発信者と出典を確かめよう:印象に流された判断を直す
このレッスンの役割
発信者と出典の誤りは、媒体と発信者の取り違え、肩書きの当てはめすぎ、名前のない出典、当事者の無条件の信用、の四つに分けられます。ここでは、それぞれを型に分け、直します。
今回の中心技能は、発信者と出典の誤りを四つの型のどれかで言い、直せることです。目安時間は8分です。
今日の問い
「テレビで言っていたから本当だ。」
「テレビ」は媒体で、発信者ではありません。番組の中で誰が言ったか(研究者か、コメンテーターか、街頭の一人か)で重みが変わります。型①「媒体を発信者と取り違える」です。「テレビの番組で、○○研究所の△△さんが言っていた」まで戻します。
誤りの四つの型
| 型 | 起きていること | 例 | 直し方 |
|---|---|---|---|
| ① 媒体と発信者の取り違え | 伝えた場所を発信者だと思う | テレビで言っていた、ネットに書いてあった | 番組・記事の中の発信者名まで戻る |
| ② 肩書きの当てはめすぎ | 専門外の内容にも肩書きを使う | 医師が勧める投資法 | 内容がその専門の範囲かを問う |
| ③ 名前のない出典 | 「専門家によると」「ある調査では」を根拠にする | 専門家によると効果がある | 名前・日付・場所を探す。なければ保留 |
| ④ 当事者の無条件の信用 | 当事者の発表を目的を見ずに信じる | 企業「当社製品は安全」 | ②「何のために」と組み合わせる |
型①を直す:媒体の中の発信者
| 媒体 | 中の発信者 | 重み |
|---|---|---|
| テレビ番組 | 研究者の解説 | 専門機関として検討 |
| テレビ番組 | 街頭インタビューの一人 | 個人の感想 |
| ネットの記事 | 新聞社の署名記事 | 報道 |
| ネットの記事 | 匿名の投稿をまとめたもの | 個人(責任不明) |
同じ媒体の中に、重みの違う発信者が混ざっています。
型②を直す:専門の範囲
| 肩書き | 専門内 | 専門外 |
|---|---|---|
| 医師 | 病気の診断・治療 | 投資、教育法 |
| 弁護士 | 法律 | 健康法 |
| 元プロ野球選手 | 野球の技術 | 栄養学(体験のみ) |
肩書きは「何の専門か」を言えて初めて使えます。
型③を直す:名前のない出典の見つけ方
| 表現 | 欠けているもの |
|---|---|
| 専門家によると | 名前 |
| ある調査では | 名前・日付 |
| 海外の研究で | 名前・場所 |
| 〜と言われている | 全部 |
これらは「出典がある形」をした「出典のない情報」です。
型④を直す:当事者と目的
| 当事者 | 内容 | 注意 |
|---|---|---|
| 企業 | 自社製品の安全性 | 売る目的。第三者の検査はあるか |
| 学校 | 自校の進学実績 | 良く見せる目的。定義(合格者数か進学者数か)を見る |
| 市役所 | 事故の経緯 | 説明責任があるが、責任を軽く見せる可能性 |
当事者は一次情報を持つが、目的を見ます(次のセクション)。
例題:どの型か
「ネットに『この勉強法で偏差値が二十上がる』と書いてあった。」
型①(ネットは媒体)+型③(誰が書いたか不明)。直し:記事の発信者名・日付を探す。なければ保留。
「有名な医師が『この塾がいい』と言っていた。」
型②。医師の専門は医療で、塾選びは専門外。個人の感想として扱う。
よくある間違い
媒体の信頼度で全部決める
新聞でも投稿の引用があり、SNSでも専門機関の公式アカウントがあります。中の発信者まで見ます。
「専門家」と書いてあれば専門機関だと思う
名前がなければ、専門家かどうかも確かめられません。型③です。
当事者を疑って個人を信じる
当事者の一次情報は重要です。無条件に信じるのではなく、目的と第三者の確認を添えて使います。
自分で確かめよう
確認1:発信者と出典の誤りの四つの型
媒体と発信者の取り違え、肩書きの当てはめすぎ、名前のない出典、当事者の無条件の信用。
確認2:「テレビで言っていたから本当だ」の直し方
番組の中で誰が言ったか(発信者名と種類)まで戻る。
確認3:「専門家によると」を根拠にできない理由
名前・日付・場所がなく、確かめに行けないから。
まとめと次の一歩
発信者と出典の誤りは、媒体の取り違え、肩書きの当てはめすぎ、名前のない出典、当事者の無条件の信用、の四つに分けられます。媒体の中の発信者まで戻り、専門の範囲を問い、三点を探し、目的と組み合わせて直します。
次のレッスンでは、複数の資料の発信者と出典を比べる入試形式の問題で、四段階と四つの型を通して使います。
クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。