数字・割合・グラフの見せ方:出典・根拠を手順で調べる
このレッスンの役割
前のレッスンで、数字とグラフの確認点を知りました。ここでは、数字やグラフを見てから「印象」と「元の数字」のずれを書くまでを一つの手順にします。入試の「このグラフの示し方の問題点を書け」「この数字から言えることとして正しいもの」は、この手順で答えます。
今回の中心技能は、「印象を書く → 確認点を当てる → 元の数字に戻す → ずれを説明する」の四段階を一行ずつ書けることです。目安時間は9分です。
今日の問い
棒グラフ:「A塾の合格率 九十六%、B塾の合格率 九十二%」(縦軸は九十%から始まり、Aの棒はBの二倍の高さ) 注記:A塾 受験者二十五人、B塾 受験者二百人
手順で読み解きます。印象:A塾がB塾より圧倒的に合格率が高い。確認:軸の始まり(九十%)、母数(二十五人と二百人)。元の数字:A塾二十四人合格、B塾百八十四人合格、差は四ポイント。ずれ:軸を九十%から始めて四ポイントの差を二倍の高さに見せ、A塾の母数二十五人は一人の不合格で四ポイント変わる。
手順を一行ずつ
| 段階 | すること | 今日の問いの場合 |
|---|---|---|
| 1 | 数字やグラフが与える印象を一言で書く | Aが圧倒的に高い |
| 2 | 確認点を当てる | 軸の始まり、母数 |
| 3 | 元の数字に戻して書く | 九十六%と九十二%(差四ポイント)、二十五人と二百人 |
| 4 | 印象と元の数字のずれを説明する | 軸で差を拡大、母数の差でAはぶれやすい |
段階1:印象の書き方
| 見せ方 | 印象 |
|---|---|
| 二倍に増加 | 急増した |
| 九十八%が満足 | ほぼ全員が満足 |
| 右肩上がりのグラフ | 順調に伸びている |
| 九十から始まる棒グラフ | 大きな差がある |
印象を先に書いておくと、段階4でずれを説明しやすくなります。
段階2:確認点の当て方
| 対象 | 当てる確認点 |
|---|---|
| 数字 | 母数、割合か実数か、期間、比較対象、定義 |
| グラフ | 軸の始まり、軸の間隔、期間の切り取り、項目の選び方 |
| 両方 | 出典、n=、注記 |
全部を当て、問題のあるものに印をつけます。
段階3:元の数字に戻す
| 見せ方 | 元の数字 |
|---|---|
| 二倍に増加 | 二件→四件 |
| 九十八%が満足(n=五十) | 五十人中四十九人 |
| 合格率九十六%(受験者二十五人) | 二十四人合格、一人不合格 |
| 五割値上げ | 四百円→六百円 |
割合は実数に、実数は割合に、両方書くと見せ方の偏りが消えます。
段階4:ずれの説明の形
| ずれ | 説明の形 |
|---|---|
| 軸の始まり | 「縦軸が〇から始まっていないため、〜の差が実際より大きく見える」 |
| 母数 | 「母数が〜人と少ないため、一人の違いで〜ポイント変わる」 |
| 期間 | 「〜年から〜年だけを示しているため、その前の〜が見えない」 |
| 割合と実数 | 「割合では〜だが、実数では〜で、変化は小さい」 |
例題:手順で通す
折れ線グラフ「本市の人口の推移」(二〇二〇〜二〇二三年、縦軸は十万から十万二千、年々減少)
| 段階 | 結果 |
|---|---|
| 1 | 人口が急激に減っている |
| 2 | 軸の始まり(十万)、軸の範囲(二千人分)、期間(四年) |
| 3 | 十万千五百人→十万二百人(減少千三百人、約一・三%) |
| 4 | 縦軸を十万〜十万二千に絞っているため、一・三%の減少が急落に見える。四年間だけで、長期の傾向は不明 |
よくある間違い
段階1を飛ばして確認点だけ書く
印象を書かないと、「何が誇張されたか」が説明できません。
段階3で割合だけ、または実数だけ書く
両方書いて初めて、見せ方の偏りが見えます。
段階4で「グラフが間違っている」と書く
グラフの数値は正しいことが多い。「見せ方で印象が変わる」と書きます。
自分で確かめよう
確認1:数字の見せ方を読み解く四段階
印象を書く、確認点を当てる、元の数字に戻す、ずれを説明する。
確認2:合格率九十六%(二十五人)と九十二%(二百人)のグラフのずれ
軸を九十%から始めて四ポイントの差を二倍の高さに見せている。A塾は母数が少なく一人で四ポイント変わる。
確認3:元の数字に戻すとき、割合と実数のどちらを書きますか
両方。
まとめと次の一歩
手順は、印象、確認点、元の数字、ずれの説明、の四段階です。元の数字は割合と実数の両方で書き、ずれは「見せ方で印象が変わる」と説明します。
次のレッスンでは、数字の読み取りでよく起きる誤りを四つの型に分け、直せるようにします。
クイズと理解チェックは、アプリで挑戦できます。