事実・意見・推測を分けよう:印象に流された判断を直す
このレッスンの役割
事実・意見・推測の区別の誤りは、評価つきの事実をそのまま読む、原因の推測を事実と読む、断定の推測を事実と読む、意見を間違いと決める、の四つに分けられます。ここでは、それぞれを型に分け、直します。
今回の中心技能は、区別の誤りを四つの型のどれかで言い、直せることです。目安時間は8分です。
今日の問い
「深刻なことに、市内の空き家は五年で二倍に増えた。」を読んで、「空き家の増加は深刻な事実だ」とまとめた。
「二倍に増えた」は事実ですが、「深刻」は書き手の評価です。評価を事実の一部として受け取った型①です。「空き家は五年で二倍に増えた(事実)。書き手はこれを深刻だと評価している(意見)」と分けます。
誤りの四つの型
| 型 | 起きていること | 例 | 直し方 |
|---|---|---|---|
| ① 評価つきの事実 | 評価の語を事実の一部と読む | 深刻な増加、驚異の満足度 | 評価の語を抜いて事実だけにする |
| ② 原因の推測を事実に | 「で」「ため」「のせいで」の原因を事実と読む | 歩きスマホで事故が増えた | 「増えた」と「原因」を分け、原因は推測の札 |
| ③ 断定の推測を事実に | 「に違いない」「明らかだ」「必ず」を事実と読む | 値上げすれば必ず減る | 確かめる方法があるか問う。将来は必ず推測 |
| ④ 意見を間違いと決める | 意見を「事実でないからうそ」と読む | 「べきだ」はうそ | 意見は根拠の有無で扱う |
型①を直す:評価の語の一覧
| 種類 | 語 |
|---|---|
| 程度を強める | 驚異の、圧倒的な、深刻な、わずか、たった、〜も、〜しか |
| 良し悪し | よい、悪い、望ましい、ひどい、すばらしい |
| 急さ | 突然の、急激な |
これらを抜いた残りが事実の部分です。
型②を直す:原因を示す語
| 語 | 例 | 分解 |
|---|---|---|
| で | 猛暑で売上が増えた | 売上が増えた/原因は猛暑(推測) |
| ため | 不況のため倒産した | 倒産した/原因は不況(推測) |
| のせいで | スマホのせいで成績が下がった | 成績が下がった/原因はスマホ(推測) |
| により | 制度改正により利用者が増えた | 利用者が増えた/原因は改正(推測) |
「因果関係を根拠にするとき」の三条件が確かめられて初めて、原因は事実に近づきます。
型③を直す:断定の文末
| 文末 | 種類 | 理由 |
|---|---|---|
| 必ず〜する | 推測 | 将来のことは確かめられない |
| 〜に違いない | 推測 | 確信の表現で、確認ではない |
| 明らかに〜だ | 推測か意見 | 「明らか」は書き手の判断 |
| 〜した(過去の記録) | 事実 | 確かめられる |
強い断定ほど、事実に見えます。「将来」「確信」「判断」は推測か意見です。
型④を直す:意見の扱い
| 意見 | 誤った扱い | 正しい扱い |
|---|---|---|
| 市は設備改善を優先すべきだ | うそだ/正しい | 根拠は「三割減」(事実)と「設備が原因」(推測)。事実の根拠は一つ |
| 新しい図書館は快適だ | 事実ではないから無視 | 書き手の感じ方。利用者の声として参考 |
意見は確かめる対象ではなく、根拠を検討する対象です。
例題:どの型か
「猛暑で熱中症の搬送が倍増した」を「猛暑が原因で倍増したという事実」と読んだ。
型②。「倍増した」が事実、「猛暑が原因」は推測(この場合は支えが強いが、札は推測)。
「この参考書を使えば必ず成績が上がる」を「上がるという事実」と読んだ。
型③。「必ず上がる」は将来の推測。確かめられない。
よくある間違い
評価の語を「強調しているだけ」と軽く見る
評価の語は書き手の立場を示します。抜いて事実にし、評価は意見として別に記録します。
「で」を全部疑うと文が読めなくなる
「で」の前後を分けるだけです。分けた上で、原因の支えが強ければ「支えの強い推測」として使います。
意見を全部無視する
意見は筆者の主張であり、設問の中心です。根拠の有無で扱います。
自分で確かめよう
確認1:区別の誤りの四つの型
評価つきの事実、原因の推測を事実に、断定の推測を事実に、意見を間違いと決める。
確認2:「深刻なことに空き家が二倍に増えた」の直し方
「二倍に増えた」を事実、「深刻」を書き手の評価(意見)として分ける。
確認3:「必ず成績が上がる」が事実でない理由
将来のことで確かめる方法がなく、断定の形をした推測だから。
まとめと次の一歩
区別の誤りは、評価つきの事実、原因の推測、断定の推測、意見を間違いと決める、の四つに分けられます。評価の語を抜き、原因を分け、断定の文末を疑い、意見は根拠で扱って直します。
次のレッスンでは、複数の資料から事実・意見・推測を分けて判断する入試形式の問題で、四段階と四つの型を通して使います。
クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。