出典を示して情報を使おう:複数資料・入試で判断する
このレッスンの役割
ここは「出典を示して情報を使おう」の出口です。三つの約束、出典と引用の形、四段階の手順、誤りの四つの型を、複数の資料を引用して意見を書く入試形式の問題で通して使います。
中心技能は、出典と引用の誤りを指摘し、資料と自分の考えを分けて書き直し、二つの資料を引用した意見文を書くことです。目安時間は10分です。
入試でどう出るか
出典と引用は、四つの形で出ます。
- 誤りの指摘:「次の文の出典の示し方の問題点を書け」
- 意味の変化:「次の引用が元の資料とどう違うか書け」
- 書き直し:「資料の内容と筆者の考えが分かるように書き直せ」
- 意見文:「資料A・Bを引用して、〜についての考えを百五十字程度で書け」
総合問題
次の二つの資料と、生徒の作文の一節を読んで、あとの問いに答えなさい。
【資料A】文部科学省「全国学力・学習状況調査」(令和五年度)の質問紙調査 「中学三年生のうち、朝食を『毎日食べている』は八十一・二%、『どちらかといえば食べている』は十二・七%、『あまり食べていない』は四・二%、『全く食べていない』は一・九%。」
【資料B】本校の保健委員会のアンケート(令和六年五月、一年生二クラス六十四人) 「朝食を『毎日食べる』七十二%、『週に数回食べない』二十%、『ほとんど食べない』八%。」
【生徒の作文の一節】 「調査によると、全国の中学生の約二割が朝食を食べていない。本校でも二割以上が朝食を抜いている。朝食を食べないと授業に集中できないので、学校は朝食の大切さをもっと伝えるべきである。」
問1
作文の「調査によると」の問題点を、出典の三点の観点から書きなさい。
問2
作文の「全国の中学生の約二割が朝食を食べていない」は、資料Aとどう違いますか。
問3
作文の「朝食を食べないと授業に集中できないので」は、資料A・Bのどちらにもない内容です。この文をどう書き直すべきか、理由とともに書きなさい。
問4
資料A・Bの両方を出典を示して引用し、本校の朝食についての自分の考えを百五十字程度で書きなさい。
答えと判断
問1
名前(文部科学省)、日付(令和五年度)、資料名(全国学力・学習状況調査)のいずれも示されておらず、読み手が確かめられない。
問2
資料Aでは「あまり食べていない」四・二%と「全く食べていない」一・九%の合計は六・一%で、「約二割」ではない。「どちらかといえば食べている」十二・七%まで合算して「食べていない」に入れており、意味を変えている(型③)。また対象は「中学三年生」で、「全国の中学生」より狭い。
問3
資料にない内容を資料の内容のように「〜ので」で書いている。自分の考えとして「私は、朝食を食べないことが授業への集中に影響するのではないかと考える」と分けて書き、根拠がないことを示すか、根拠となる別の資料を出典つきで添える。
問4
「文部科学省の令和五年度の全国学力・学習状況調査によれば、朝食を『あまり食べていない』『全く食べていない』中学三年生は合わせて約六%である。一方、本校保健委員会の令和六年五月のアンケートでは、一年生二クラス六十四人のうち『ほとんど食べない』が八%、『週に数回食べない』が二十%であった。私は、本校では全国より朝食を抜く生徒がやや多い可能性があると考える。ただし、本校の調査は六十四人のみで質問の選択肢も異なるため、全学年で同じ選択肢の調査を行うべきだと思う。」(百九十字程度。百五十字に収める場合は最後の文を短く)
誤答を診断する
| 誤答 | 型 | 戻るレッスン |
|---|---|---|
| 問1で「新聞の名前がない」 | 資料Aは文部科学省の調査(一次)。新聞ではない | 印象に流された判断を直す(型④) |
| 問2で「数字が少し違うだけ」 | 六%と二割は大きく違い、合算で意味が変わっている | 印象に流された判断を直す(型③) |
| 問3で「削除すればよい」 | 自分の考えとして分けて書けば使える | 確かめる観点をつかむ(分け方) |
| 問4で資料Bを「本校の二割以上が抜いている」 | 「週に数回」と「ほとんど」を合算し、対象(一年生二クラス)を落とした | 出典・根拠を手順で調べる(段階4) |
| 問4で「私は」の文がない | 混ざる | 印象に流された判断を直す(型②) |
作文の一節の診断表
| 部分 | 型 | 直し |
|---|---|---|
| 調査によると | ① 出典なし | 文部科学省の令和五年度の〜によれば |
| 約二割が食べていない | ③ 意味を変える(合算、対象) | 約六%、中学三年生 |
| 本校でも二割以上が抜いている | ③ 合算、対象の省略 | 一年生六十四人のうち「ほとんど」八%、「週に数回」二十% |
| 集中できないので | ② 混ざる(根拠のない内容を資料のように) | 私は〜と考える |
| 伝えるべきである | ② 混ざる | 私は〜べきだと考える |
答案で落とさないための確認
| 確認 | 見るもの |
|---|---|
| 出典に名前・日付・資料名があるか | 両方の資料 |
| 数値を合算していないか、対象と条件を落としていないか | 六%、中三、一年生六十四人 |
| 資料の文と「私は」の文が分かれているか | 文末 |
| 資料の限界(人数、選択肢の違い)に触れたか | Bの六十四人 |
よくある間違い
資料Bを「本校の調査だから全校の数値」として引用する
一年生二クラス六十四人です。対象を添えます。
資料AとBの選択肢が違うのに、同じ基準で比べる
Aは四択、Bは三択で「週に数回」の扱いが違います。「選択肢が異なるため単純に比較できない」と添えます。
意見文で資料の引用だけして自分の考えを書かない
引用は根拠で、「私は〜と考える」が中心です。必ず書きます。
自分で説明しよう
確認1:情報を使うときの三つの約束
引用と自分の考えを分ける、出典を示す、元の意味を変えない。
確認2:出典を示して情報を使う四段階
出典と使う部分、引用の方法と資料の文、資料と自分の考えを分ける、元と照らす。
確認3:出典と引用の誤りの四つの型
出典なし、混ざる、意味を変える、二次情報を出典に。
セクションの出口
複数の資料を三点の出典つきで引用し、合算や対象の省略をせず、資料の限界に触れ、「私は」で自分の考えを分けて意見文が書けたら完了です。
次のセクション「情報の信頼性マスターチェック」では、コース全体の技能を一枚の表にまとめ、複数の資料を使った総合問題で仕上げます。
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