複数の情報源を比べよう:確かめる観点をつかむ
このレッスンの役割
五つの問いの⑤「他はどう言うか」を深めます。一つの情報源だけでは、省略・切り取り・立場の偏りに気づけません。複数の情報源を並べると、「どの情報源も認めている事実」と「立場によって違う主張」が分かれて見えます。ここでは、比べるときの三つの区分と、食い違いの理由をつかみます。
今回の中心技能は、複数の情報源を三つの区分に分け、食い違いの理由を三つのどれかで言えることです。目安時間は8分です。
今日の問い
市営プールの値上げについて: 市の広報「設備更新のため大人四百円を六百円に改定。中学生以下は据え置き」 市民団体「突然の五割値上げ。市民の健康の場を守れ」 新聞「市は二百円引き上げ。設備更新に三年で二億円。団体は撤回を求める」
共通する事実:大人料金が四百円から六百円になる。食い違う事実:なし(五割と二百円は同じ事実の表し方)。食い違う主張:市「必要な改定」、団体「撤回すべき」。食い違いの理由は立場の違いです。三つを並べると、「値上げの額」は確かで、「値上げの是非」は立場で違う、と整理できます。
三つの区分
| 区分 | 内容 | 扱い |
|---|---|---|
| 共通する事実 | どの情報源も認めている事実 | 最も確か。根拠として使える |
| 食い違う事実 | 情報源によって数値・経緯が違う | どちらが一次情報に近いか、調べ方・時期の違いを確かめる |
| 食い違う主張 | 立場によって評価・意見が違う | どちらも「その立場の主張」として扱い、根拠を比べる |
「事実・意見・推測」の区別を、情報源をまたいで行う形です。
食い違いが生まれる三つの理由
| 理由 | 内容 | 例 |
|---|---|---|
| 立場の違い | 利害・目的が違う | 市は改定の必要を、団体は負担を強調 |
| 調べ方の違い | 対象・方法・質問が違う | 無作為調査と利用者アンケートで賛成の割合が違う |
| 時期の違い | 情報の時点が違う | 事故当日の第一報と、翌日の調査結果 |
食い違いを見つけたら、理由を三つのどれかで言います。理由が分かれば、どう扱うかが決まります。
立場の違う情報源を選ぶ
| 話題 | 選ぶ情報源 |
|---|---|
| 政策 | 行政、賛成する団体、反対する団体、報道 |
| 商品 | 販売者、購入者、公的機関 |
| 出来事 | 当事者双方、目撃者、公式発表 |
同じ立場の情報源を何個集めても、「他はどう言うか」にはなりません。立場の違う情報源を意図的に選びます。
例題:三つの区分で見る
部活動の地域移行について: 教育委員会「教員の負担軽減と専門的指導の充実が期待される」 保護者会のアンケート「六十八%が不安。費用や送迎を心配」 生徒の投稿「友達と別々になるかも。でも専門コーチはいい」
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 共通する事実 | 休日の部活動が地域へ移行される |
| 食い違う事実 | なし(それぞれ別の事実を出している) |
| 食い違う主張 | 教委:利点。保護者:不安。生徒:両方 |
| 理由 | 立場の違い |
食い違う事実の扱い
| 状況 | 確かめること |
|---|---|
| 数値が違う | 調べ方(対象・方法・定義)、時期 |
| 経緯が違う | どちらが一次情報に近いか、当事者の発表 |
| 一方にしかない事実 | 他方が省いたのか、知らないのか |
「一方にしかない事実」は、「目的と対象」の「省かれたもの」です。
よくある間違い
食い違いがあれば「どちらかがうそ」と思う
立場・調べ方・時期の違いで、どちらも正しいことがあります。理由を見ます。
同じ立場の情報源を複数集めて「確認した」と思う
同じ立場は同じ省略をします。立場の違う情報源を選びます。
共通する事実を軽く見る
共通する事実が最も確かな土台です。先に書き出します。
自分で確かめよう
確認1:複数の情報源を比べる三つの区分
共通する事実、食い違う事実、食い違う主張。
確認2:食い違いが生まれる三つの理由
立場の違い、調べ方の違い、時期の違い。
確認3:市営プールの値上げで、共通する事実と食い違う主張
共通する事実:大人料金が四百円から六百円になる。食い違う主張:市は必要な改定、団体は撤回すべき。
まとめと次の一歩
複数の情報源は、共通する事実・食い違う事実・食い違う主張の三つに分けます。食い違いの理由は立場・調べ方・時期の三つで、立場の違う情報源を意図的に選びます。
次のレッスンでは、複数の情報源を表に並べて三つの区分に分け、食い違いの理由を判定して結論を書く手順を一行ずつ使えるようにします。
クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。