LESSON 01

複数の情報源を比べよう

複数の情報源を比べよう:複数資料・入試で判断する

一つの政策についての行政・賛成団体・反対団体・報道の資料を比べ、共通する事実の抽出、食い違いの理由の説明、欠けている立場の指摘、三つの部分(確かなこと・立場ごとの主張・判断できないこと)での結論の記述を入試形式で解き、複数の情報源の比較を本番で使える形にまとめます。

複数の情報源を比べよう:複数資料・入試で判断する

このレッスンの役割

ここは「複数の情報源を比べよう」の出口です。三つの区分、食い違いの三つの理由、四段階の手順、誤りの四つの型を、立場の違う複数の資料を読む入試形式の問題で通して使います。

中心技能は、共通する事実を抜き出し、食い違いの理由を説明し、欠けている立場を指摘し、三つの部分で結論を書くことです。目安時間は10分です。

入試でどう出るか

複数の情報源の比較は、四つの形で出ます。

  1. 共通する事実:「すべての資料に共通して書かれている事実を書け」
  2. 食い違いの理由:「資料BとCで数値が異なる理由を説明せよ」
  3. 欠けている立場:「判断のために、さらにどのような立場の資料が必要か」
  4. 結論:「資料から分かること・分かれること・分からないことを整理して書け」

総合問題

「市立中学校の統合」について、四つの資料を読んで、あとの問いに答えなさい。

【資料A】市教育委員会の説明資料 「市内の中学生は十年で二割減少し、A中学校は全校で八十人となった。令和八年度にA中をB中へ統合する。統合により部活動の選択肢が広がり、教員配置も充実する。」

【資料B】統合に反対する住民団体のチラシ 「A中は地域の中心。統合でB中までの通学は片道四十分になり、地域の行事も衰える。A中の保護者アンケートでは七十八%が反対。」

【資料C】○○新聞の記事 「市教委は統合を決定。市教委の全市アンケートでは賛成五十二%、反対三十一%。A中学区に限ると反対が多数を占めた。通学はスクールバスを導入する方針。」

【資料D】B中学校の生徒会新聞 「A中のみんなと一緒になるのが楽しみ。人数が増えて文化祭が盛り上がりそう。」

問1

四つの資料に共通して確認できる事実を一つ書きなさい。

問2

資料Bの「七十八%が反対」と資料Cの「賛成五十二%」が異なる理由を、「調べ方」の語を使って説明しなさい。

問3

この問題を判断するために欠けている立場の資料を一つ挙げ、なぜ必要かを書きなさい。

問4

四つの資料から、確かなこと・立場ごとの主張・判断できないことを、それぞれ一つずつ書きなさい。

答えと判断

問1

「令和八年度にA中学校がB中学校へ統合される(決定済み)」。生徒数の減少(二割減、八十人)もAとCで確認できる。

問2

調べ方(対象)が違う。資料BはA中の保護者だけに聞いたもので、統合で影響を受ける人に限られる。資料Cは全市の住民に聞いたもので、影響の小さい人も含む。対象が違うので、両方の数値が正しくても結果は異なる。

問3

A中学校の生徒(当事者)の資料。統合で通学・友人関係・部活動が最も変わるのはA中の生徒だが、四つの資料にA中生徒の立場がない。(または、通学時間とスクールバスの具体的な計画についての市の資料、など。)

問4

確かなこと:令和八年度にA中がB中に統合される。生徒数が減っている。立場ごとの主張:市教委は部活動と教員配置の充実を理由に賛成、住民団体は通学時間と地域行事を理由に反対、B中生徒会は歓迎。判断できないこと:スクールバスで通学時間が実際にどの程度になるか、地域行事への影響がどの程度か(資料に根拠がない)。

誤答を診断する

誤答 型 戻るレッスン
問1で「統合はよいことだ」 主張を事実にした 確かめる観点をつかむ(三つの区分)
問2で「どちらかがうそ」 食い違えばどちらかがうそ 印象に流された判断を直す(型②)
問2で「立場の違い」だけ 数値の違いは調べ方(対象)で説明する 確かめる観点をつかむ(三つの理由)
問3で「もっと多くの保護者」 欠けている立場でなく数 印象に流された判断を直す(型①)
問4で結論を「反対が正しい」 一方の主張を結論にした 出典・根拠を手順で調べる(段階4)

四つの資料の表

資料 立場 事実 主張
A 市教委(決定者) 二割減、八十人、令和八年度統合 部活動・教員配置が充実
B 住民団体(反対) A中保護者七十八%反対 通学四十分、地域が衰える
C 新聞(報道) 全市で賛成五十二%、A中学区は反対多数、スクールバス方針 ―
D B中生徒会(歓迎) ― 楽しみ、盛り上がる
区分 内容 理由
共通する事実 統合の決定、生徒数の減少 ―
食い違う事実 七十八%反対/五十二%賛成 調べ方(対象)
食い違う主張 充実/衰退/歓迎 立場

答案で落とさないための確認

確認 見るもの
共通する事実を「決定」「減少」に絞ったか 主張を混ぜない
数値の食い違いを対象の違いで説明したか A中保護者と全市
欠けている立場を「誰の」で書いたか A中の生徒
結論を三つの部分で書いたか 確か・主張・判断できない

よくある間違い

新聞(C)を「中立だから結論」とする

Cは事実を多く含みますが、A中学区の反対多数とスクールバス方針を並べているだけで、結論ではありません。

生徒会新聞(D)を「生徒の意見」として代表させる

DはB中の生徒会で、統合で最も影響を受けるA中の生徒の立場ではありません。

「通学四十分」を事実として結論に入れる

団体の主張で、スクールバスの方針(C)がある。判断できないことに入れます。

自分で説明しよう

確認1:複数の情報源を比べる三つの区分と、食い違いの三つの理由

共通する事実・食い違う事実・食い違う主張。立場・調べ方・時期。

確認2:結論を出す四段階

立場と発信者を書く、事実と主張を表に、三つの区分と理由、三つの部分で結論。

確認3:比較の誤りの四つの型

同じ立場を集める、食い違えばどちらかがうそ、多い方が正しい、主張と事実の混同。

セクションの出口

立場の違う複数の資料から共通する事実を抜き出し、数値の食い違いを調べ方で説明し、欠けている立場を指摘し、確か・主張・判断できないの三つの部分で結論を書けたら完了です。

次のセクション「不足している情報を考えよう」では、結論の「判断できないこと」をさらに進め、正しく判断するためにどの条件・数値・反対意見が必要かを具体的に挙げる方法を扱います。

クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。

UNDERSTANDING CHECK

理解チェック:複数の情報源を入試で比べる

70% 合格ライン
  1. 設問 0
    中学校の統合についての四つの資料に共通して確認できる事実はどれですか。
  2. 設問 1
    「A中保護者の七十八%が反対」と「全市で賛成五十二%」が異なる理由はどれですか。
  3. 設問 2
    判断のために欠けている立場として適切なのはどれですか。
  4. 設問 3
    「通学が片道四十分になる」を結論のどの部分に入れますか。
  5. 設問 4
    B中生徒会新聞を「生徒の意見」として代表させるのが誤りなのはなぜですか。

まずは自分で選んでみましょう。採点・学習履歴への記録は、回答APIとの連携時に追加します。