出典を示して情報を使おう:確かめる観点をつかむ
このレッスンの役割
ここまで、情報を「受け取る側」として確かめてきました。このセクションでは「使う側」になります。作文・レポート・発表で情報を使うとき、どこまでが資料の内容で、どこからが自分の考えかを分け、出典を示します。これは、読み手が「誰が・何を根拠に」を確かめられるようにする、つまり五つの問いに答えられる文章を書くことです。
今回の中心技能は、情報を使うときの三つの約束を言い、出典を示す三つの形と引用の二つの方法を使い分けられることです。目安時間は8分です。
今日の問い
作文の一節:「中学生の二割が運動不足である。だから学校は運動の時間を増やすべきだ。」
「二割が運動不足」は誰の調査か書かれていません。読み手は確かめられず、「運動不足」の定義も分かりません。出典を示すと、「スポーツ庁の令和五年度の調査によれば、中学二年生の女子の二十一・三%が一週間の運動時間六十分未満である」となり、読み手が確かめに行けます。「だから〜べきだ」は自分の考えで、資料と分けて書きます。
三つの約束
| 約束 | 内容 | 守らないと |
|---|---|---|
| 引用と自分の考えを分ける | 資料の内容と自分の意見を、文の形で区別する | 読み手が「誰の考えか」を取り違える |
| 出典を示す | 名前・日付・場所の三点を示す | 読み手が確かめられない。無断で使ったことになる |
| 元の意味を変えない | 省略・言い換え・切り取りで意味を変えない | 二次情報の変化を自分が起こす |
三つの約束は、このコースで学んだ「確かめる観点」を、書く側で守ることです。
出典を示す三つの形
| 形 | 例 | 使う場面 |
|---|---|---|
| 文中に組み込む | スポーツ庁の令和五年度の調査によれば、〜 | 作文、発表 |
| かっこで添える | 〜である(スポーツ庁「全国体力・運動能力調査」令和五年度)。 | レポート |
| 末尾にまとめる | 本文に番号をつけ、末尾に「参考資料」として一覧 | 長いレポート |
どの形でも、名前・日付(年度)・場所(資料名)の三点を含めます。
引用の二つの方法
| 方法 | 形 | 約束 |
|---|---|---|
| 直接引用 | 「 」で元の文をそのまま引く | 一字も変えない。省く場合は「(中略)」 |
| 間接引用 | 元の内容を自分の言葉でまとめて述べる | 意味を変えない。数値・条件・範囲を保つ |
| 元の資料 | 直接引用 | 間接引用 |
|---|---|---|
| 一週間の運動時間が六十分未満の中学二年生は、男子八・五%、女子二十一・三%であった | スポーツ庁の調査では「一週間の運動時間が六十分未満の中学二年生は、男子八・五%、女子二十一・三%であった」とされる | スポーツ庁の調査によれば、週の運動時間が六十分に満たない中学二年生は女子で約二割、男子で約一割である |
引用と自分の考えの分け方
| 種類 | 文末・合図 |
|---|---|
| 資料の内容 | 〜によれば〜である、〜と報告されている、〜とされる |
| 自分の考え | 私は〜と考える、〜べきだと思う、〜ではないだろうか |
「〜によれば」で始まった文が終わったら、次の文で「私は」と切り替えます。
例題:約束を守って書く
元の資料:市の調査(令和五年)「『将来もこの市に住みたいか』に、『住みたい』二十八%、『どちらとも言えない』三十五%、『住みたくない』二十五%」
| 約束違反 | 守った形 |
|---|---|
| 六割の中学生が市を出たがっている(出典なし、合算、言い換え) | 市の令和五年の調査によれば、中学生のうち「住みたくない」は二十五%、「どちらとも言えない」は三十五%である。私は、この「どちらとも言えない」層の多さにこそ、市が取り組むべき課題があると考える |
よくある間違い
「みんな知っていること」には出典がいらないと思う
数値・調査結果・他人の意見には、必ず出典をつけます。自分の体験と一般的な常識だけが例外です。
出典を示せば意味を変えてもよいと思う
出典があっても、合算・言い換え・切り取りで意味を変えれば、約束違反です。
自分の考えを資料の内容のように書く
「〜である」で自分の意見を書くと、資料の内容と区別がつきません。「私は〜と考える」。
自分で確かめよう
確認1:情報を使うときの三つの約束
引用と自分の考えを分ける、出典を示す、元の意味を変えない。
確認2:出典に含める三点
名前、日付(年度)、場所(資料名)。
確認3:直接引用と間接引用の違いと約束
直接引用は「 」でそのまま(一字も変えない)。間接引用は自分の言葉でまとめる(意味・数値・条件を変えない)。
まとめと次の一歩
情報を使うときは、引用と自分の考えを分ける・出典を示す・元の意味を変えない、の三つの約束を守ります。出典は三つの形、引用は二つの方法で、いずれも名前・日付・資料名を含めます。
次のレッスンでは、資料から作文の一節を書くまでの手順を一行ずつ使えるようにします。
クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。