感情を動かす言葉に注意しよう:確かめる観点をつかむ
このレッスンの役割
「情報を疑うとはどういうこと」で、印象の四つの型の一つに「感情」がありました。ここでは、感情を動かす言葉そのものを四つの型に分け、合図となる語を覚えます。感情が動いた瞬間に「どの型の言葉か」を言えれば、確かめる前に判断してしまうことを防げます。
今回の中心技能は、感情を動かす表現を四つの型のどれかで言い、合図の語を抜いて事実の部分を残せることです。目安時間は8分です。
今日の問い
「衝撃!あなたの飲んでいる水道水に、知られざる危険が潜んでいる。今すぐ確認しないと手遅れに。」
「衝撃」「危険」「手遅れ」は恐怖をあおる語、「今すぐ」は急がせる語です。事実の部分を残すと、「水道水に何かがある」だけで、何が・どれだけ・誰の調べか、が一つもありません。感情の語を抜くと、確かめるべき事実がないことが分かります。
感情を動かす表現の四つの型
| 型 | 働き | 合図の語 |
|---|---|---|
| 断定 | 確かめていないことを確かな口調で言う | 間違いない、明らかだ、必ず、絶対に、〜に決まっている |
| 誇張 | 程度を実際より大きく言う | 驚異の、圧倒的、史上最高、激増、崩壊、全員が |
| 恐怖をあおる | 不安・危険を感じさせて急がせる | 危険、手遅れ、取り返しがつかない、今すぐ、知らないと損 |
| 期待をあおる | 得・成功を感じさせて急がせる | 誰でも、簡単に、たった〜で、今だけ、限定、保証 |
四つは重なります。「驚異の効果で誰でも簡単に」は、誇張+期待です。
型ごとの働き
| 型 | 読み手に起きること | 確かめる前に |
|---|---|---|
| 断定 | 疑う気持ちが下がる | 「確かめる方法があるか」を問う |
| 誇張 | 変化が大きく感じる | 元の数字・程度に戻す |
| 恐怖 | 急いで行動したくなる | 一度止まる。出典と量を確かめる |
| 期待 | 急いで手に入れたくなる | 条件・人数・副作用を確かめる |
事実の部分を残す
| 元の文 | 感情の語 | 事実の部分 |
|---|---|---|
| 衝撃!水道水に知られざる危険が | 衝撃、知られざる、危険 | 水道水に何かがある(何かは不明) |
| 驚異の九十八%が効果を実感 | 驚異の、実感 | 九十八%が効果があると答えた(人数不明) |
| 今だけ、誰でも簡単に偏差値二十アップ | 今だけ、誰でも、簡単に | ある人が偏差値を二十上げた(条件不明) |
| この政策で町は崩壊する | 崩壊 | 政策に反対している(根拠不明) |
残った事実の部分に、五つの問い(誰が・何を根拠に)を当てます。
「事実・意見・推測」との関係
| 感情の語 | 札 |
|---|---|
| 断定の語 | 推測を事実の形にしたもの |
| 誇張の語 | 評価(意見)を事実に混ぜたもの |
| 恐怖・期待の語 | 意見(行動の勧め)を事実に混ぜたもの |
感情の語を抜く作業は、「評価の語を抜く」「断定の推測を見抜く」と同じ作業です。
例題:型を言う
| 表現 | 型 | 合図 |
|---|---|---|
| この勉強法で成績が上がるのは間違いない | 断定 | 間違いない |
| 史上最悪の猛暑 | 誇張 | 史上最悪 |
| 知らないと損する制度 | 恐怖+期待 | 知らないと損 |
| たった三日で英語が話せる | 期待+誇張 | たった、話せる |
よくある間違い
感情の語があれば内容は全部うそだと思う
語を抜いた事実の部分は本当かもしれません。抜いてから確かめます。
公的機関や報道は感情の語を使わないと思う
見出しや広報にも「激増」「深刻」は使われます。発信者で判断せず、語で判断します。
自分は感情に流されないと思う
四つの型は誰にでも働きます。語を覚えて気づくのが唯一の対策です。
自分で確かめよう
確認1:感情を動かす表現の四つの型
断定、誇張、恐怖をあおる、期待をあおる。
確認2:「衝撃!水道水に知られざる危険が潜んでいる」から事実の部分を残すと
水道水に何かがある(何か・どれだけ・誰の調べか不明)。
確認3:恐怖をあおる語の例を三つ
危険、手遅れ、今すぐ(取り返しがつかない、知らないと損 も可)。
まとめと次の一歩
感情を動かす表現は、断定・誇張・恐怖・期待の四つの型で、合図の語があります。語を抜いて事実の部分を残し、残ったものに五つの問いを当てます。
次のレッスンでは、感情の語に印をつけて事実の部分を取り出し、判定するまでの手順を一行ずつ使えるようにします。
クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。