数字・割合・グラフの見せ方:確かめる観点をつかむ
このレッスンの役割
調査の対象を確かめても、数字の見せ方で印象は変わります。「二倍に増えた」も「二人から四人」なら小さな変化です。ここでは、数字の五つの確認とグラフの四つの確認をつかみ、見せ方に惑わされず元の数字に戻る目を作ります。
今回の中心技能は、数字とグラフを見たときに確認点を一つずつ当て、印象と元の数字のずれを言えることです。目安時間は8分です。
今日の問い
「本校のいじめの件数が前年比二倍に。」
前年が二件なら今年は四件、前年が五十件なら百件。「二倍」は割合で、母数(元の数)が分からないと大きさが分かりません。また、件数は「認知した数」で、先生が丁寧に把握するようになれば増えます。「二倍」という割合だけを見ず、実数と数え方を確かめます。
数字の五つの確認
| 確認 | 問い | 例 |
|---|---|---|
| 母数 | 何のうちの数か、元の数はいくつか | 二倍(二件→四件) |
| 割合か実数か | %で言っているか、人数で言っているか | 五割増(百円→百五十円) |
| 期間 | いつからいつまでか、短すぎないか | 一週間で五キロ減 |
| 比較対象 | 何と比べているか | 前年比、全国平均比 |
| 単位・定義 | 何を数えたか、数え方は変わっていないか | 認知件数、延べ人数 |
割合と実数の見せ方
| 事実 | 大きく見せる | 小さく見せる |
|---|---|---|
| 四百円→六百円 | 五割値上げ | 二百円の値上げ |
| 二件→四件 | 二倍に増加 | 二件増 |
| 一万人中百人が反対 | 百人が反対 | 一%が反対 |
| 千人中九百人が満足 | 九割が満足 | 百人が不満 |
割合は変化を大きく見せ、実数は小さな数を小さく見せます。目的(説得する・売る)によって使い分けられます。
グラフの四つの確認
| 確認 | 問い | 惑わされる例 |
|---|---|---|
| 軸の始まり | 縦軸が〇から始まっているか | 九十から始めると、九十五と百の差が二倍に見える |
| 軸の間隔 | 目盛りが等間隔か | 途中で間隔が変わる |
| 期間の切り取り | 都合のよい期間だけ示していないか | 下がった年だけ、上がった年だけ |
| 項目の選び方 | 比べる相手を都合よく選んでいないか | 自社と最も弱い他社だけ |
軸の始まりの例
| 数値 | 〇から始まる軸 | 九十から始まる軸 |
|---|---|---|
| A社 九十五、B社 百 | ほぼ同じ高さ | Bの棒がAの二倍の高さ |
同じ数値でも、軸の始まりで棒の高さの比が変わります。数値を読み、見た目の比で判断しません。
期間の切り取りの例
| 期間 | 見え方 |
|---|---|
| 二〇一五〜二〇二〇 | 右肩上がり |
| 二〇二〇〜二〇二三 | 右肩下がり |
| 二〇一五〜二〇二三 | 上がって下がる |
「増えている」「減っている」は、期間の取り方で逆になります。全体の期間を確かめます。
例題:確認点を当てる
広告:「利用者満足度九十八%!(当社調べ、n=五十)」
| 確認 | 答え |
|---|---|
| 母数 | 五十人(少ない) |
| 割合か実数か | 割合。実数は四十九人 |
| 期間 | 不明 |
| 比較対象 | なし(他社との比較なし) |
| 単位・定義 | 「満足」の定義、質問文が不明 |
「五十人のうち四十九人が満足と答えた(質問文不明)」が元の事実。
よくある間違い
「二倍」「半減」を大きな変化だと思う
母数を見ます。二件→四件も二倍。
グラフの見た目の高さで判断する
軸の始まりと間隔を見て、数値を読みます。
「n=」を見ない
「n=」は母数(人数)です。小さければ割合はぶれます。
自分で確かめよう
確認1:数字の五つの確認
母数、割合か実数か、期間、比較対象、単位・定義。
確認2:グラフの四つの確認
軸の始まり、軸の間隔、期間の切り取り、項目の選び方。
確認3:「いじめが前年比二倍」で確かめること
母数(前年の件数)と、定義・数え方(認知件数は把握の丁寧さで増える)。
まとめと次の一歩
数字は母数・割合か実数か・期間・比較対象・定義の五つ、グラフは軸の始まり・間隔・期間・項目の四つで確かめます。割合は変化を大きく見せ、軸と期間の取り方で印象が変わります。
次のレッスンでは、数字やグラフを見てから元の数字に戻り、印象とのずれを書く手順を一行ずつ使えるようにします。
クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。