一次情報と二次情報:確かめる観点をつかむ
このレッスンの役割
「発信者と出典」で、研究チームの発表を通信社が伝える「二段」の形を見ました。ここでは、その二段を一次情報と二次情報として整理します。私たちが目にする情報のほとんどは二次情報で、伝える途中で省略・言い換え・強調が起きます。一次情報にさかのぼれるかが、信頼性の判定を大きく左右します。
今回の中心技能は、一次情報と二次情報を区別し、二次情報で起きる三つの変化を言い、さかのぼる合図を見つけられることです。目安時間は8分です。
今日の問い
見出し:「中学生の二割が『運動ゼロ』」 元の調査:「一週間の運動時間が六十分未満の中学二年生は、男子八・五%、女子二十一・三%」
見出しは、女子だけの数値を「中学生」とし、「六十分未満」を「ゼロ」と言い換えています。見出しは二次情報で、元の調査が一次情報です。二次情報だけを見ると、「中学生の二割は全く運動していない」と誤って受け取ります。
一次情報と二次情報
| 種類 | 定義 | 例 |
|---|---|---|
| 一次情報 | 出来事や調査を直接記録したもの | 調査報告書の原文、公式発表文、法律の条文、当事者の日記・証言、実験データ |
| 二次情報 | 一次情報を要約・解説・編集したもの | 新聞記事、ニュース番組、解説サイト、教科書、まとめ投稿 |
二次情報が悪いのではありません。分かりやすく、短く、文脈を添えてくれます。問題は、変化が起きていることに気づかずに使うことです。
二次情報で起きる三つの変化
| 変化 | 起きること | 例 |
|---|---|---|
| 省略 | 条件・範囲・例外が落ちる | 「女子」「六十分未満」が落ちる |
| 言い換え | 語が強い語・分かりやすい語に変わる | 六十分未満→ゼロ、減少→激減 |
| 強調 | 一部の数値・事例が前に出る | 二割(女子)だけを見出しに |
三つは重なります。見出しは、省略と言い換えと強調が全部起きた形です。
さかのぼる合図
| 合図 | 意味 |
|---|---|
| 「〜によると」「〜の調査で」「〜が発表した」 | 一次情報が別にある |
| 「出典:」「資料:」 | 一次情報の名前 |
| 「〜と報じられた」「〜と伝えられている」 | 二次情報のさらに二次(三次) |
| 「〜らしい」「〜と言われている」 | 一次情報が不明 |
合図があれば、一次情報の名前・日付・場所(出典の三点)をたどります。
一次と二次の見分け方
| 問い | 一次 | 二次 |
|---|---|---|
| 誰が書いたか | 調査した人、当事者 | 記者、解説者、投稿者 |
| 何を書いたか | データ・記録そのもの | 要約・解釈 |
| 「〜によると」があるか | ない(自分が元) | ある |
例題:分ける
| 情報 | 種類 | 理由 |
|---|---|---|
| スポーツ庁の調査報告書 | 一次 | 調査した当事者の記録 |
| 「スポーツ庁によると二割が運動不足」という記事 | 二次 | 記者の要約 |
| 記事を引用した投稿「新聞で見たけど中学生は運動してないらしい」 | 三次 | 記事のさらに要約 |
| 市教育委員会の発表文 | 一次 | 当事者の発表そのもの |
| 発表を伝える新聞記事 | 二次 | 記者が伝えた |
よくある間違い
新聞は一次情報だと思う
新聞記事の多くは、発表・調査・取材を記者がまとめた二次情報です。記者自身が目撃した記事は一次に近い。
二次情報は使えないと思う
二次情報は文脈と分かりやすさを添えます。「変化が起きている」ことを知って、一次情報で確かめながら使います。
「〜によると」があれば一次情報を見たことになると思う
合図は「一次情報が別にある」印です。見たことにはなりません。たどって初めて確かめたことになります。
自分で確かめよう
確認1:一次情報と二次情報の違い
一次は出来事や調査を直接記録したもの。二次はそれを要約・解説・編集したもの。
確認2:二次情報で起きる三つの変化
省略、言い換え、強調。
確認3:「中学生の二割が運動ゼロ」で起きた変化
省略(女子、六十分未満)、言い換え(六十分未満→ゼロ)、強調(二割だけを前に)。
まとめと次の一歩
一次情報は直接の記録、二次情報は要約・解説です。二次情報では省略・言い換え・強調が起き、「〜によると」などの合図から一次情報にさかのぼります。
次のレッスンでは、二次情報から一次情報をたどり、変化を見つけて使える範囲を決める手順を一行ずつ使えるようにします。
クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。