複数の情報源を比べよう:出典・根拠を手順で調べる
このレッスンの役割
前のレッスンで、三つの区分と食い違いの理由を知りました。ここでは、複数の情報源を読んでから結論を書くまでを一つの手順にします。入試の「複数の資料を読んで分かることを書け」「資料の食い違いの理由を説明せよ」は、この手順で答えます。
今回の中心技能は、「立場と発信者を書く → 事実と主張を表に並べる → 三つの区分に分けて理由を判定する → 共通する事実を土台に結論を書く」の四段階を一行ずつ書けることです。目安時間は9分です。
今日の問い
学校の制服の見直しについて: 学校の通知「来年度から制服の着用を選択制にする。全校アンケートで六十一%が賛成した」 PTAの会報「アンケートの回答率は四十二%にとどまり、保護者の意見は十分に反映されていない。費用の負担も心配」 生徒会の掲示「選択制は生徒の自由を広げる。寒い日や行事の日に自分で選べる」
手順で結論を書きます。立場:学校(決定者)、PTA(保護者、慎重)、生徒会(生徒、賛成)。表:学校の事実「六十一%賛成」、PTAの事実「回答率四十二%」、生徒会の事実なし(主張のみ)。区分:共通する事実「来年度から選択制」「アンケートを実施」。食い違う事実:なし(六十一%と回答率四十二%は両立する)。食い違う主張:学校・生徒会は賛成、PTAは慎重。理由:立場の違い。結論:「選択制の導入と、回答者の六十一%が賛成したことは確か。回答率四十二%のため全校の意見とは言えず、費用の負担は未検討」。
手順を一行ずつ
| 段階 | すること | 今日の問いの場合 |
|---|---|---|
| 1 | 各情報源の立場と発信者を書く | 学校(決定者)、PTA(保護者)、生徒会(生徒) |
| 2 | 各情報源の「事実」と「主張」を表に並べる | 下の表 |
| 3 | 三つの区分に分け、食い違いの理由を判定する | 共通:選択制の導入、アンケート実施。主張の食い違い:立場 |
| 4 | 共通する事実を土台に、立場ごとの主張と判断できないことを書く | 上の結論 |
段階2の表
| 情報源 | 事実 | 主張 |
|---|---|---|
| 学校 | 来年度から選択制。六十一%が賛成 | (導入は妥当) |
| PTA | 回答率四十二% | 意見が反映されていない。費用が心配 |
| 生徒会 | ― | 自由が広がる |
事実の欄が空の情報源は、主張だけの情報源です。
段階3の表
| 区分 | 内容 | 理由 |
|---|---|---|
| 共通する事実 | 選択制の導入、アンケートの実施 | ― |
| 食い違う事実 | なし(六十一%と回答率四十二%は矛盾しない) | ― |
| 食い違う主張 | 賛成(学校・生徒会)、慎重(PTA) | 立場の違い |
「六十一%」と「回答率四十二%」は、一見食い違うようで、同じアンケートの別の側面です。並べると分かります。
段階4:結論の形
| 部分 | 書き方 |
|---|---|
| 確かなこと | 「〜は、どの資料でも共通して確認できる」 |
| 立場ごとの主張 | 「〜は〜を理由に賛成し、〜は〜を理由に慎重である」 |
| 判断できないこと | 「〜については、〜が分からないため判断できない」 |
三つの部分で書くと、「分かること」「分かれること」「分からないこと」が区別されます。
例題:手順で通す
川の魚の死について: 投稿「毒で汚染。魚が大量死」 市の発表「土砂の流入による一時的な酸素不足。有害物質なし」 新聞(翌日)「市の発表を伝え、工事業者が土砂の流出を認めたと報道」
| 段階 | 結果 |
|---|---|
| 1 | 投稿者(個人、不安)、市(当事者、調査)、新聞(報道) |
| 2 | 投稿:魚が死んだ(事実)、毒(推測)。市:酸素不足、有害物質なし。新聞:業者が認めた |
| 3 | 共通:魚が死んだ。食い違う事実:原因(毒/酸素不足)→理由は調べ方(投稿は推測、市は調査)と時期(投稿は当日朝、市は夕方)。主張の食い違い:なし |
| 4 | 魚が死んだことは確か。原因は市の調査で酸素不足、新聞で業者が認めた。「毒」は調査前の推測で、根拠はない |
よくある間違い
段階1を飛ばして内容だけ比べる
立場を書かないと、主張の食い違いの理由が説明できません。
段階3で「六十一%」と「回答率四十二%」を食い違う事実にする
同じアンケートの別の側面で、両立します。並べて確かめます。
段階4で一方の主張を結論にする
結論は共通する事実を土台にし、主張は立場ごとに並べ、判断できないことを書きます。
自分で確かめよう
確認1:複数の情報源から結論を出す四段階
立場と発信者を書く、事実と主張を表に並べる、三つの区分に分けて理由を判定、共通する事実を土台に結論を書く。
確認2:「六十一%が賛成」と「回答率四十二%」はどの区分ですか
食い違う事実ではなく、同じアンケートの両立する事実。共通する事実(アンケートの実施)の詳細。
確認3:結論の三つの部分
確かなこと、立場ごとの主張、判断できないこと。
まとめと次の一歩
手順は、立場を書く、事実と主張を表に、三つの区分と理由、結論を三つの部分で、の四段階です。結論は共通する事実を土台にします。
次のレッスンでは、複数の情報源の比較でよく起きる誤りを四つの型に分け、直せるようにします。
クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。