複数の情報源を比べよう:複数資料・入試で判断する
このレッスンの役割
ここは「複数の情報源を比べよう」の出口です。三つの区分、食い違いの三つの理由、四段階の手順、誤りの四つの型を、立場の違う複数の資料を読む入試形式の問題で通して使います。
中心技能は、共通する事実を抜き出し、食い違いの理由を説明し、欠けている立場を指摘し、三つの部分で結論を書くことです。目安時間は10分です。
入試でどう出るか
複数の情報源の比較は、四つの形で出ます。
- 共通する事実:「すべての資料に共通して書かれている事実を書け」
- 食い違いの理由:「資料BとCで数値が異なる理由を説明せよ」
- 欠けている立場:「判断のために、さらにどのような立場の資料が必要か」
- 結論:「資料から分かること・分かれること・分からないことを整理して書け」
総合問題
「市立中学校の統合」について、四つの資料を読んで、あとの問いに答えなさい。
【資料A】市教育委員会の説明資料 「市内の中学生は十年で二割減少し、A中学校は全校で八十人となった。令和八年度にA中をB中へ統合する。統合により部活動の選択肢が広がり、教員配置も充実する。」
【資料B】統合に反対する住民団体のチラシ 「A中は地域の中心。統合でB中までの通学は片道四十分になり、地域の行事も衰える。A中の保護者アンケートでは七十八%が反対。」
【資料C】○○新聞の記事 「市教委は統合を決定。市教委の全市アンケートでは賛成五十二%、反対三十一%。A中学区に限ると反対が多数を占めた。通学はスクールバスを導入する方針。」
【資料D】B中学校の生徒会新聞 「A中のみんなと一緒になるのが楽しみ。人数が増えて文化祭が盛り上がりそう。」
問1
四つの資料に共通して確認できる事実を一つ書きなさい。
問2
資料Bの「七十八%が反対」と資料Cの「賛成五十二%」が異なる理由を、「調べ方」の語を使って説明しなさい。
問3
この問題を判断するために欠けている立場の資料を一つ挙げ、なぜ必要かを書きなさい。
問4
四つの資料から、確かなこと・立場ごとの主張・判断できないことを、それぞれ一つずつ書きなさい。
答えと判断
問1
「令和八年度にA中学校がB中学校へ統合される(決定済み)」。生徒数の減少(二割減、八十人)もAとCで確認できる。
問2
調べ方(対象)が違う。資料BはA中の保護者だけに聞いたもので、統合で影響を受ける人に限られる。資料Cは全市の住民に聞いたもので、影響の小さい人も含む。対象が違うので、両方の数値が正しくても結果は異なる。
問3
A中学校の生徒(当事者)の資料。統合で通学・友人関係・部活動が最も変わるのはA中の生徒だが、四つの資料にA中生徒の立場がない。(または、通学時間とスクールバスの具体的な計画についての市の資料、など。)
問4
確かなこと:令和八年度にA中がB中に統合される。生徒数が減っている。立場ごとの主張:市教委は部活動と教員配置の充実を理由に賛成、住民団体は通学時間と地域行事を理由に反対、B中生徒会は歓迎。判断できないこと:スクールバスで通学時間が実際にどの程度になるか、地域行事への影響がどの程度か(資料に根拠がない)。
誤答を診断する
| 誤答 | 型 | 戻るレッスン |
|---|---|---|
| 問1で「統合はよいことだ」 | 主張を事実にした | 確かめる観点をつかむ(三つの区分) |
| 問2で「どちらかがうそ」 | 食い違えばどちらかがうそ | 印象に流された判断を直す(型②) |
| 問2で「立場の違い」だけ | 数値の違いは調べ方(対象)で説明する | 確かめる観点をつかむ(三つの理由) |
| 問3で「もっと多くの保護者」 | 欠けている立場でなく数 | 印象に流された判断を直す(型①) |
| 問4で結論を「反対が正しい」 | 一方の主張を結論にした | 出典・根拠を手順で調べる(段階4) |
四つの資料の表
| 資料 | 立場 | 事実 | 主張 |
|---|---|---|---|
| A | 市教委(決定者) | 二割減、八十人、令和八年度統合 | 部活動・教員配置が充実 |
| B | 住民団体(反対) | A中保護者七十八%反対 | 通学四十分、地域が衰える |
| C | 新聞(報道) | 全市で賛成五十二%、A中学区は反対多数、スクールバス方針 | ― |
| D | B中生徒会(歓迎) | ― | 楽しみ、盛り上がる |
| 区分 | 内容 | 理由 |
|---|---|---|
| 共通する事実 | 統合の決定、生徒数の減少 | ― |
| 食い違う事実 | 七十八%反対/五十二%賛成 | 調べ方(対象) |
| 食い違う主張 | 充実/衰退/歓迎 | 立場 |
答案で落とさないための確認
| 確認 | 見るもの |
|---|---|
| 共通する事実を「決定」「減少」に絞ったか | 主張を混ぜない |
| 数値の食い違いを対象の違いで説明したか | A中保護者と全市 |
| 欠けている立場を「誰の」で書いたか | A中の生徒 |
| 結論を三つの部分で書いたか | 確か・主張・判断できない |
よくある間違い
新聞(C)を「中立だから結論」とする
Cは事実を多く含みますが、A中学区の反対多数とスクールバス方針を並べているだけで、結論ではありません。
生徒会新聞(D)を「生徒の意見」として代表させる
DはB中の生徒会で、統合で最も影響を受けるA中の生徒の立場ではありません。
「通学四十分」を事実として結論に入れる
団体の主張で、スクールバスの方針(C)がある。判断できないことに入れます。
自分で説明しよう
確認1:複数の情報源を比べる三つの区分と、食い違いの三つの理由
共通する事実・食い違う事実・食い違う主張。立場・調べ方・時期。
確認2:結論を出す四段階
立場と発信者を書く、事実と主張を表に、三つの区分と理由、三つの部分で結論。
確認3:比較の誤りの四つの型
同じ立場を集める、食い違えばどちらかがうそ、多い方が正しい、主張と事実の混同。
セクションの出口
立場の違う複数の資料から共通する事実を抜き出し、数値の食い違いを調べ方で説明し、欠けている立場を指摘し、確か・主張・判断できないの三つの部分で結論を書けたら完了です。
次のセクション「不足している情報を考えよう」では、結論の「判断できないこと」をさらに進め、正しく判断するためにどの条件・数値・反対意見が必要かを具体的に挙げる方法を扱います。
クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。