数字・割合・グラフの見せ方:印象に流された判断を直す
このレッスンの役割
数字の読み取りの誤りは、割合だけで判断、見た目の高さで判断、短期を傾向と読む、平均だけで語る、の四つに分けられます。ここでは、それぞれを型に分け、直します。
今回の中心技能は、数字の読み取りの誤りを四つの型のどれかで言い、直せることです。目安時間は8分です。
今日の問い
「本校の生徒の平均読書冊数は月三冊。だから本校の生徒は皆、月三冊程度読んでいる。」
平均三冊でも、「〇冊が六割、十冊以上が二割」なら、「皆三冊」ではありません。平均は分布を隠します。型④「平均だけで全体を語る」です。分布(何冊の人が何割か)か、中央値(真ん中の人の冊数)を見ます。
誤りの四つの型
| 型 | 起きていること | 例 | 直し方 |
|---|---|---|---|
| ① 割合だけで判断 | 母数を見ずに%や倍で大小を決める | 二倍だから急増 | 実数に戻す |
| ② 見た目の高さで判断 | 軸の始まりを見ずに棒の比で判断 | Aの棒が二倍だから二倍 | 軸の始まりと数値を読む |
| ③ 短期を傾向と読む | 数年の変化を長期の傾向と思う | 三年連続で減少だから減り続ける | 期間を広げて見る |
| ④ 平均だけで語る | 平均で「皆が」「普通は」と言う | 平均三冊だから皆三冊 | 分布か中央値を見る |
型①を直す:実数の表
| 割合の表現 | 母数 | 実数 | 判定 |
|---|---|---|---|
| 二倍に増加 | 二件 | 二→四件 | 小さい |
| 二倍に増加 | 五百件 | 五百→千件 | 大きい |
| 五割の人が反対 | 十人 | 五人 | ぶれやすい |
| 一%が反対 | 一万人 | 百人 | 少なくない |
同じ割合でも、母数で意味が変わります。
型②を直す:軸の読み方
| 見た目 | 軸 | 実際 |
|---|---|---|
| Aの棒がBの二倍 | 九十から | 九十六と九十二(差四) |
| Aの棒がBの二倍 | 〇から | 百と五十(差五十) |
棒の比で判断せず、数値を読みます。軸が〇から始まっていなければ、差は見た目より小さい。
型③を直す:期間の広げ方
| 示された期間 | 見え方 | 広げると |
|---|---|---|
| 二〇二一〜二〇二三(減少) | 減り続けている | 二〇一五〜二〇二〇は増加していた |
| 今週(五キロ減) | 効果がある | 翌週に戻る |
「〜年から〜年の間では」と期間を限って書くか、長い期間の資料を探します。
型④を直す:平均と分布
| 平均 | 分布の例 | 言えること |
|---|---|---|
| 三冊 | 全員が二〜四冊 | 皆三冊程度 |
| 三冊 | 〇冊六割、十冊以上二割 | 読む人と読まない人に分かれる |
| 年収の平均 | 一部の高い人が引き上げる | 平均は「普通の人」を表さない |
平均の裏に分布があります。「平均〜だから皆〜」とは言えません。
例題:どの型か
「新製品の売上が前月比三百%!」
型①。前月の売上(母数)が小さければ、三倍でも少ない。実数を確かめる。
「このグラフを見ると、我が社の満足度は他社を圧倒している。」(軸は八十から)
型②。軸の始まりを見る。差は数ポイントかもしれない。
よくある間違い
割合は「公平な比べ方」だから安心だと思う
割合は母数の違いを隠します。実数と両方で見ます。
グラフは「数値が正しければ問題ない」と思う
数値が正しくても、軸と期間で印象は変えられます。見せ方の問題として指摘します。
平均を「普通」「代表」だと思う
分布が偏っていれば、平均は誰も表しません。分布か中央値を見ます。
自分で確かめよう
確認1:数字の読み取りの誤りの四つの型
割合だけで判断、見た目の高さで判断、短期を傾向と読む、平均だけで語る。
確認2:「平均三冊だから皆三冊」の直し方
分布(何冊の人が何割か)か中央値を見る。
確認3:「前月比三百%」で確かめること
前月の実数(母数)。小さければ三倍でも少ない。
まとめと次の一歩
数字の読み取りの誤りは、割合だけ、見た目の高さ、短期を傾向、平均だけ、の四つに分けられます。実数に戻す、軸と数値を読む、期間を広げる、分布を見る、で直します。
次のレッスンでは、複数の資料の数字とグラフを比べる入試形式の問題で、確認点と四つの型を通して使います。
クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。