感情を動かす言葉に注意しよう:複数資料・入試で判断する
このレッスンの役割
ここは「感情を動かす言葉に注意しよう」の出口です。四つの型、四段階の手順、対応の誤りの四つの型を、複数の資料を読む入試形式の問題で通して使います。
中心技能は、感情を動かす表現の型を指摘し、事実の部分を取り出し、表現の効果を説明し、感情の語を使わずに書き直すことです。目安時間は10分です。
入試でどう出るか
感情を動かす言葉は、四つの形で出ます。
- 型の指摘:「次の表現は、読み手のどのような感情に働きかけているか」
- 事実の抽出:「資料Aから、確かめられる事実だけを抜き出せ」
- 効果の説明:「筆者がこの表現を用いた効果を説明せよ」
- 書き直し:「感情に訴える語を使わずに、同じ内容を書き直せ」
総合問題
市内の川で起きた出来事についての三つの資料を読んで、あとの問いに答えなさい。
【資料A】SNSの投稿 「緊急!○○川が毒で汚染された!!魚が大量死してる。子どもを絶対に近づけないで。市は何も発表してない、隠蔽か?今すぐ拡散!」
【資料B】浄水器メーカーの広告(翌日) 「○○川の汚染で、あなたの家の水は本当に安全ですか?知らないうちに家族が危険にさらされているかも。今なら当社の浄水器が三割引。手遅れになる前に。」
【資料C】市の発表(出来事の当日夕方) 「本日午前、○○川の△△橋付近で魚が死んでいるとの通報があり、市が水質を調査しました。原因は上流の工事現場からの土砂の流入による一時的な酸素不足と判明し、有害物質は検出されていません。水道水は○○川を水源としておらず、影響はありません。」
問1
資料Aの「緊急」「毒」「絶対に」「隠蔽か」「今すぐ拡散」を、感情を動かす表現の四つの型に分類しなさい。
問2
資料Aから、確かめられる事実の部分だけを抜き出しなさい。
問3
資料Bが「○○川の汚染」という語を使った効果を、資料Cと比べて説明しなさい。
問4
資料Aの内容を、資料Cを踏まえ、感情に訴える語を使わずに五十字以内で書き直しなさい。
答えと判断
問1
緊急・今すぐ拡散:恐怖(急がせる・行動の勧め)。毒:誇張(有害物質は検出されていない)。絶対に:断定。隠蔽か:恐怖(不信をあおる。発表は当日夕方にあった)。
問2
「○○川で魚が死んでいる」。それ以外(毒、汚染、隠蔽、大量)は確かめられていないか、資料Cと食い違う。
問3
資料Cでは「土砂の流入による一時的な酸素不足」で有害物質はなく、水道水に影響はない。資料Bは「汚染」という語で危険が続いているような印象を作り、「家族が危険」「手遅れ」で恐怖をあおり、「今なら三割引」で期待をあおって、浄水器を買わせようとしている(売る目的)。
問4
「○○川で魚が死んでいるのが見つかり、市の調査では工事の土砂による一時的な酸素不足が原因で、有害物質はなかった。」(五十字)。
誤答を診断する
| 誤答 | 型 | 戻るレッスン |
|---|---|---|
| 問1で「毒」を断定 | 毒は程度・内容の誇張(事実と食い違う) | 確かめる観点をつかむ(四つの型) |
| 問2に「毒で汚染」 | 感情の語を抜いていない | 出典・根拠を手順で調べる(段階3) |
| 問3で「Bはうそ」だけ | 語の効果と目的を説明していない | 目的と対象を読み取ろう |
| 問4に「危険」「汚染」 | 感情の語が残っている | 出典・根拠を手順で調べる(段階3) |
| 資料Aを「子どものためだから正しい」 | 善意なら確かめない | 印象に流された判断を直す(型④) |
三つの資料の表
| 資料 | 目的 | 感情の型 | 事実の部分 | 資料Cとの一致 |
|---|---|---|---|---|
| A | 注意喚起(善意) | 恐怖、誇張、断定 | 魚が死んでいる | 一致(魚)、食い違い(毒、隠蔽) |
| B | 売る | 恐怖、期待 | 浄水器が三割引 | 食い違い(汚染、水道の危険) |
| C | 知らせる | なし | 調査結果、原因、水道への影響なし | ― |
答案で落とさないための確認
| 確認 | 見るもの |
|---|---|
| 語ごとに型を書いたか | 緊急・毒・絶対に・隠蔽 |
| 事実の部分を「魚が死んでいる」まで絞ったか | 毒・汚染を抜く |
| 表現の効果を目的と結びつけたか | Bは売る目的 |
| 書き直しに感情の語が残っていないか | 危険・汚染・緊急 |
よくある間違い
資料Aを「結果的に魚が死んでいたのは本当だから正しい情報」と評価する
事実の部分は本当でも、「毒」「隠蔽」は誤りで、「今すぐ拡散」で誤りが広まります。部分ごとに判定します。
資料Bの「汚染」を「川の出来事を指しているだけ」と読む
資料Cで有害物質はなく、水道にも影響がありません。「汚染」は誤った印象を作る誇張です。
資料Cを「市の発表だから隠しているかも」と疑い続ける
疑うとは確かめることです。調査の内容(原因、検出なし、水源の違い)が具体的で、確かめに行けます。
自分で説明しよう
確認1:感情を動かす表現の四つの型と合図
断定(間違いない・絶対に)、誇張(驚異の・大量・崩壊)、恐怖(緊急・危険・手遅れ・今すぐ)、期待(誰でも・今だけ・保証)。
確認2:感情を動かす情報を確かめる四段階
感情を書く、語に印と型、事実の部分を残す、五つの問いで判定。
確認3:対応の誤りの四つの型
強い口調を確かさと受け取る、念のためで広める、感情の語があれば全部うそ、善意なら確かめない。
セクションの出口
複数の資料の感情の語を型で分類し、事実の部分を絞り、表現の効果を目的と結びつけて説明し、感情の語を使わずに書き直せたら完了です。
次のセクション「広告・SNSの情報を検討しよう」では、ここまでの目的・感情・切り取りが最も集まる場所である広告と口コミ・拡散情報を、利害関係と確認できない内容の観点から整理します。
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