LESSON 01

調査対象と偏り

調査対象と偏り:出典・根拠を手順で調べる

主張が広げている「全体」を書き出す、調査の四つの問い(誰を・どう選んで・何人に・どう聞いたか)に答える、三つの場所の偏りを判定する、結果を「〜の中では」と範囲を限って書き直すという四段階で、調査結果の使える範囲を決める手順を一行ずつ使います。

調査対象と偏り:出典・根拠を手順で調べる

このレッスンの役割

前のレッスンで、四つの問いと偏りの三か所を知りました。ここでは、調査結果を見てから「どの範囲まで言えるか」に書き直すまでを一つの手順にします。入試の「この調査結果から言えることとして適切なもの」「調査の問題点を指摘せよ」は、この手順で答えます。

今回の中心技能は、「主張の全体を書き出す → 四つの問いに答える → 三か所の偏りを判定する → 範囲を限って書き直す」の四段階を一行ずつ書けることです。目安時間は9分です。

今日の問い

「本校の生徒会がSNSで『体育祭は五月と十月のどちらがよいか』を聞いたところ、回答百二十人のうち七十五%が十月と答えた。だから生徒の大多数は十月を望んでいる。」

手順で確かめます。全体:本校の生徒(六百人と仮定)。四つの問い:誰を(SNSを見た人)、どう選んで(自分から答えた人)、何人に(百二十人、全校の二割)、どう聞いたか(二択、中立)。偏り:対象の選び方(SNSを使う生徒だけ)、回答する人(関心のある人)。質問は問題なし。書き直し:「SNSで回答した百二十人の中では、七十五%が十月を望んだ」。「生徒の大多数」とは言えない。

手順を一行ずつ

段階 すること 今日の問いの場合
1 主張が広げている「全体」を書き出す 本校の生徒全員
2 四つの問いに答える SNSを見た人/自分から/百二十人(二割)/二択・中立
3 三か所の偏りを判定する 選び方×、回答者×、質問○
4 「〜の中では」と範囲を限って書き直す 回答した百二十人の中では七十五%が十月

段階1:全体の書き出し

主張 広げている全体
生徒の大多数は十月を望む 本校の生徒全員
町民の八割は図書館を必要としない 町民全員
中学生の二割が運動不足 全国の中学生

「大多数」「町民」「中学生」のような語が、全体を示します。

段階2:四つの問いの答え方

問い 探す場所 書き方
誰を 調査の対象の記述 「SNSを見た本校の生徒」
どう選んで 「無作為」「全員」「回答を募集」 「自分から答えた人」
何人に 回答数、回答率 「百二十人(全校の約二割)」
どう聞いたか 質問文と選択肢 「五月か十月かの二択」

一次情報(調査の概要)に書かれています。書かれていなければ「不明」とし、それ自体が問題点です。

段階3:偏りの判定表

場所 問い ○の条件
対象の選び方 全体から無作為か、全員か 無作為または全員
回答する人 回答率は高いか、答えた人が偏っていないか 回答率が高い、または偏りが小さい
質問の仕方 誘導する語・偏った選択肢がないか 中立

×があれば、その場所の偏りを一言で書きます(「SNSを使う生徒だけ」「関心のある人だけ」)。

段階4:書き直しの形

元の表現 書き直し
生徒の大多数は十月を望む SNSで回答した百二十人の中では七十五%が十月を選んだ
町民の八割は図書館を必要としない 平日昼に駅前で答えた百人の中では八割が不要と答えた
生徒の七割が制服は不要 サイトで回答した三百人の中では七割が不要と答えた

「〜の中では」「〜で答えた人のうち」が、範囲を限る形です。

例題:手順で通す

「市が全世帯から無作為に二千世帯を選んで郵送したアンケートで、回答六百世帯のうち五十八%が『ごみの収集回数を減らしてよい』と答えた。」

段階 結果
1 市の全世帯
2 全世帯から無作為/郵送/二千のうち六百(回答率三割)/質問は要確認
3 選び方○、回答者△(回答率三割、関心のある世帯が答えやすい)、質問は要確認
4 「回答した六百世帯の中では五十八%が減らしてよいと答えた。回答率三割のため全世帯の傾向とは断定できない」

無作為でも、回答率が低ければ範囲を限ります。

よくある間違い

段階1を飛ばして調査だけ見る

主張がどこまで広げているかを書かないと、ずれに気づけません。

段階2で「不明」を飛ばす

選び方や回答率が書かれていないこと自体が問題点です。「不明」と書きます。

段階4で「使えない」とだけ書く

範囲を限れば使えます。「〜の中では」の形に書き直します。

自分で確かめよう

確認1:調査結果の範囲を決める四段階

主張の全体を書き出す、四つの問いに答える、三か所の偏りを判定、範囲を限って書き直す。

確認2:SNSの投票で「生徒の大多数」と言えない偏りの場所

対象の選び方(SNSを使う生徒だけ)と回答する人(関心のある人だけ)。

確認3:無作為に選んだ調査でも範囲を限る必要があるのはどんなときですか

回答率が低く、答えた人が偏っている可能性があるとき。

まとめと次の一歩

手順は、全体を書き出す、四つの問いに答える、三か所の偏りを判定、「〜の中では」で書き直す、の四段階です。無作為でも回答率が低ければ範囲を限ります。

次のレッスンでは、調査の読み取りでよく起きる誤りを四つの型に分け、直せるようにします。

クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。

UNDERSTANDING CHECK

理解チェック:調査結果の範囲を決める手順

70% 合格ライン
  1. 設問 0
    調査結果の範囲を決める四段階の段階1は何ですか。
  2. 設問 1
    SNSで回答した百二十人の七十五%が十月を選んだ結果の正しい書き方はどれですか。
  3. 設問 2
    調査の選び方や回答率が書かれていないとき、どうしますか。
  4. 設問 3
    無作為に二千世帯を選んで郵送し、回答六百世帯(回答率三割)の調査の判定はどれですか。
  5. 設問 4
    範囲を限って書くときの形はどれですか。

まずは自分で選んでみましょう。採点・学習履歴への記録は、回答APIとの連携時に追加します。