目的と対象を読み取ろう:印象に流された判断を直す
このレッスンの役割
目的と対象の誤りは、形で目的を決める、売る目的なら全部うそ、目的を見て事実まで捨てる、対象を取り違える、の四つに分けられます。ここでは、それぞれを型に分け、直します。
今回の中心技能は、目的と対象の誤りを四つの型のどれかで言い、直せることです。目安時間は8分です。
今日の問い
「記事の形で書いてあるから、宣伝ではなく事実の報道だ。」
記事の形をした広告(記事広告)は、新聞やサイトに「PR」「広告」と小さく書いて載ります。形は知らせるでも、語(「驚きの」「おすすめ」)と呼びかけ(「あなたも」)が売る目的を示します。型①「形で目的を決める」です。語・数字・呼びかけで確かめます。
誤りの四つの型
| 型 | 起きていること | 例 | 直し方 |
|---|---|---|---|
| ① 形で目的を決める | 記事の形=知らせる、と思う | 記事広告を報道だと思う | 語・数字・呼びかけ・「PR」表示で確かめる |
| ② 売る=全部うそ | 目的が売るなら内容も偽りだと思う | 満足度九十二%もうそだと決める | 事実の部分と省かれた部分を分ける |
| ③ 目的を見て事実を捨てる | 説得の文に含まれる事実まで無視する | 社説の数字を読まない | 事実は出典を見て使い、主張と分ける |
| ④ 対象の取り違え | 自分向けでない情報を自分に当てはめる | 専門家向けの注意書きを一般の目安と読む | 対象を推定し、自分との違いを書く |
型①を直す:形と目的のずれ
| 形 | 本当の目的 | 見分け方 |
|---|---|---|
| 記事 | 売る(記事広告) | 「PR」「提供」表示、商品名の繰り返し、購入リンク |
| 公式発表 | 説得する(自社に有利な説明) | 評価語、反対意見への言及なし |
| 体験談 | 売る(宣伝の投稿) | 商品名、リンク、「おすすめ」 |
| 面白い投稿 | 説得する(意見の拡散) | 笑いの後に主張 |
型②を直す:事実と省略を分ける
| 広告の内容 | 事実の部分 | 省かれた部分 |
|---|---|---|
| 九十二%が「分かりやすい」 | 回答者の九十二%がそう答えた | 回答者数、質問の文、成績の変化 |
| 合格者数県内一位 | 延べ三百二十名 | 卒業生数、数え方 |
| 一週間で五キロ減 | ある人がそうなった | 人数、条件、副作用 |
事実の部分は使えます。「全部うそ」にすると、使える情報を捨てます。
型③を直す:説得の中の事実
| 社説の文 | 事実 | 主張 |
|---|---|---|
| 給食費は年間五万円で、家計の負担が深刻だ | 年間五万円(出典を確かめる) | 負担が深刻 |
| 無償化した自治体では欠食が減った | 欠食が減った(どの自治体か、数値) | 無償化は健康を守る |
事実と主張を分け、事実は出典を確かめて使い、主張は根拠の対応(後のセクション)で検討します。
型④を直す:対象と自分の違い
| 情報 | 対象 | 自分との違い |
|---|---|---|
| 「一日の運動は三十分でよい」(高齢者向けの冊子) | 高齢者 | 中学生には別の目安 |
| 「この薬は一日三錠」(大人向け) | 大人 | 子どもには別の量 |
| 「塾は必要ない」(難関校合格者の体験談) | 同じ条件の人 | 自分の条件と違う |
対象を推定し、「自分はその対象か」を問います。
例題:どの型か
「塾のチラシに『合格者数一位』とあるが、塾の宣伝だから全部信用できない。」
型②。延べ合格者数一位は事実かもしれない。「分母と数え方が省かれている」と範囲で言う。
「社説は意見だから、載っている数字も読む価値がない。」
型③。数字は事実の部分。出典を確かめて使う。
よくある間違い
「PR」表示があれば読まなくてよいと思う
広告でも事実の部分はあります。目的を知った上で、省かれたものを探して読みます。
公式発表は「知らせる」目的だけだと思う
当事者の発表は、自分に有利な説明(説得)を含みます。評価語と、言及していない点を見ます。
対象が自分でない情報を全部捨てる
条件の違いを書けば、参考にはできます。「〜向けなので、自分の場合は条件が違う」と添えます。
自分で確かめよう
確認1:目的と対象の誤りの四つの型
形で目的を決める、売る=全部うそ、目的を見て事実を捨てる、対象の取り違え。
確認2:記事広告を見分ける手掛かり
「PR」「提供」の表示、商品名の繰り返し、購入リンク、強調の語、呼びかけ。
確認3:「合格者数一位」の広告をどう扱いますか
延べ合格者数一位は事実として扱い、分母と数え方が省かれていると添える。
まとめと次の一歩
目的と対象の誤りは、形で決める、売る=うそ、事実を捨てる、対象の取り違え、の四つに分けられます。語・数字・呼びかけで確かめ、事実と省略を分け、対象と自分の違いを書いて直します。
次のレッスンでは、複数の資料の目的と対象を比べる入試形式の問題で、四段階と四つの型を通して使います。
クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。