一次情報と二次情報:複数資料・入試で判断する
このレッスンの役割
ここは「一次情報と二次情報」の出口です。一次と二次の区別、三つの変化と追加、四段階の手順、誤りの四つの型を、原文と記事を比べる入試形式の問題で通して使います。
中心技能は、資料を一次・二次・三次に分類し、記事で起きた変化を指摘し、追加された内容を特定し、一次情報に基づいて正確に引用することです。目安時間は10分です。
入試でどう出るか
一次・二次は、四つの形で出ます。
- 分類:「資料A〜Cを一次情報・二次情報・三次情報に分けよ」
- 変化の指摘:「記事は原文をどのように変えているか、二つ書け」
- 追加の特定:「投稿にあって原文にない内容を書け」
- 正確な引用:「原文に基づいて、記事の見出しを正確に書き直せ」
総合問題
次の三つの資料を読んで、あとの問いに答えなさい。
【資料A】県の「中学生の読書に関する調査」報告書(令和五年十一月、対象:県内中学二年生三千二百人) 「一か月に読んだ本の冊数(教科書・漫画を除く):〇冊 三十一%、一〜二冊 三十八%、三〜五冊 二十二%、六冊以上 九%。〇冊と答えた生徒の理由(複数回答):『時間がない』六十二%、『読みたい本がない』四十一%、『読書が嫌い』十八%。」
【資料B】○○新聞の記事(令和五年十一月二十日) 「県の調査によると、中学生の三人に一人が『一か月に一冊も本を読まない』ことが分かった。読まない理由では『読書が嫌い』が二割に上り、読書離れの深刻さが浮き彫りになった。」
【資料C】SNSの投稿 「新聞に出てたけど、今の中学生って三分の一が本を読まないんだって。漫画ばっかり読んでるからだよね。」
問1
資料A〜Cを、一次情報・二次情報・三次情報に分けなさい。
問2
資料Bが資料Aを変えている点を、「省略」「強調」の語を使って二つ書きなさい。
問3
資料Cにあって、資料A・Bのどちらにもない内容を書きなさい。
問4
資料Bの「三人に一人が一か月に一冊も本を読まない」を、資料Aに基づいて、調査の対象と条件が分かるように五十字以内で書き直しなさい。
答えと判断
問1
A:一次情報(調査した県の報告書そのもの)。B:二次情報(Aを記者が要約)。C:三次情報(Bを投稿者が要約)。
問2
省略:調査の対象が「中学二年生」であること、「教科書・漫画を除く」という条件、〇冊の理由の一位が「時間がない」六十二%であることが省かれている。強調:理由の三位(十八%)である「読書が嫌い」だけを取り上げ、「二割に上り」「深刻さ」と大きく見せている。
問3
「漫画ばっかり読んでるからだよね」。Aでは漫画は冊数から除かれているだけで、漫画を読んでいるかどうかは調べていない。投稿者の推測の追加。
問4
「県内の中学二年生のうち、一か月に教科書・漫画を除く本を〇冊と答えた生徒は三十一%だった。」(四十六字)。
誤答を診断する
| 誤答 | 型 | 戻るレッスン |
|---|---|---|
| 問1でBを一次 | 「県の調査によると」がある。二次を一次と思った | 印象に流された判断を直す(型①) |
| 問2で「数値が違う」 | 三十一%≒三人に一人は合っている。変化は省略と強調 | 出典・根拠を手順で調べる(段階3) |
| 問3で「三分の一」 | Bにある。追加ではない | 出典・根拠を手順で調べる(追加の定義) |
| 問4で「中学生の三分の一」 | 対象(二年生)と条件(教科書・漫画除く)を戻していない | 印象に流された判断を直す(型④) |
三つの資料の表
| 資料 | 段 | 対象 | 条件 | 〇冊の割合 | 理由 | 追加 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| A | 一次 | 中学二年生三千二百人 | 教科書・漫画除く | 三十一% | 時間がない六十二%、嫌い十八% | ― |
| B | 二次 | 「中学生」(省略) | (省略) | 三人に一人 | 嫌い二割(強調) | 深刻さ(評価) |
| C | 三次 | 「今の中学生」 | (省略) | 三分の一 | (なし) | 漫画ばかり(推測) |
答案で落とさないための確認
| 確認 | 見るもの |
|---|---|
| 「〜によると」「新聞に出てた」で段を数えたか | A一次、B二次、C三次 |
| 対象と条件の省略を見たか | 二年生、教科書・漫画除く |
| 理由の順位の入れ替え(強調)を見たか | 一位「時間がない」が消え、三位「嫌い」が前に |
| 追加(原文にない推測・評価)を見たか | 深刻さ、漫画ばかり |
| 引用に対象・条件・数値を戻したか | 問4 |
よくある間違い
「三人に一人」を誤りだと書く
三十一%を「三人に一人」とするのは言い換えで、数値としては大きく外れていません。問題は対象と条件の省略です。
記事の「読書が嫌い二割」を調査結果だと思う
一次では十八%で理由の三位。「二割に上り」は強調。順位と数値を並べて確かめます。
投稿の「漫画ばかり」を調査から分かったことだと思う
調査は漫画を冊数から除いただけで、漫画を読んでいるかは調べていません。追加の推測です。
自分で説明しよう
確認1:一次・二次・三次の見分け方
当事者の記録そのものが一次、「〜によると」で要約したものが二次、さらに要約したものが三次。
確認2:二次情報で起きる変化と、追加
省略・言い換え・強調に加え、原文にない評価や推測の追加。
確認3:一次情報に基づく引用に必要なもの
一次の語、対象と条件、数値、出典(名前・日付)。
セクションの出口
原文と記事と投稿を段で分け、省略・強調・追加を並べて指摘し、対象と条件を戻して正確に引用できたら完了です。
次のセクション「根拠は主張に合っているか」では、一次情報にたどり着いた後、その資料が主張と直接関係し、十分な量と質を持つかを検討します。
クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。