事実・意見・推測を分けよう:確かめる観点をつかむ
このレッスンの役割
「抽象・具体と根拠」では、本文の中で事実・推測・意見を文末で分けました。ここでは、ニュース・広告・投稿の中で同じ区別をします。本文の外の情報は、一文の中に事実と評価、事実と推測が混ざっていることが多く、分ける力がそのまま信頼性の判定になります。
今回の中心技能は、事実・意見・推測を三つの問いで見分け、一文に混ざった形を分解できることです。目安時間は8分です。
今日の問い
「市内の交通事故は昨年より二割増えた。歩きスマホが原因だろう。市はもっと取り締まるべきだ。」
三つの文は、事実(二割増えた。統計で確かめられる)、推測(原因だろう。確かめられていない)、意見(べきだ。価値判断)です。判定で使えるのは事実の部分だけで、推測は根拠を探し、意見は賛否を考える対象です。
三つの問いで見分ける
| 種類 | 問い | 合図 | 例 |
|---|---|---|---|
| 事実 | 確かめる方法があるか | 数値、日付、記録、「〜した」 | 二割増えた |
| 意見 | 価値の語(よい・悪い・べき)があるか | べきだ、望ましい、ひどい、大切だ | 取り締まるべきだ |
| 推測 | 推量の文末があるか | だろう、かもしれない、と考えられる、らしい | 原因だろう |
事実は「正しいかどうかを確かめられる」文で、「正しい文」ではありません。「二割増えた」が間違っていても、確かめられる以上、事実の文です。
一文に混ざる形
| 形 | 例 | 分解 |
|---|---|---|
| 事実+評価 | 「わずか二割しか増えていない」 | 事実:二割増。評価:わずか |
| 事実+評価 | 「深刻なことに二割も増えた」 | 事実:二割増。評価:深刻、も |
| 事実+原因の推測 | 「歩きスマホで事故が二割増えた」 | 事実:二割増。推測:原因は歩きスマホ |
| 事実+一般化 | 「中学生は皆スマホに夢中だ」 | 事実:一部の観察。一般化:皆 |
「で」「により」「のせいで」は、原因の推測を事実の形に見せる語です。
評価の語を抜く
| 文 | 評価の語 | 事実だけに |
|---|---|---|
| 驚異の九十二%が満足 | 驚異の | 九十二%が満足と回答 |
| 突然の五割値上げ | 突然の | 五割(二百円)の値上げ |
| たった一週間で五キロ減 | たった | 一週間で五キロ減(一例) |
評価の語を抜くと、確かめるべき事実が残ります。
例題:分ける
投稿:「新しい図書館は、前より広くて快適。利用者も増えたらしい。市はよい判断をした。」
| 部分 | 種類 | 理由 |
|---|---|---|
| 前より広い | 事実 | 面積で確かめられる |
| 快適 | 意見 | 感じ方 |
| 利用者が増えたらしい | 推測(伝聞) | らしい。統計で確かめられるが未確認 |
| よい判断をした | 意見 | 価値判断 |
使えるのは「広い」(確認すれば)。「利用者が増えた」は統計を見れば事実になります。
よくある間違い
事実=正しい、と思う
事実は「確かめられる文」。間違った事実の文もあります。確かめて初めて「使える事実」です。
数字があれば事実だと思う
「驚異の九十二%」の「驚異の」は評価、「九十二%」の中身(何人中か)は確かめが必要。数字の周りの語を見ます。
「で」「のせいで」を見逃す
「歩きスマホで増えた」は、原因の推測を事実の形で書いたもの。「増えた」だけが事実です。
自分で確かめよう
確認1:事実・意見・推測を見分ける三つの問い
確かめる方法があるか(事実)、価値の語があるか(意見)、推量の文末があるか(推測)。
確認2:「歩きスマホで事故が二割増えた」を分解すると
事実:事故が二割増えた。推測:原因は歩きスマホ。
確認3:「事実」は「正しい文」ですか
いいえ。確かめる方法がある文で、確かめて初めて使える。
まとめと次の一歩
事実は確かめられる文、意見は価値の語、推測は推量の文末で見分けます。一文に混ざるときは、評価の語を抜き、「で」「のせいで」の原因の推測を分けます。
次のレッスンでは、情報を文ごとに分解して、事実の部分を確かめ、推測と意見を扱う手順を一行ずつ使えるようにします。
クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。