情報を疑うとはどういうこと:印象に流された判断を直す
このレッスンの役割
確かめずに判断してしまうとき、人は決まった印象に流されています。「みんな言っている」「有名な人が言った」「自分もそう思っていた」「怖いから」。ここでは、その四つの型を知り、それぞれを五つの問いに戻して直します。入試の「筆者が批判している情報の受け取り方」は、この型で説明できます。
今回の中心技能は、印象に流された判断を四つの型のどれかで言い、戻すべき問いを示せることです。目安時間は8分です。
今日の問い
「この健康法、SNSで十万回も共有されているから効果があるに違いない。」
共有の回数は「多くの人が広めた」ことを示すだけで、効果の根拠ではありません。型①「多くの人が言っているから」です。戻す問いは③「何を根拠に」。効果を示す調査や専門家の確認があるかを見ます。
印象による判断の四つの型
| 型 | 判断の理由 | 本当は | 戻す問い |
|---|---|---|---|
| ① 多数 | 多くの人が言っている、共有が多い | 広まった数と正しさは別 | ③ 何を根拠に |
| ② 権威 | 有名な人、肩書きのある人が言った | 専門外の有名人は根拠にならない | ① 誰が(その分野の専門か) |
| ③ 一致 | 自分の考えと合う | 合うものだけ信じると偏る | ⑤ 他はどう言うか |
| ④ 感情 | 怖い、うれしい、腹が立つ | 感情が強いほど確かめにくい | ④ どう見せているか |
型①を直す:多数
| 情報 | 多数の印象 | 確かめること |
|---|---|---|
| 十万回共有された健康法 | 十万人が正しいと思った? | 共有は「驚いた」「面白い」でも起きる。効果の調査はあるか |
| 口コミで星五つが千件 | 千人が満足? | 誰が書いたか、条件は同じか |
「多くの人が言う」は、確かめる材料ではなく、確かめる理由です。
型②を直す:権威
| 発信者 | 分野 | 判定 |
|---|---|---|
| 医師が健康法を推奨 | 専門内 | 根拠として検討できる(ただし一人の意見) |
| 俳優が健康法を推奨 | 専門外 | 根拠にならない(感想) |
| 「専門家によると」(名前なし) | 不明 | 保留 |
肩書きは「その分野で」のみ意味を持ちます。
型③を直す:一致
| 自分の考え | 合う情報 | 合わない情報 |
|---|---|---|
| 朝食は大切だ | 朝食を抜くと成績が下がる調査 | 朝食と成績に関係がないとする調査 |
合う情報だけ集めると、「他はどう言うか」が抜けます。合わない情報こそ確かめます。
型④を直す:感情
| 感情 | 情報の例 | 確かめること |
|---|---|---|
| 恐怖 | 「有害物質が検出された!」 | 出典、量、公式発表 |
| 期待 | 「一週間で五キロ減!」 | 条件、人数、副作用 |
| 怒り | 「あの会社がひどいことをした」 | 一次情報、相手の説明 |
感情が動いたときほど、判断を一度止めます。
例題:どの型か
「有名なユーチューバーが『この参考書が一番いい』と言っていたから、これを買う。」
型②(権威。教育の専門ではない)+型①(有名=多数)。戻す問い:①誰が(受験指導の専門か)、③何を根拠に(比較したか)。
「私はスマホは悪いと思っていたから、『スマホで成績が下がる』という記事を見て、やっぱりそうだと思った。」
型③(一致)。戻す問い:⑤他はどう言うか(関係がないとする調査はあるか)。
よくある間違い
四つの型は「だまされやすい人」だけのものだと思う
誰でも、特に感情が動いたときに陥ります。型を知るのは自分のためです。
権威を全部疑う
専門内の発信者の意見は、根拠として検討する価値があります。「専門外か」を見るのであって、肩書きを無視するのではありません。
合わない情報を「間違い」と決める
合わない情報も、五つの問いで同じように確かめます。
自分で確かめよう
確認1:印象による判断の四つの型
多数、権威、一致、感情。
確認2:「十万回共有されているから効果がある」の型と戻す問い
型①多数。③何を根拠に(効果の調査はあるか)。
確認3:権威を根拠として検討できる条件
発信者がその分野の専門であること。それでも一人の意見として扱う。
まとめと次の一歩
印象による判断は、多数・権威・一致・感情の四つの型に分けられ、それぞれ③・①・⑤・④の問いに戻して直します。
次のレッスンでは、複数の資料を読んで信頼できる情報を選ぶ入試形式の問題で、五つの問いと四つの型を通して使います。
クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。