目的と対象を読み取ろう:出典・根拠を手順で調べる
このレッスンの役割
前のレッスンで、四つの目的と対象の手掛かりを知りました。ここでは、情報を見てから「目的を踏まえてどこまで使えるか」を決めるまでを一つの手順にします。要点は、目的から「省かれるもの」を予測し、実際に探すことです。
今回の中心技能は、「目的を決める → 対象を推定する → 省かれるものを予測して探す → 省かれたものを添えて範囲を決める」の四段階を一行ずつ書けることです。目安時間は9分です。
今日の問い
学校の掲示:「本校の今年の大学合格者数は三百二十名で、県内の私立高校で一位です。来年度の入学説明会は十月二十日。」
手順で確かめます。目的:知らせる形だが「一位」「説明会」から、売る(入学者を集める)。対象:受験生と保護者。省かれるもの:卒業生の人数(合格率)、合格者数の数え方(一人が複数合格した延べ数か)、進学者数。範囲:「延べ合格者数で県内私立一位」まで。「進学実績が最もよい」とは言えない。
手順を一行ずつ
| 段階 | すること | 今日の問いの場合 |
|---|---|---|
| 1 | 手掛かりから目的を決める | 「一位」「説明会」→売る(知らせる形) |
| 2 | 対象を推定する | 受験生と保護者 |
| 3 | 「この目的と対象なら省かれるもの」を予測して探す | 卒業生数、数え方、進学者数 |
| 4 | 省かれたものを添えて使える範囲を決める | 延べ合格者数で一位、まで |
段階1:目的の決め方
| 手掛かり | 見方 |
|---|---|
| 文末 | 事実の報告か、主張か、勧誘か |
| 語 | 中立か、評価か、強調か |
| 数字 | 出典つきか、良い数字だけか |
| 呼びかけ | 「私たちは」(説得)、「あなたに」(売る) |
| 場所 | 広報か、社説か、広告欄か |
形と目的がずれるときは、語と数字を優先します。知らせる形で「一位」「驚きの」があれば売る目的。
段階2:対象の推定
| 手掛かり | 今日の問いの場合 |
|---|---|
| 呼びかけ | 「来年度の入学」→これから入る人 |
| 場所 | 学校の掲示(外から見える)→外部の人 |
| 用語 | 一般向け |
段階3:省かれるものの予測表
| 目的 | 省かれやすいもの |
|---|---|
| 知らせる | 背景、原因(事実だけ) |
| 説得する | 反対の根拠、不都合な事実 |
| 売る | 分母(何人中か)、条件、通常価格、副作用、数え方 |
| 楽しませる | 正確さ、例外 |
| 対象 | 省かれやすいもの |
|---|---|
| 子ども・一般 | 細かい条件、専門的な前提 |
| 専門家 | 基本の説明 |
| 当事者(会員・保護者) | 外部の比較 |
予測したら、本文にあるかを探します。あれば使え、なければ「省かれている」と書きます。
段階4:範囲の書き方
| 省かれたもの | 書き方 |
|---|---|
| 分母 | 「延べ合格者数は三百二十名(卒業生数は不明)」 |
| 条件 | 「満足度九十二%(回答者数と質問の文は不明)」 |
| 比較 | 「県内私立で一位(公立を含めた順位は不明)」 |
「〜は不明」を添えると、範囲が明確になります。
例題:手順で通す
新聞の社説:「給食費の無償化は、家庭の負担を減らし、子どもの健康を守る。自治体は直ちに実施すべきだ。」
| 段階 | 結果 |
|---|---|
| 1 | 説得する(べきだ、評価語「守る」) |
| 2 | 読者一般、自治体 |
| 3 | 反対の根拠(財源、他の事業への影響)、無償化で健康が守られる根拠 |
| 4 | 「社説は負担軽減と健康を理由に無償化を主張している」まで。財源の検討は省かれている |
よくある間違い
段階1で形だけで目的を決める
掲示や記事の形でも、語と数字が売る目的を示すことがあります。
段階3で予測だけして探さない
予測したものが本文にあれば、その情報は丁寧です。探して「ある・ない」を確かめます。
段階4で「売る目的だから使えない」にする
事実の部分(延べ三百二十名)は使えます。省かれたものを添えて範囲で書きます。
自分で確かめよう
確認1:目的と対象から判定する四段階
目的を決める、対象を推定する、省かれるものを予測して探す、省かれたものを添えて範囲を決める。
確認2:「合格者数三百二十名で県内一位」で省かれやすいもの
卒業生数(分母)、数え方(延べか実数か)、進学者数。
確認3:売る目的の情報で省かれやすいもの
分母、条件、通常価格、副作用、数え方。
まとめと次の一歩
手順は、目的を決める、対象を推定する、省かれるものを予測して探す、省かれたものを添えて範囲を決める、の四段階です。「〜は不明」を添えて書くと範囲が明確になります。
次のレッスンでは、目的と対象の読み取りでよく起きる誤りを四つの型に分け、直せるようにします。
クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。