不足している情報を考えよう:印象に流された判断を直す
このレッスンの役割
足りない情報の記述の誤りは、抽象的に書く、すでにある情報を挙げる、関係のない情報を挙げる、資料の誤りとして書く、の四つに分けられます。ここでは、それぞれを型に分け、直します。記述の減点のほとんどが、この四つです。
今回の中心技能は、足りない情報の記述の誤りを四つの型のどれかで言い、直せることです。目安時間は8分です。
今日の問い
設問「この資料だけでは判断できない理由と、さらに必要な情報を書け」に、「情報が少ないので、もっと詳しく調べる必要がある」と答えた。
何を・誰について・いつの・どう比べるが一つもありません。型①「抽象的に書く」です。「C中学校の生徒の国語の平均点を、朝読書の導入前と導入後で比べた変化」のように、四つの要素を含めて書きます。
誤りの四つの型
| 型 | 起きていること | 例 | 直し方 |
|---|---|---|---|
| ① 抽象的に書く | 何を・誰について・いつの・どう比べるがない | もっと詳しく調べる | 四つの要素を含めて書く |
| ② すでにある情報 | 資料に書いてあることを足りないと書く | 「事故の件数が必要」(資料に十二件とある) | 資料を読み直し、ないものだけ挙げる |
| ③ 関係のない情報 | 主張の要素と対応しない情報を挙げる | 「生徒の身長が必要」 | 主張の要素から逆算する |
| ④ 資料の誤りとして書く | 「足りない」を「間違っている」と書く | この資料はうそだ | 「〜だけでは判断できない」の形で書く |
型①を直す:要素の確認表
| 書いたこと | 何を | 誰について | いつの | どう比べる | 判定 |
|---|---|---|---|---|---|
| もっと詳しく調べる | × | × | × | × | 不可 |
| 事故の件数 | ○ | × | × | × | 不十分 |
| 変更前の同じ期間の、同じ通学路の事故件数 | ○ | ○ | ○ | ○(変更後と) | 可 |
四つのうち三つ以上を含めます。
型②を直す:資料の読み直し
| 資料 | 書いてあること | 足りないと書けないもの |
|---|---|---|
| 昨年の自転車事故十二件、うち頭部三件 | 件数、頭部の件数、時期 | 件数、頭部の割合 |
| C中の国語平均点が市内最高 | 順位 | 順位 |
足りないと書く前に、資料にないことを確かめます。
型③を直す:要素との対応
| 主張の要素 | 対応する情報 | 対応しない情報 |
|---|---|---|
| ヘルメットで頭部のけがが減る | 着用の有無、他市の前後比較 | 生徒の身長、自転車の種類 |
| 朝読書で国語の点が上がる | 導入前後の変化、他校との比較 | 図書館の蔵書数、生徒の通学時間 |
「必要な根拠を本文から選ぼう」の「要素の対応」と同じです。
型④を直す:書く形
| 誤った形 | 正しい形 |
|---|---|
| この資料は間違っている | この資料だけでは〜が分からないため、〜とは判断できない |
| 筆者はうそをついている | 筆者の主張を確かめるには、〜が必要である |
足りないのは材料であって、資料の誤りではありません。
例題:どの型か
「新しい通学路の安全を判断するには、通学路の長さが必要だ。」
型③。長さは「事故が少ない」の要素に対応しない。変更前後の事故件数。
「資料には事故が十二件とあるが、本当は何件か分からないので信用できない。」
型④(+②)。件数は資料にある。足りないのは例年との比較と着用の有無で、資料の誤りではない。
よくある間違い
「具体的に」を「長く」だと思う
長くても四つの要素がなければ抽象的です。短くても要素があれば具体的。
資料を読まずに足りない情報を書く
資料にある情報を挙げると、「読んでいない」と判定されます。先に読み直します。
「判断できない」と書くのを避ける
「判断できない」は、理由と必要な情報を添えれば満点の答えです。
自分で確かめよう
確認1:足りない情報の記述の誤りの四つの型
抽象的に書く、すでにある情報、関係のない情報、資料の誤りとして書く。
確認2:「もっと詳しく調べる必要がある」の直し方
何を・誰について・いつの・どう比べるを含めて具体的に書く。
確認3:「足りない」と「間違っている」の違い
足りないのは判断の材料で、資料の誤りではない。「〜だけでは判断できない」と書く。
まとめと次の一歩
足りない情報の記述の誤りは、抽象的、すでにある、関係ない、誤りとして書く、の四つに分けられます。四つの要素、資料の読み直し、要素との対応、「判断できない」の形、で直します。
次のレッスンでは、複数の資料から足りない情報を書く入試形式の問題で、四段階と四つの型を通して使います。
クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。