一次情報と二次情報:印象に流された判断を直す
このレッスンの役割
一次・二次の扱いの誤りは、二次を一次と思う、合図で確かめた気になる、伝聞の伝聞を使う、一次を読まずに数値を引用する、の四つに分けられます。ここでは、それぞれを型に分け、直します。
今回の中心技能は、一次・二次の誤りを四つの型のどれかで言い、直せることです。目安時間は8分です。
今日の問い
「新聞に『中学生の二割が運動ゼロ』と書いてあったから、それを根拠に作文を書く。」
新聞の見出しは二次情報で、「ゼロ」は「六十分未満」の言い換え、「二割」は女子だけの数値です。一次情報を読まずに二次の数値を引用した型④です。スポーツ庁の調査を読んで、「女子の二十一・三%が週六十分未満」と書き直します。
誤りの四つの型
| 型 | 起きていること | 例 | 直し方 |
|---|---|---|---|
| ① 二次を一次と思う | 記事・解説を元の記録だと思う | 新聞記事を「調査」と呼ぶ | 「〜によると」の有無で一次か二次かを判定 |
| ② 合図で確かめた気になる | 「〜によると」を見て一次を読まない | 「市の調査によると」で納得 | 一次情報の該当部分まで読む |
| ③ 伝聞の伝聞 | 三次・四次の情報を使う | 「新聞で見たらしいと友人が」 | 段を数え、一次までたどれなければ保留 |
| ④ 一次を読まずに数値を引用 | 二次の数値をそのまま使う | 「二割がゼロ」を引用 | 一次の数値と語に戻して引用 |
型①を直す:一次か二次かの判定
| 問い | 一次 | 二次 |
|---|---|---|
| 書いた人は出来事・調査の当事者か | はい | いいえ |
| 「〜によると」があるか | ない | ある |
| データ・記録そのものか、要約か | そのもの | 要約 |
新聞・教科書・解説サイト・まとめ投稿は、原則として二次です。
型②を直す:合図の先へ
| 合図を見たとき | すること |
|---|---|
| 「市の調査によると」 | 市のサイトで調査報告を探し、質問文と選択肢を読む |
| 「研究で分かった」 | 研究の名前・発表の場を探す。なければ保留 |
| 「出典:○○白書」 | 白書の該当ページを読む |
合図は「ここにある」という案内であって、読んだ証明ではありません。
型③を直す:段を数える
| 情報 | 段 |
|---|---|
| 調査報告 | 一次 |
| 報告を伝える記事 | 二次 |
| 記事を引用した投稿 | 三次 |
| 投稿を見た友人の話 | 四次 |
段が増えるごとに、省略・言い換え・強調・追加が重なります。三次以上は、一次までたどれなければ保留。
型④を直す:引用の書き直し
| 二次の引用 | 一次に戻した引用 |
|---|---|
| 中学生の二割が運動ゼロ | 中学二年生の女子の二十一・三%が、一週間の運動時間六十分未満(スポーツ庁、令和五年度) |
| 六割が住み続けたくない | 「住みたくない」二十五%、「どちらとも言えない」三十五%(市の調査) |
一次の語・範囲・出典の三点をそろえて引用します。
例題:どの型か
「教科書に載っているから一次情報だ。」
型①。教科書は研究や記録を編集した二次情報。
「『厚生労働省によると』と書いてあるから、この記事の数値は確かめ済みだ。」
型②。厚生労働省の該当資料を読んで初めて確かめたことになる。
よくある間違い
公的機関の名前があれば一次だと思う
「厚生労働省によると」と書いた記事は二次。厚生労働省の資料そのものが一次。
一次情報は難しいから読まなくてよいと思う
該当部分(質問文・選択肢・対象・日付)だけを読めば十分です。全部読む必要はありません。
三次情報を「みんな言っている」から信じる
段が多いほど変化が重なります。段の多さは信頼の理由になりません。
自分で確かめよう
確認1:一次・二次の誤りの四つの型
二次を一次と思う、合図で確かめた気になる、伝聞の伝聞、一次を読まずに数値を引用。
確認2:「中学生の二割が運動ゼロ」を一次に戻した引用
中学二年生の女子の二十一・三%が週六十分未満(スポーツ庁、令和五年度)。
確認3:三次以上の情報の扱い
段を数え、一次までたどれなければ保留。
まとめと次の一歩
一次・二次の誤りは、二次を一次と思う、合図で確かめた気になる、伝聞の伝聞、一次を読まずに引用、の四つに分けられます。判定の問い、合図の先へ、段を数える、一次に戻して引用、で直します。
次のレッスンでは、記事と原文を比べる入試形式の問題で、四段階と四つの型を通して使います。
クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。