LESSON 01

調査対象と偏り

調査対象と偏り:複数資料・入試で判断する

同じ話題の複数の調査を四つの問いで比べ、最も全体を代表する調査の選択、偏りの場所の指摘、質問文の問題の指摘、結果の範囲を限った記述を入試形式で解き、調査対象と偏りの検討を本番で使える形にまとめます。

調査対象と偏り:複数資料・入試で判断する

このレッスンの役割

ここは「調査対象と偏り」の出口です。四つの問い、偏りの三か所、四段階の手順、誤りの四つの型を、複数の調査を比べる入試形式の問題で通して使います。

中心技能は、最も全体を代表する調査を選び、偏りの場所を指摘し、質問文の問題を指摘し、結果を範囲を限って書くことです。目安時間は10分です。

入試でどう出るか

調査対象と偏りは、四つの形で出ます。

  1. 選択:「町民全体の意見を知る資料として最も適切な調査を選べ」
  2. 偏りの指摘:「資料Bの調査方法の問題点を書け」
  3. 質問文:「資料Cの質問が適切でない理由を書け」
  4. 範囲の記述:「資料Aの結果から言えることを、範囲を限って書け」

総合問題

「市民会館を建て替えるべきか」について、三つの調査結果が示されました。資料を読んで、あとの問いに答えなさい。

【資料A】市が住民基本台帳から無作為に三千人を選んで郵送した調査(回答千三百五十人、回答率四十五%) 質問「市民会館の建て替えについて、どう考えますか」 賛成 三十八%、どちらかといえば賛成 二十四%、どちらかといえば反対 十八%、反対 十二%、分からない 八%

【資料B】市民会館の利用者に、会館の受付で配布したアンケート(回答四百二十人) 質問「市民会館の建て替えについて、どう考えますか」 賛成 七十一%、どちらかといえば賛成 十九%、どちらかといえば反対 六%、反対 三%、分からない 一%

【資料C】建て替え反対の市民団体がSNSで行った投票(回答二千八百人) 質問「五十億円もの税金を使う市民会館の建て替えは必要ですか」 必要 十二%、不要 八十八%

問1

市民全体の意見を知る資料として最も適切なものを選び、理由を「選び方」の語を使って書きなさい。

問2

資料Bの結果を市民全体の意見として使えない理由を、偏りの場所を示して書きなさい。

問3

資料Cの質問が適切でない理由を書きなさい。

問4

資料Aの結果から言えることを、回答率に触れて五十字以内で書きなさい。

答えと判断

問1

資料A。住民基本台帳から無作為に選んでいるので、対象の選び方が市民全体を代表している。質問も中立。

問2

対象の選び方の偏り。市民会館の利用者だけに聞いているので、会館を使う人(建て替えに賛成しやすい人)に偏り、使わない市民の意見が入っていない。

問3

「五十億円もの税金を使う」という評価の語(「もの」は多さの強調)が入っていて、不要と答えるよう誘導している。また「必要・不要」の二択で中間の選択肢がない。SNSの自由参加で、反対団体の支持者が答えやすい点も偏り。

問4

「回答した千三百五十人の中では、賛成寄りが六十二%だったが、回答率四十五%のため全市民の傾向とは断定できない。」(五十字)。

誤答を診断する

誤答 型 戻るレッスン
問1で資料C(二千八百人) 人数で代表性を判断 印象に流された判断を直す(型①)
問2で「人数が少ない」 四百二十人は少なくない。問題は選び方 確かめる観点をつかむ(三か所)
問3で「反対団体だから」だけ 質問文の誘導を指摘していない 印象に流された判断を直す(型③)
問4で「市民の六割が賛成」 回答率に触れず範囲を限っていない 出典・根拠を手順で調べる(段階4)
資料Bを「うそ」と書く 偏りで全部捨てる 印象に流された判断を直す(型④)

三つの調査の表

問い 資料A 資料B 資料C
誰を 市民 会館の利用者 SNSの閲覧者
どう選んで 無作為 利用者のみ 自由参加
何人に 三千人中千三百五十人(四十五%) 四百二十人(配布数不明) 二千八百人
どう聞いたか 中立、五択 中立、五択 誘導、二択
選び方の偏り ○ × ×
回答者の偏り △(回答率四十五%) △ ×
質問の偏り ○ ○ ×
使える範囲 回答者の中では(全体に近い) 利用者の中では 投票した人の中では(参考)

答案で落とさないための確認

確認 見るもの
人数でなく選び方で代表性を判断したか A無作為、C自由参加
偏りの場所を名前で書いたか Bは対象の選び方
質問文の評価の語と選択肢を見たか Cの「もの」、二択
回答率に触れて範囲を限ったか Aの四十五%

よくある間違い

回答数が最も多い資料Cを選ぶ

二千八百人でも自由参加で誘導質問。代表性は選び方と質問で決まります。

資料Bの七十一%を「市民の七割」と読む

利用者の中では七十一%。使わない市民の意見が入っていません。

資料Aを「回答率が低いから使えない」と捨てる

回答率四十五%は郵送調査としては低くない。範囲を限って使います。

自分で説明しよう

確認1:調査を見る四つの問いと、偏りの三か所

誰を・どう選んで・何人に・どう聞いたか。対象の選び方・回答する人・質問の仕方。

確認2:結果を全体へ広げてよい三つの条件

対象が全体を代表している(無作為か全員)、回答率が十分、質問が中立。

確認3:偏りのある調査の使い方

「〜の中では」と範囲を限って使う。捨てない。

セクションの出口

複数の調査を四つの問いで比べ、選び方で代表性を判定し、偏りの場所と質問文の問題を指摘し、回答率に触れて範囲を限って書けたら完了です。

次のセクション「数字・割合・グラフの見せ方」では、調査結果の数字そのものの見せ方(母数・割合・軸・期間・比較対象)が印象をどう変えるかを扱います。

クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。

UNDERSTANDING CHECK

理解チェック:調査対象と偏りを入試で使う

70% 合格ライン
  1. 設問 0
    市民全体の意見を知る資料として最も適切なのはどれですか。
  2. 設問 1
    市民会館の利用者へのアンケートを市民全体の意見として使えない理由はどれですか。
  3. 設問 2
    「五十億円もの税金を使う市民会館の建て替えは必要ですか」の質問が適切でない理由はどれですか。
  4. 設問 3
    無作為調査(回答率四十五%)の結果から言えることの正しい書き方はどれですか。
  5. 設問 4
    回答数が最も多いSNS投票を選ぶ誤りの型はどれですか。

まずは自分で選んでみましょう。採点・学習履歴への記録は、回答APIとの連携時に追加します。