情報を疑うとはどういうこと:確かめる観点をつかむ
このレッスンの役割
「抽象・具体と根拠」では、本文の中で主張と根拠の確かさを確かめました。このコースでは、その目を本文の外の情報、つまりニュース・広告・SNS・資料にも向けます。入試の国語では、複数の資料を読んで「信頼できる情報はどれか」「判断に足りない情報は何か」を答える問題が増えています。
今回の中心技能は、「疑う」を「確かめてから判断する」と言い換え、確かめる五つの問いと判定の三段階を言えることです。目安時間は8分です。
今日の問い
SNSの投稿:「隣町の水道水から有害物質が検出されたらしい。みんな気をつけて!」
この投稿を信じますか、否定しますか。どちらも「疑う」ではありません。疑うとは、「誰が言ったか」「らしい、は何を根拠にしているか」「隣町の公式発表はどう言っているか」を確かめてから判断することです。確かめる前は「保留」。これが情報を疑う姿勢です。
「疑う」の意味
| 態度 | すること | 問題 |
|---|---|---|
| 信じる | そのまま受け取る | 誤りや誇張に気づけない |
| 否定する | 全部うそだと決める | 正しい情報も捨ててしまう |
| 疑う(確かめる) | 根拠と条件を確かめ、その上で判断する | ― |
「疑う」は中間の態度ではなく、別の態度です。確かめる手順を持つことです。
確かめる五つの問い
| 問い | 見るもの | セクション |
|---|---|---|
| ① 誰が | 発信者、出典、責任の所在 | 発信者と出典 |
| ② 何のために | 目的(知らせる・説得する・売る)、想定する読み手 | 目的と対象 |
| ③ 何を根拠に | 事実か意見か、一次か二次か、根拠は主張に合うか、調査対象、数字 | 事実・意見・推測/一次・二次/根拠/調査対象/数字 |
| ④ どう見せているか | 写真、見出し、切り取り、感情を動かす言葉、広告の形 | 写真・見出し/感情語/広告・SNS |
| ⑤ 他はどう言うか | 別の情報源との一致・食い違い、足りない情報 | 複数の情報源/不足情報 |
五つの問いは、「抽象・具体と根拠」の「根拠の確かさ」を、本文の外に広げたものです。
判定の三段階
| 判定 | 条件 | 行動 |
|---|---|---|
| 使える | 五つの問いに答えられ、根拠が確かめられる | 根拠として使う(出典を示す) |
| 条件つきで使える | 一部が確かめられない、または範囲が限られる | 条件を添えて使う(「〜によれば」「〜の範囲では」) |
| 保留 | 発信者か根拠が不明 | 判断せず、確かめる材料を探す |
「保留」は答えを出さないことではなく、「今は判断できない」という判断です。入試の記述で「この資料だけでは判断できない。理由は〜」と書けることが、得点になります。
例題:五つの問いで見る
今日の問いの投稿
| 問い | 答え | 判定 |
|---|---|---|
| ① 誰が | 一般の利用者。責任の所在が不明 | 不明 |
| ② 何のために | 注意喚起(善意)だが確認なし | ― |
| ③ 何を根拠に | 「らしい」。出典なし | 不明 |
| ④ どう見せているか | 「みんな気をつけて!」で不安をあおる | 注意 |
| ⑤ 他はどう言うか | 水道局の発表を確認していない | 未確認 |
判定:保留。次の行動は、隣町の水道局の公式発表を確かめること。
よくある間違い
「疑う」を「信じない」だと思う
否定も確かめていない点では信じるのと同じです。疑うとは確かめること。
公式・有名なら確かめなくてよいと思う
公式でも、目的(売りたい)や切り取りがあります。五つの問いは誰に対しても使います。
保留を「答えられない」と思う
保留は判断の一つで、「何が足りないか」を言えれば得点になります。
自分で確かめよう
確認1:「疑う」とはどうすることですか
否定することではなく、根拠と条件を確かめてから判断すること。
確認2:確かめる五つの問い
誰が、何のために、何を根拠に、どう見せているか、他はどう言うか。
確認3:判定の三段階
使える、条件つきで使える、保留。
まとめと次の一歩
情報を疑うとは、否定ではなく確かめることです。五つの問い(誰が・何のために・何を根拠に・どう見せているか・他はどう言うか)で確かめ、使える・条件つき・保留の三段階で判定します。
次のレッスンでは、一つの情報に五つの問いを当てて判定するまでの手順を一行ずつ使えるようにします。
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