事実・意見・推測を分けよう:出典・根拠を手順で調べる
このレッスンの役割
前のレッスンで、三つの問いと混ざる形を知りました。ここでは、一つの情報を分解して「使える事実」を取り出し、推測と意見を適切に扱うまでを一つの手順にします。
今回の中心技能は、「文ごと・部分ごとに分ける → 札をつける → 事実に確かめる方法と出典を添える → 推測と意見に支えの有無を書く」の四段階を一行ずつ書けることです。目安時間は9分です。
今日の問い
市民団体のチラシ:「市営プールの利用者は五年で三割減った。設備が古く魅力がないためだ。値上げすればさらに減るに違いない。市は値上げより設備の改善を優先すべきだ。」
手順で分解します。文1:事実(三割減。市の統計で確かめる)。文2:推測(ためだ。原因)。文3:推測(に違いない。将来)。文4:意見(べきだ)。事実の出典:チラシには書かれていない。推測の支え:文2は「設備が古い」という事実があれば一部支えられる。文3は支えなし。意見の根拠:文1〜3。使える事実は「三割減」(出典を確かめてから)。
手順を一行ずつ
| 段階 | すること | 今日の問いの場合 |
|---|---|---|
| 1 | 文ごと・部分ごとに分ける | 四文(文1は事実のみ) |
| 2 | 三つの問いで札をつける | 事実・推測・推測・意見 |
| 3 | 事実に「確かめる方法と出典」を添える | 市の利用者統計。チラシに出典なし |
| 4 | 推測に支える事実の有無、意見に根拠の有無を書く | 文2:一部あり。文3:なし。文4:根拠は文1〜3 |
段階1:分け方
| 情報 | 分けた部分 |
|---|---|
| 歩きスマホで事故が二割増えた | 事故が二割増えた/原因は歩きスマホ |
| 驚異の九十二%が満足 | 九十二%が満足と回答/驚異の |
| 新しい図書館は広くて快適で、利用者も増えたらしい | 広い/快適/利用者が増えたらしい |
一文に二つ以上の種類があれば、部分に分けます。
段階2:札の表
| 札 | 合図 |
|---|---|
| 事実 | 数値、日付、「〜した」、確かめられる |
| 意見 | べき、よい、悪い、望ましい、深刻、驚異の |
| 推測 | だろう、かもしれない、に違いない、らしい、ためだ、で(原因) |
段階3:事実の確かめ方
| 事実の部分 | 確かめる方法 | 出典があるか |
|---|---|---|
| 利用者が五年で三割減 | 市の統計 | チラシにはなし → 探す |
| 大人料金が四百円から六百円 | 市の広報 | あり |
| 設備が古い | 建設年、改修記録 | なし → 探す |
出典があれば「使える」、なければ「確かめるまで条件つき」。
段階4:推測と意見の扱い
| 種類 | 書くこと | 今日の問いの場合 |
|---|---|---|
| 推測 | 支える事実があるか、飛躍の大きさ | 文2:「設備が古い」が確かめられれば小。文3:大(他の自治体の例などなし) |
| 意見 | 根拠として示された事実・推測は何か | 文1(事実)+文2・3(推測)。事実の根拠は一つ |
意見は「正しい・誤り」ではなく「根拠が何か」で扱います。根拠が推測だけなら、意見の支えは弱い。
例題:手順で通す
ニュース:「昨夜の地震で、市内の三十戸が停電した。復旧は今日中の見込み。古い送電線が原因とみられる。」
| 部分 | 札 | 確かめ・支え |
|---|---|---|
| 三十戸が停電 | 事実 | 電力会社の発表で確かめられる |
| 復旧は今日中の見込み | 推測 | 電力会社の見込みなら支えあり |
| 古い送電線が原因とみられる | 推測 | 「とみられる」。調査結果を待つ |
使える事実は「三十戸が停電」。「原因は古い送電線」は保留。
よくある間違い
段階1で一文を一つの種類にする
「歩きスマホで二割増えた」を事実一つにすると、原因の推測を事実として使ってしまいます。
段階3で出典がない事実を「使える」にする
事実の形でも、出典がなければ確かめられません。「条件つき」。
段階4で推測を「間違い」と書く
推測は誤りではなく、「支える事実があるか」で扱います。支えがあれば小さな飛躍。
自分で確かめよう
確認1:事実を取り出す四段階
文ごと・部分ごとに分ける、札をつける、事実に確かめる方法と出典を添える、推測と意見に支えの有無を書く。
確認2:「値上げすればさらに減るに違いない」の札と支え
推測。支える事実(他の自治体の例など)がなく、飛躍が大きい。
確認3:意見はどう扱いますか
正しい・誤りでなく、根拠として示された事実・推測が何かを書く。
まとめと次の一歩
手順は、分ける、札をつける、事実に確かめる方法と出典、推測と意見に支えの有無、の四段階です。使える事実は、出典が確かめられたものだけです。
次のレッスンでは、事実・意見・推測の区別でよく起きる誤りを四つの型に分け、直せるようにします。
クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。