期間)、数値(C中の導入前の平均点)、比較対象(朝読書をしていない学校の平均点、C中の導入前後)、反対意見(平均点が高い別の理由、朝読書で失われる時間)。優先順位:一位「C中の導入前後の平均点の変化」(これがなければ効果が言えない)、二位「他の学校との比較」、三位「別の理由」。書く:「C中学校の朝読書導入前と導入後の、国語の平均点の変化」。
手順を一行ずつ
| 段階 | すること | 今日の問いの場合 |
|---|---|---|
| 1 | 主張を要素に分け、各要素を支える資料の有無を表にする | 朝読書/効果/本校。効果の支え:C中の平均点のみ |
| 2 | 支えのない要素について、四つの種類で足りない情報を挙げる | 条件・数値・比較対象・反対意見で各一つ以上 |
| 3 | 「それがあれば判断が変わるか」で優先順位をつける | 導入前後の変化が一位 |
| 4 | 上位のものを「何を・誰について・いつの・どう比べる」で書く | C中の国語平均点を、導入前と導入後で |
段階1の表
| 要素 | 支える資料 | 支えの強さ |
|---|---|---|
| 朝読書に効果がある | C中の平均点が市内最高 | 弱(一校、前後比較なし、他の原因あり) |
| 本校でも効果がある | なし | ― |
| 導入すべき(費用・時間に見合う) | なし | ― |
支えが「なし」「弱」の要素が、足りない情報の出どころです。
段階2の表
| 種類 | 足りない情報 |
|---|---|
| 条件 | C中の朝読書の内容(時間、頻度、本の種類)、本校との生徒の条件の違い |
| 数値 | C中の導入前の平均点、市内の学校数、点差 |
| 比較対象 | 朝読書をしていない学校の平均点、C中の導入前後 |
| 反対意見 | C中の平均点が高い別の理由(塾、学区)、朝読書で減る時間 |
段階3:優先順位の問い
| 問い | 優先度 |
|---|---|
| それがなければ主張の中心(効果)が言えないか | 高 |
| それがあれば主張が逆転しうるか(反対意見) | 高 |
| 条件を細かくするだけか | 中 |
| 主張の周辺(費用など)か | 低 |
今日の問いでは、「導入前後の変化」と「別の理由」が高、「朝読書の内容」が中。
段階4:書く形の確認
| 要素 | 内容 |
|---|---|
| 何を | 国語の平均点 |
| 誰について | C中学校の生徒 |
| いつの | 朝読書の導入前と導入後 |
| どう比べる | 前後で比べて変化を見る |
「C中学校の生徒の国語の平均点を、朝読書の導入前と導入後で比べた変化」。
例題:手順で通す
主張:「本市は中学生に自転車のヘルメットを義務化すべきだ。」 資料:「昨年、市内で中学生の自転車事故が十二件あり、うち三件が頭部のけがだった。」
| 段階 | 結果 |
|---|---|
| 1 | 要素:事故で頭部のけが(支え:三件)/ヘルメットで減る(支えなし)/義務化が有効(支えなし) |
| 2 | 条件:三件のヘルメット着用の有無。数値:例年の件数。比較対象:義務化した他の市の前後の変化。反対意見:着用率を上げる別の方法 |
| 3 | 一位:三件の着用の有無(着用していたなら義務化の効果は別)。二位:他市の前後比較 |
| 4 | 「頭部のけがをした三件の中学生が、事故のときにヘルメットを着用していたかどうか」 |
よくある間違い
段階1で主張を一つの要素にする
「朝読書を導入すべき」には、効果・本校への当てはめ・費用の三つの要素があります。分けます。
段階2で一種類だけ挙げる
四つの種類で順に挙げると、見落としが減ります。
段階3を飛ばして全部書く
優先順位をつけないと、「もっと調べる」と同じになります。上位一〜二つを具体的に書きます。
自分で確かめよう
確認1:足りない情報を洗い出して書く四段階
要素と支えの表、四つの種類で挙げる、優先順位をつける、上位を具体的に書く。
確認2:優先順位をつける問い
それがなければ主張の中心が言えないか、それがあれば主張が逆転しうるか。
確認3:「ヘルメット義務化」で最優先の足りない情報
頭部のけがをした三件の中学生が、事故のときにヘルメットを着用していたかどうか。
まとめと次の一歩
手順は、要素と支えの表、四つの種類、優先順位、具体的に書く、の四段階です。優先順位は「主張の中心に関わるか」「逆転しうるか」でつけます。
次のレッスンでは、足りない情報の記述でよく起きる誤りを四つの型に分け、直せるようにします。
クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。